映画館や飲食店、コンビニでグラッ!大地震から身を守るための行動を専門家が伝授【お役立ち記事まとめ】
気象庁によると「南海トラフ地震」は、マグニチュード8~9クラスの揺れとなることが予測されている。大地震が起きたそのときに、いったいどこにいるのか。映画館や飲食店、スーパー、コンビニなどの買い物中、シーン別にとるべき行動について、これまで紹介したお役立ち記事からピックアップ。いざというときの行動を確認しておきたい。
【映画館】東日本大震災では、吊り天井の落下事故が2000件発生
「古い映画館を除き、映画館は基本、オフィスビルなどよりも厳しい耐震基準を満たし、不燃性物質を使用するなどの対策がとられているので安全度は比較的高いといえます。しかし、東日本大震災では、東北から関東の広範囲で、映画館をはじめ音楽ホールや体育館などの吊り天井の落下事故が発生しており、その数は2000件に及びました。というのも、これまで天井などの非構造体には明確な耐震基準がなく、落下防止の有効な対策はほとんどとられてこなかったからです」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
これらの事故を受け、2014年4月には大規模空間に使われる天井の耐震基準が改正された。その後、建設された施設では落下防止措置がとられるようになっている。
「とはいえ、近年もシネコンなどで天井落下が発生していることから、大規模空間の天井は落ちてくる可能性があると思っておいた方がいいでしょう」(和田さん・以下同)
映画館は大きな揺れがあると上映が自動停止、非常灯が点灯する
映画館では、大きな揺れがあるとすぐに上映が自動停止し、非常灯が自動点灯するようにプログラムされている。密室の劇場内からすぐに避難したくなるのが心情だが、揺れている中での避難は禁物だ。
「天井や照明、柱などが落ちてくることを踏まえ、頭上をかばんなどでカバーしつつ、できるだけ身をかがめて、座席の間に身を隠します。座席の間にうずくまることで、万が一、天井のパネルなどが落下してきても、座席の背が盾となり、体への直撃を避けられます」
このとき、怖がって目をつぶったり、下を向いていては不測の事態に対処できないので、視線を上げて周囲の状況をうかがいながら隠れること。
揺れが収まったら、係員の指示に従い、速やかに移動し、ロビーなどで余震に注意しながら安全を確保する。
また、1か所の出口に人が殺到すると群衆雪崩が発生する可能性もある。被災時は必ず複数の出口が開放されるので、人波に流されず、落ち着いて行動しよう。
初出/女性セブン
【飲食店】テーブルの下に潜れる状況ならば、テーブルの下に避難を
外食時に、地震が発生したらどうすればいいのか?
「真上に落ちてくるような照明や家具がなく、周囲にも転倒してくるものがなければ、無理にテーブルの下に潜る必要はありませんが、瞬時に自分のいる席が安全かどうかを判断するのは難しい。ですから、テーブルの下に潜れる状況なのであれば、まずはテーブルの下へ避難し、揺れがおさまるのを待ちましょう」
と語るのは、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんだ。
テーブルの下に潜れない場合は、かばんなどで頭をガードしつつ自席の近くでしゃがもう。
さらにその後、避難することを考えると、最初から安全度の高い場所のテーブルに着いた方がいいが、それは一体店内のどこだろうか。
より安全な席は、店内中央
「出入り口付近は、レジや券売機、名前を書くボード、食品サンプルメニューのガラスウインドーなど、大きな揺れの際に転倒・破損する恐れのあるものが多く注意が必要なエリアです。窓側の席も、窓が破損する恐れがあるうえ、揺れによりハンドルをとられた車が飛び込んできたら大惨事になります。これらを鑑みて、店内中央の席が安全といえます」(高荷さん)
飲食店は食器類や酒の瓶などの割れものが多い。そのため、それらが割れる音や食器同士がぶつかる音など、恐怖心をあおる音が四方から聞こえてくると思うが、決してパニックを起こさないこと。自分の席で待機し、店員の指示に従って避難しよう。
カウンター席もまた、酒瓶やディスプレー、調理機器など、地震の際に倒れそうなものが多く、危険度が高い。ドリンクバーの近くも、割れて破損する恐れのある食器が多く、ドリンクバー自体が倒れる可能性もあり、注意が必要だ。シャンデリアやスピーカー、プロジェクターなどが吊ってある場合も、その付近は警戒を。また、配膳用のワゴンなど、キャスターが付いているものは、ぶつかったり、挟まれるとけがをする恐れがあるので近づかないこと。
これらを踏まえ、店に入ったら、落下してくるようなものはないか、周囲に転倒してくるものがないかなどを確認する癖をつけよう。
初出/女性セブン
【スーパーやショッピングモール】慌てて建物の外に飛び出してはいけない
「スーパーマーケットやデパート、ショッピングモールで被災した場合、棚から商品が落ちてきたり、展示品などが倒れてくる恐れがあります。かばんなどで頭を守りながら、素早くショーケースや商品棚から離れましょう」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
素早く商品棚から離れる
慌てて出口に向かって走ったり、建物の外に飛び出したりしてはいけない。転んだり、落下物によりけがをする可能性が高いからだ。
揺れがおさまったら広い場所で待機する
「揺れがおさまったら、通路やエレベーター前のスペース、階段の踊り場など、物が倒れてきたり落ちてくる恐れのない広い場所で待機しましょう。その後、店員の指示に従って避難します」(和田さん・以下同)
【コンビニ】で被災した場合は?「レジ周りは危険」
では、店内に待機できるような広い場所がなく、商品棚でほぼ埋め尽くされたコンビニエンスストア(以下コンビニ)で被災した場合はどうしたらいいのだろうか。
コンビニの商品棚は独自の安全基準で設置されている
前述のスーパーマーケットなどの例を考えると、商品棚の間は危険そうだ。しかし、コンビニに限っては、ちょっと話が違うという。
というのも、大手コンビニチェーンは災害時、トイレや水の提供など、被災者支援を行う指定公共機関となっている。そのため、地震発生時に店内で被害が出ないよう、強度の高いガラスを使ったり、棚の高さも低く抑えたうえでしっかり固定するなど、独自の安全基準を設けているのだ。
レジ回りの揚げ物ショーケースは危険
「震度6強~7の地震発生後のコンビニ店内の様子を見ても、商品棚はほとんど倒れていません。それよりも危険なのは、レジ回りにあるコーヒーマシンや揚げ物用のショーケースなどです。これらは大地震の際、倒れているケースがほとんど。地震発生時にレジ付近にいたら、すぐに離れた方がいいでしょう」
ただし、ワインボトルなど割れ物が近くにある場合は話は別だ。倒れて割れたガラスが飛び散ることも考えられるので、それらの商品棚の近くにいる場合は、すぐに離れた方がいい。
雑誌コーナーの前か、レジの反対側スペースが安全
ちなみにコンビニ店内で最も安全なのは雑誌コーナーの前か、レジと反対側のスペース。揺れがおさまるまではここで待機するのがおすすめだ。
初出/女性セブン
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー、高荷智也さん/備え・防災アドバイザー
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