高齢者向け【スマホ購入費の助成金】東京都ほか全国に波及|対象者や条件は?「最大3万円の助成金も」【FP解説】
高齢者のスマホ普及率は、60代は91%、70代は83%、80代前半でも62%となり年々増加している※。生活にスマホが欠かせなくなりつつある昨今、高齢者に向けて東京都がスマホ購入の支援事業をスタート、全国にも広がりを見せている。いくらもらえる?対象者や要件などについて、ファイナンシャルプランナーで行政書士の河村修一さんに解説いただいた。
※2024年NTTドコモ モバイル社会研究所調べ。
この記事を執筆した専門家
河村修一さん/ファイナンシャルプランナー・行政書士
CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、認知症サポーター。兵庫県立神戸商科大学卒業後、内外資系の生命保険会社に勤務。親の遠距離介護の経験をいかし、2011年に介護者専門の事務所を設立。2018年東京・杉並区に「カワムラ行政書士事務所」を開業し、介護から相続手続きまでワンストップで対応。多くのメディアや講演会などで活躍する。https://www.kawamura-fp.com/
高齢者が対象の「スマートフォン活用支援事業」
東京都は、都民の暮らしをより便利で快適にするため、行政サービスのデジタル化を強力に進めています。誰も取り残さないデジタル社会を目指し、スマートフォンなどの操作に不慣れな高齢者も安心して利用できるよう、取り組みをさらに強化するため、令和7年度から新たに「高齢者のためのスマートフォン活用支援事業」が始まりました。
この事業では、初めてスマートフォン(以下、スマホ)を購入する高齢者を対象に、購入費用の一部を補助するとともに、スマホ教室などの利用を促す取り組みを通じて、高齢者がデジタルの便利さを実感できるようサポートすることを目的としています。
※参考/東京都「高齢者のデジタルデバイド解消に向けたスマートフォン活用支援事業」において連携する電気通信事業者の募集について
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/information/topics/2025/20250519
区によって要件や助成金は異なる「最大3万円も」
東京都内でも、複数の自治体で高齢者を対象としたスマホ購入費用の補助制度が始まっています。たとえば、杉並区、北区、江戸川区、世田谷区、新宿区などがその一例です。
同じ東京都内でも、自治体によって制度の内容や助成金の上限が異なりますので、詳細はお住まいの自治体のホームページをご確認ください。
ここでは一例として、筆者が在住する杉並区のケースを紹介します。
杉並区の場合「最大3万円の助成」
杉並区では、スマホを初めて購入する高齢者を対象に、一定の条件を満たした場合、最大3万円の助成が受けられます。対象となるのは、データ通信契約を行ったスマホ本体の購入費で、マイナンバーカードを読み取れるNFC認証機能と音声入力機能を備え、iOS16以上またはAndroid9以上の機種に限られます(1人1台まで)。
また、スマホ本体に同梱されていない充電器を同時に購入した場合の費用や、契約時の事務手数料、Apple IDやGoogleアカウントを設定するためのアカウント設定料、データ移行の手数料、さらに店頭サポート料(月額サービスの場合は初月分のみ)も助成対象となります。
申請期間は令和7年11月10日(月)から令和8年3月10日(火)までで、予算に達し次第終了する場合があります。
※参考/杉並区「【上限3万円】65歳以上の方向け!スマートフォン購入費用を助成します(2025年11月1日)」
https://www.city.suginami.tokyo.jp/s038/news/23356.html#p1
江戸川区の場合「1世帯につき最大1万円」
江戸川区では「スマホを持っていない世帯」を対象とする制度になっています。デジタルデバイド(情報格差)の解消を目的に、一定の要件をすべて満たした世帯に対して、1世帯につき最大1万円を助成しています。
助成の対象となる経費は、NFC認証機能を搭載したスマホの本体購入費、スマホ本体に付属していない充電器を同時に購入した場合の費用、契約時の事務手数料、アカウント設定料、データ移行手数料などです。
申請期限は令和8年3月31日(月)までで、申請は住民票上の世帯単位で行う必要があります。
※参考/江戸川区「スマホ不所持世帯スマホ購入助成金交付事業」
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e039/kenko/fukushikaigo/digital/sumaho.html?utm_source=qr
東京都以外の自治体ではどうなの?
東京都以外でも、高齢者のデジタル活用を支援する目的で、スマホの購入費用を補助する自治体があります。各自治体によって補助の内容や要件が異なるため、お住いの自治体に問い合わせをして確認してみましょう。
一例として、宮城県栗原市、茨城県常陸太田市のケースを見てみましょう。
宮城県栗原市の場合
市内に住んでいる高齢者がスマホを利用し、いつでも・どこでも防災情報を確認できる環境を整えることを目的としています。
補助金は、スマホの「本体購入費用・充電器購入費用・事務手数料」の合計金額に対して最大2万円まで交付されます。申請受付は令和7年(2025年)4月1日から始まっています。
※参考/宮城県栗原市「高齢者スマートフォン購入費補助金」
https://www.kuriharacity.jp/w006/010/010/PAGE000000000000011802.html?utm_source=chatgpt.com
茨城県常陸太田市の場合
より多くの高齢者が手軽に情報を得られるよう、初めてスマホを購入する方を対象に助成金を交付しています。
対象者は、スマホをお持ちでないかたや、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)からの買い替えを検討しているかたです。
助成金の金額は1人あたり3万円で、スマホの購入費用や購入後にかかる費用も対象となります。申請期間は令和7年(2025年)4月1日から令和8年(2026年)3月31日までです。
※参考/茨城県常陸太田市「はじめてのスマホを応援します」
https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page007908.html
高齢者にとってスマホに移行するチャンス
スマホに苦手意識を持つ高齢者にとっても、この制度は大きなチャンスです。特にお一人暮らしのかたは、スマホの使い方を直接教えてもらう機会が少ないのではないでしょうか。
スマホ教室では、基本操作、電話、インターネットの使い方、アプリのインストールの仕方など、初めてのかたでも安心して使えるよう丁寧にサポートしてもらえます。さらに、購入費用の一部が補助金でまかなわれるため、経済的な負担も軽くなります。
ただし、予算には限りがあるため、購入やガラケーからの買い替えを検討しているかたは、早めに申請手続きを行うようにしましょう。
高齢者向け「スマホ購入費用の補助制度」【まとめ】
スマホ購入費用の補助制度は、自治体によって内容や上限額、申請期間が異なります。「スマホは難しそう」と感じている高齢者のかたにとっても、この制度は購入を始めるよいきっかけになります。制度の詳しい内容や申請方法については、お住まいの自治体やホームページで確認しておきましょう。
