脳年齢が-3歳に! 介護予防に「健康マージャン」のすすめ
マージャンが脳活動に及ぼすスゴイ効能
マージャンというと、少々ダーティーなイメージを持つ人もいるかもしれない。しかしこれが、大いに脳を活性化させ、認知症予防にもよいという。
「賭けない・飲まない・吸わない健康マージャン」をスローガンに、マージャンの知的ゲームとしての魅力や有効性を提唱している日本健康麻将(マージャン)協会・理事の西野孝夫さんに聞いた。
人と話す、相手の手を読み考える、偶然の喜びが何度も起こる!
健康マージャンが介護予防によい理由は以下の通りという。
●対戦相手と楽しい会話ができる
●自分の手や相手の状況を予想し、頭を使う
●“偶然の幸運”などに気持ちが高揚する
●会場に来場するため生活にメリハリ
マージャンは自分の手元に13個の牌(はい)を持ち、順番にシャッフルされた牌の山の中から“1個取っては1個捨てる”を繰り返しながら、役(やく・特定の文字や数字の配列パターン)を揃えていくゲームだ。
「雀卓を囲んだ4人が和やかに会話をしながら手を動かし、会話の中からほかの3人の状況を読む。そして何よりマージャンのおもしろさは、牌の山から偶然、取った牌によって状況が大きく変わったりすること。この“偶然”は初心者からプロまで平等に与えられる運で、狙い通りに勝利に導かれたり、またある時は期待を大きく外したり、1つのゲーム毎に様々なドラマが展開するのです。この気持ちの高揚の繰り返しが、また次のゲームをやりたいという気持ちにつながる。新しいゲームごとにまた新たな偶然、一喜一憂のドラマが生まれ、おもしろさが尽きないのです」(西野さん)
健康マージャンをすると脳の血流増、脳年齢が3才若くなる
マージャンのように頭や手先を動かすことは一般的に“脳の活性化にいい”と言われるが、日本健康麻将協会ではこれを科学的に実証すべく、2007年から2年をかけて「健康マージャンが脳活動に及ぼす影響調査」を実施。検証実験調査・研究を諏訪東京理科大学教授で脳科学者の篠原菊紀さんに委託した。
調査の第1ステップでは、健康マージャン愛好者の脳年齢を測定した。700人のデータベースから脳年齢を推定するシステムを利用し、健康マージャンをしている55人(平均年齢68才)の脳年齢を算出。その結果、なんと実年齢より3才も若いことがわかった。
また第2ステップでは、マージャンを行っている最中の脳内血流を測定。多チャンネル近赤外線分光法と呼ばれる脳活動測定機器を実際に対戦中の中高年16人の頭部に装着し、脳の血流が多くなり活性化している脳部位を調べた。すると、思考や創造性、ワーキングメモリーと呼ばれる作業記憶、計画性、推論など、認知・実行機能を司る「前頭前野」と、空間認識や運動知覚などに関わる「頭頂連合野」が活性化していることがわかった。
「前頭前野」や「頭頂連合野」は年齢を重ねるごとに衰えやすい部位であり、健康マージャンが中高年の脳の健康に役立つことが科学的にも検証されたことになる。
また健康マージャンは、2007年から「ねんりんピック(全国健康福祉祭)」の正式種目にもなっている。「ねんりんピック」は高齢者の福祉向上を目指して開催される厚生労働省・地方自治体・財団法人長寿社会開発センター主催の大会で、60才以上の参加者がラグビーやソフトバレーボールといったスポーツをする祭典だが、マージャンも高度な思考能力で競い合う頭脳ゲーム“マインドスポーツ”として評価されている。