映画館でグラッ!地震が発生したとき、身を守るための行動を専門家が伝授!
10月7日22時41分頃に千葉県北西部に発生した地震は、最大震度5強を観測し、エレベータの停止、水道管の破裂や舎人ライナーの脱線・停止など各地で被害が報告されている。いつ、どこで地震が発生するかわからない中、命を守るためにどのような行動をすべきか…。今回は映画館で被災した場合について、専門家に教えてもらった。
コロナ禍で休業していた時期もあったが、徐々に営業を再開し始めた映画館。公開延期だった作品も封切りとなり、映画鑑賞を予定している人もいると思うが、上映中に被災したらどうすべきか?
東日本大震災では、吊り天井の落下事故が2000件発生
「古い映画館を除き、映画館は基本、オフィスビルなどよりも厳しい耐震基準を満たし、不燃性物質を使用するなどの対策がとられているので安全度は比較的高いといえます。しかし、東日本大震災では、東北から関東の広範囲で、映画館をはじめ音楽ホールや体育館などの吊り天井の落下事故が発生しており、その数は2000件に及びました。というのも、これまで天井などの非構造体には明確な耐震基準がなく、落下防止の有効な対策はほとんどとられてこなかったからです」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
これらの事故を受け、2014年4月には大規模空間に使われる天井の耐震基準が改正された。その後、建設された施設では落下防止措置がとられるようになっている。
「とはいえ、近年もシネコンなどで天井落下が発生していることから、大規模空間の天井は落ちてくる可能性があると思っておいた方がいいでしょう」(和田さん・以下同)
映画館は大きな揺れがあると上映が自動停止、非常灯が点灯する
映画館では、大きな揺れがあるとすぐに上映が自動停止し、非常灯が自動点灯するようにプログラムされている。密室の劇場内からすぐに避難したくなるのが心情だが、揺れている中での避難は禁物だ。
「天井や照明、柱などが落ちてくることを踏まえ、頭上をかばんなどでカバーしつつ、できるだけ身をかがめて、座席の間に身を隠します。座席の間にうずくまることで、万が一、天井のパネルなどが落下してきても、座席の背が盾となり、体への直撃を避けられます」
このとき、怖がって目をつぶったり、下を向いていては不測の事態に対処できないので、視線を上げて周囲の状況をうかがいながら隠れること。
揺れが収まったら、係員の指示に従い、速やかに移動し、ロビーなどで余震に注意しながら安全を確保する。
また、1か所の出口に人が殺到すると群衆雪崩が発生する可能性もある。被災時は必ず複数の出口が開放されるので、人波に流されず、落ち着いて行動しよう。
まとめ
●天井が落ちてくる可能性を考えておく。
●映画館は大きな揺れで上映が自動停止し、非常灯が点灯するプログラムになっている。
●揺れている最中の避難は禁物。
●頭上をかばんなどでカバーして、身をかがめる。
●座席の間にうずくまる。
●目はつぶらず、視線を上げて状況を伺う。
●群衆雪崩に注意。人波に流されず落ち着いた行動を。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃