電車を待つホームにいるとき大地震が起きたら…駅から逃げる?取るべき行動を専門家が解説
多くの人が通勤・通学などで利用する駅。そのホームにいるときに被災したら――。東日本大震災のときは、幸いにも人的な被害は出なかったものの、宮城県の仙台駅などの5駅で天井のパネルなどが破損・落下している。命を守るために取るべき行動はなんだろうか?専門家に教えてもらった。
「JR、民鉄ともに駅舎の耐震化を進めていますが、強度に差があるのが現状です。駅舎の中でも特にホームは、電光掲示板や蛍光灯などの落下物や、自動販売機などの転倒しやすいものが多く、危険度が高い場所といえます」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
となると、まずホームからは離れた方がいいのだろうか‥。
階段付近の「群衆雪崩」に要注意
「東日本大震災では、階段付近で“群衆雪崩”が発生し、複数のけが人が出ています。一刻も早くホームから離れたい気持ちはわかりますが、階段付近は揺れで倒れてきた人でけがをする恐れがあります。ですから、階段付近には近づかない方が得策でしょう」(和田さん・以下同)
電車が停車いていたら車内に逃げる
では、どこへ逃げるのいいかというと、ホームに電車が停車している場合、車内に逃げ込むといいという。
「停車している電車内は倒れてくるものや落下物が少ないので比較的安全なスペースといえます。電車内に避難したら、手すりやつり革などにつかまり、揺れが収まるのを待ちます。その後は駅係員の指示に従って行動しましょう」 
かばんなどで頭を保護し揺れが収まるのを待つ
ホームに電車が停車していない場合でも、ホームから離れようと階段に向かうのではなく、まずはかばんなどで頭を保護しつつ、近くのベンチや柱などにつかまって、揺れが収まるのを待つ方が安全度が高いという。
線路への転落に注意!線路から離れる
首都圏を中心にホームドア(※)の設置も進んでいるが、ない場所では、揺れた際にバランスを崩してホームから線路に転落する危険性もある。そのため、地震発生時は、線路側にも行かないようにし、線路の側にいた場合はすぐに離れるようにしよう。
駅舎は帰宅困難者の一時滞在場所の機能を持っている
揺れが収まった後も、様子がわかるまでは無理に移動せず、駅舎にとどまっていた方がいい。というのも、駅舎は帰宅困難者の一時滞在場所としての機能も持っているからだ。駅によっては、一定の乗客がその場にとどまれるように水や毛布を備え、トイレや公衆電話も開放してくれる。早く帰宅したいかもしれないが、焦らずに状況を見極めて行動しよう。
※プラットホームからの転落や、列車との接触事故防止などのため、線路に面する部分に設置された仕切り扉。
まとめ
●階段付近は「群衆雪崩」の恐れが。慌てて逃げない
●ホームに停車中の電車がある場合は車内へ避難を
●電車が停車していない場合は、頭を保護しつつベンチなどにつかまり揺れが収まるのを待つ
●揺れが収まったあとも、駅舎にとどまる
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年10月29日号
https://josei7.com/
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