令和8年度「子ども・子育て支援金制度」高齢者への影響は?独身税とも呼ばれる新制度で家計に負担も【専門家解説】
令和8年度から「子ども・子育て支援金制度」がスタートする。独身者や子どもを持たない世帯からも保険料が徴収されることから、「独身税」と揶揄されているが、どんな制度なのか。高齢者の負担はいくらくらいなのか。ファイナンシャルプランナーで行政書士の河村修一さんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家
河村修一さん/ファイナンシャルプランナー・行政書士
内外資系の生命保険会社を経て、2011年に母の介護経験をもとに介護者専門FPとして独立。その後、2018年にカワムラ行政書士事務所を開業。介護や相続、親の介護をめぐる家族会議支援など、将来に備えるサポートを幅広く行う。
深刻化する少子化、新たな制度がスタート
日本の出生数は毎年減少傾向にあり、令和6年においても前年よりも4万1,115人減少しています。厚生労働省の人口動態統計によると、平成27年には100万5,677人だった出生数は令和6年には68万6,173人となり3割強も減少しています。
このような状況から、少子化に対応し、日本の将来に備えるために子ども・子育てに関する施策の拡充が進められています。その財源の一部として創設されたのが「子ども・子育て支援金制度」です。
※厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
子ども・子育て支援金制度とは?
子ども・子育て支援金制度をつくるための法律案は2024年の国会で審議され、2024年6月5日に成立しました。この制度は、全世代および企業が医療保険料とあわせて一定の負担を行い、その財源を子ども・子育て世帯への支援に充てるものです。
独身のかたや子どもを持たない人も負担する仕組みとなっているため、「独身税」といった表現も見られますが、特定の人だけが負担する制度ではありません。
なお、この支援金は、子ども・子育て世帯への支援を充実させるための財源の一部となるものであり、既存予算や歳出改革とあわせて確保されています。
現在、児童手当の拡充や妊婦のための支援給付など、子ども・子育て支援の拡充がすでに始まっています。令和8年度からは「こども誰でも通園制度」、令和8年10月分からは育児期間中の国民年金第1号被保険者の保険料免除制度が創設されます。これらの施策の財源として、令和8年度から支援金制度が導入されています。
※こども家庭庁「加速化プランによる子育て支援の拡充と子ども・子育て支援金」
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkin
「子ども・子育て支援金」は、いつから?いくら払うの?
「子ども・子育て支援金」は、令和8年4月分から医療保険料とあわせて負担する仕組みになっています。ただし、実際の負担開始時期は加入している医療保険制度によって異なります。
また、支援金については、社会保障の歳出改革により負担は相殺される仕組みとされていますが、個々の負担が必ずしも変わらないとは限りません。どんな人がいくらくらい負担が増えるのか、以下で確認していきましょう。
※こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001670257.pdf
会社員は5月分の給与から徴収スタート
会社員や公務員など被用者保険に加入しているかたは、5月分の給与から天引きが始まります。
国民健康保険や後期高齢者医療保険制度に加入しているかたは、保険者によって異なりますが、6月から7月頃に納入通知書が届き、支援金額や開始時期が通知されます。
支援金は、令和8年度から令和10年度にかけて段階的に引き上げられますが、令和11年度以降は、さらに引き上げられるものではありません。
一人当たり約300円~550円、後期高齢者は200円
令和8年度の支援金額(平均月額)の目安は、健保組合では被保険者一人当たり約550円、国民健康保険は一世帯当たり約300円、後期高齢者医療制度では被保険者一人当たり約200円とされています。
令和9年、10年度はさらに引き上げも…
令和9年度には健保組合では被保険者一人当たり約700円、国民健康保険は一世帯当たり約450円、後期高齢者医療制度では被保険者一人当たり約250円となる見込みです。
令和10年度には健保組合では被保険者一人当たり約900円、国民健康保険は一世帯当たり約550円、後期高齢者医療制度は被保険者一人当たり約350円まで引き上げられる見込みです。実際の額は加入する医療保険制度や所得等により異なります。
令和8年度から令和10年度の支援金額(平均月額)推計
・令和8年度試算額
健保組合(被保険者1人当たり)…550円
国民健康保険(一世帯当たり)…300円
後期高齢者医療制度(被保険者1人当たり)…200円
・令和9年度見込み額
健保組合(被保険者1人当たり)…700円
国民健康保険(一世帯当たり)…450円
後期高齢者医療制度(被保険者1人当たり)…250円
・令和10年度見込み額
健保組合(被保険者1人当たり)…700円
国民健康保険(一世帯当たり)…450円
後期高齢者医療制度(被保険者1人当たり)…250円
※表参照/こども家庭庁/子ども・子育て支援金制度について[参考]令和9年度以降の支援金額の見込みについてはこちら(PDF/460KB)
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fb3dbb28-102a-4840-90a5-00ad2e0d117f/e7968b5b/20251226policies-kodomokosodateshienkinseido-03.pdf
※こども家庭庁 最近話題の「子ども・子育て支援金制度」について
https://kodomo-gov.note.jp/n/n847bb1e8fad4
高齢者にとっては家計に影響を与える可能性も?
単身世帯(年金収入のみ)の場合、一人当たりの支援金額はどの程度になるのでしょうか。
年金収入が月額約14.58万円(年収約175万円)のかたでは、令和8年度において月額100円程度、年間で1,200円程度の負担増となる見込みです。
金額としては大きくはありませんが、物価上昇が続く中では、こうした負担の増加が家計に影響を与える可能性もあります。特に、年金収入のみで生活しているかたにとっては、手取り収入が減ること自体が心理的な負担につながる場合もあります。
後期高齢者医療制度 :年収別の支援金額の試算(令和8年度)
単身世帯(年金収入のみ)の一人当たり支援金額
年金収入…被保険者一人当たり(月額・50円単位)
80万円…50円
100万円…50円
125万円…50円
150万円…50円
175万円…100円
200万円…200円
「子ども・子育て支援金制度」高齢者への影響は?【まとめ】
子ども・子育て支援金制度は、独身税とも呼ばれていますが、独身のかただけが負担するものではありません。全世代および企業が医療保険料とあわせて一定の負担を行い、その財源を子ども・子育て支援に充てるものです。
支援の対象は子ども・子育て世代ですが、拡充された支援金で育った子どもは成長し、将来は日本の社会保障制度の担い手になります。今の高齢者にとっては物価上昇の中で、さらなる負担が生じることになりますが、この制度の背景を知っておくことも参考になります。
負担額・開始時期は加入している医療保険制度や所得などによって異なるため、ご自身の状況に応じた影響を確認しておくことが大切です。ご不明点がある場合は、「子ども・子育て支援金制度コールセンター(0120-303-272)」に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
