大地震が起きたら…足腰の悪い高齢の親と2人暮らし。どうやって避難する?
いつ起こるかわからない地震。発生を予測することは、なかなか難しいが、心構えはしておきたいものだ。特に高齢の親と暮らしているときは、避難の仕方も気を配りたいものだ。いざというときに迷わないためのノウハウを専門家が伝授します!
まず、問題です。足腰の悪い親2人暮らし。親を連れて避難する場合、どうするのがいい?
A 車いすを活用して避難
B 徒歩で複数人と一緒に避難
正解は、以下をご一読ください。
災害時、高齢者は犠牲になりやすい
東日本大震災の死者のうち、60才以上の割合は約65%に上る(’11年版防災白書)。
「災害時、命の危険にさらされる確率が高いのが60才以上のシニア世代です。体の機能や体力の低下により、突然の大きな揺れに反応できなかったり、避難に時間がかかるうえ、自力で避難できずに逃げ遅れるなど、高齢者は犠牲になりやすいんです」
と話すのは、地域防災支援協会代表理事の三平洵さんだ。
もしそんな“災害弱者”である高齢者と2人きりで被災した場合、どうすべきか?
自宅から避難しなくてもいい家づくりをしておく
「地震が起きると、高齢者とともに急いで家の外に出て避難場所に行こうとするかたが多いのですが、土砂崩れや津波、火災などの恐れがなく、建物も致命的な被害がないのであれば、無理に外に出る必要はありません。むしろ、足腰の悪い高齢者を連れ出す方が転倒してけがをさせるなどのリスクが高い。けがをしては、命が助かっても、その後の避難生活に支障が出たり、入院して体が弱まるなど災害関連死につながる恐れもあります」(三平さん・以下同)
高齢者のいる家庭は特に建物を耐震化したり家具を固定するなど、自宅から避難しなくてもいいような家づくりをしておくことが大事だという。
車いすでは、道が通れないことも…
そうはいっても、避難せざるを得ない状況になることもある。女性が高齢者を背負って歩くのは難しい。となると、車いすが便利そうだが‥‥。
「いつもは通れる道も、災害時は状況が一変。がれきが散乱して通れなかったり、通れたとしても車いすのタイヤがパンクする恐れもあります」
というわけで、今回はBをまず選択したい。
避難は自分の足で歩くのが基本。高齢者の場合、転倒してけがをする恐れもあるので、絶対にひとりで避難させず、一緒に避難しよう。介助者も1人より2人の方がより安心なので、近所の人などに協力してもらうのも手だ。
「いざというときに助けてもらえるよう、自治会に入っておき、地域の防災訓練に参加するなど、近所の人とコミュニケーションをとっておくことが大切。
高齢者がいることを周囲に伝え、事前に協力をお願いしておきましょう」
とはいえ、やむを得ない事情で車いすで避難しなければならない場合もあるはずだ。そういうときは、足回りの強い頑丈な車いすを用意し、避難経路を確認しておくなどの準備をしておく必要がある。
教えてくれた人
三平洵さん/地域防災支援協会代表理事
※女性セブン2020年7月23日号
https://josei7.com/
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