「介護保険施設の利用料値上げへ」臨時介護報酬改定で何が変わる?いくら負担が増える?【FP解説】
物価高騰が続く昨今、介護施設の費用も値上げも…。令和8年度の臨時介護報酬改定により、介護保険サービスの一部が引き上げとなる。何が値上げとなるのか、いつからなのか。介護経験をもつファイナンシャルプランナーで行政書士の河村修一さんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家
河村修一さん/ファイナンシャルプランナー・行政書士
内外資系の生命保険会社を経て、2011年に母の介護経験をもとに介護者専門FPとして独立。その後、2018年にカワムラ行政書士事務所を開業。介護や相続、親の介護をめぐる家族会議支援など、将来に備えるサポートを幅広く行う。
令和8年度「臨時介護報酬改定」で利用者への影響は?
「介護報酬」とは、介護サービスを提供する事業者に支払われる費用のことで、介護職の賃金のほか、介護施設など介護サービスを利用者する人の費用にも関わる制度です。
この介護報酬は、原則3年に1度改定されます。次の改定は令和9年度ですが、それを待たずに今年度(令和8年度)に臨時改定が実施されることになりました。今回の改定の中で、介護保険を利用している利用者に関わる変更点を確認しておきましょう。
何が変わる?いつから?
近年の物価高騰により、食事の提供にかかる費用と利用者の負担費用に差が生じていることから、令和8年度の臨時改定により「食費」が引き上げられます。また、一部「居住費」の見直しも行われます。いずれも令和8年8月から引き上げが実施されます。
補足給付の見直しも実施
令和8年8月からは「補足給付」※の負担限度額の見直しも実施されます。「補足給付」とは、低所得者などを対象に、介護保険施設に入所する際の食費・居住費の自己負担を軽減する制度で、利用者負担段階(第1~第3段階)に応じて見直しが行われます。
※特定入所者介護(予防)サービス費(補足給付)/介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)やショートステイを利用する人の食費・居住費について、低所得などの方への補助(補足給付)を行う制度。
「食費」「居住費」いくら値上げされる?
食費については、介護保険施設等の食費の基準費用額が、1日あたり100円引き上げられます。1か月(30日)利用した場合、月額で3000円の負担増となります。
ただし、低所得等の人については利用者負担段階(第1~第3段階)に応じて、負担は据え置き、または30~60円の引き上げにとどまります。低所得者への配慮を残しつつ、一定の見直しが行われる形となっています。
また、令和9年度中には、さらに細分化した区分が設けられ、負担限度額が見直される予定になっています。
居住費については、第3段階【2】(年金収入等120万円超)の人を対象に、負担限度額が100円(30日で3000円)の引き上げとなります。
今回の見直しにより、介護保険施設の入所者がいらっしゃるご家庭では、家計に一定の影響が生じるため、事前に月額ベースで試算しておくことが大切です。
※厚生労働省・老健局/補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み (令和8年8月~)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000305806
臨時介護報酬改定の影響【まとめ】
2026年8月から、介護保険施設の利用者を対象に、食費の基準費用額の引き上げのほか、補足給付における食費の負担限度額の見直し、一部の利用者では居住費の見直しも行われます。
令和8年8月から変わること
利用者負担
・介護保険施設等の食費の「基準費用額」は1日あたり100円引き上げ
・所得や資産などが一定額以下のかたの「食費」の負担は据え置き、または30~60円の引き上げ
・所得や資産などが一定額以下のかたの「居住費」の負担は据え置き、または100円の引上げ
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制度改正の内容や対象や、金額を理解し、家計への影響を事前に確認しておくことが重要です。
