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連載

「81才の母、大浴場でピンチ」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第27話

 漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさんの母は、いつどうなるかわからず完治もしない膵臓の病を抱えている。入院や手術と紆余曲折を経て、「元気なうちに人生を楽しむ」と決意した母。人生初の長距離の旅へ――。温泉やお宿のご飯を選ぶとき、高齢の親と旅をするときの知恵とヒントが!

NO老いるコミック27

80代の母は長距離ドライブに耐えられるか?

 母、81才にして初の長距離の車での旅、2泊3日を決行することになりました。私の愛車(軽)に乗って山口県から400km以上離れた鹿児島を目指します。

 旅のプランは、こんな感じです。

1日目:指宿のホテルに着く(泊まる)

2日目:枕崎で鰹節を買う

    鹿児島最大の繁華街・天文館のホテルに泊まり、繁華街で夕食

3日目:お土産を買いながら帰る

「え?観光は!?」と言われるかもしれませんが、これが私流の「旅」で、基本どこにも行きません。メインが「ドライブ」なので景色の良い所は走りますがほとんど走りっぱなしです。

 そんな訳で、この旅で何より心配だったのは「母が長時間のドライブに耐えられるか」でした。

 しかも1日目の目的地、指宿までの走行距離456kmのうち約410kmが高速道路です。

 スピードを出さず休憩もちょくちょく入れて、とシミュレーションはしましたが、前日まで「もっと大きな車を借りて行った方がいいのでは」と悩みました。

 それでも自分の車で行ったのは、私と同じ車でお母さんの介護をしていた友人から「母は普通車やワゴン車よりこの車(アウトドアタイプの軽)が一番乗り降りがしやすくてラクチンだと言ってた」と聞いていたからです。

 ものすごく乗り心地の良い高級車を借りるほどの財力はない。中途半端な普通車を借りるくらいならまだ新しい(買って3年)の軽の方が良いかも。もし途中で母が耐えきれなくなったら、、、その時は諦めて引き返そう(大損ですけど)

 ――結論から言うと、問題ありませんでした。

 むしろ信号や渋滞などなくて同じ速度でずっと走るのでいつもより燃費も良く、こまめに休憩したおかげか母の腰にもダメージは出ず、SAはどこも充実していて、山口・福岡・佐賀・熊本・宮崎・鹿児島とちょっとずつ変わる「ご当地感」を楽しみながらドライブを満喫しました。

 問題があるとしたら30分~1時間おきにSAで休憩、朝9時に出発してホテルに着いたのが17時過ぎ。

 片道たっぷり8時間かかったこと。現地で観光、は無理かもしれません。「道中も旅」と楽しめるかたにはおすすめです(母はお土産買い物三昧でした)。

砂風呂からの大浴場で、母ピンチ!

 鹿児島の旅、1泊目は指宿。母好みの「昭和レトロな観光ホテル」です。

 鹿児島で何か目的があるか母に聞いてみると、「砂蒸し風呂に入りたい」とのこと。昔々お友達と指宿に行った時、体調が悪くて自分だけ入られなくてそれがずっと心残りだったと。

 なんとこのホテルには、砂蒸し風呂が付いているんです。夕食前にさっそく砂蒸し体験をしようということになりました。

 温度は少し低めでしたが、高齢の母にはこのくらいがちょうど良かったかも。15分ほど母と2人で砂に埋もれて、砂落としのシャワーを浴びて、次は大浴場へ!

大浴場で感じた「母の老い」

 母と2人で並んで湯船に向かっていたところ、突然母がすーっと後ろにすべっていったんです。滑らかに静かに、スケートでもしているように。えええええ~~~!?

 慌てて追いかけて腕をつかんで止めたのですが、本人もびっくりして目が点。

「急に足が浮いて勝手にすべっていったんよ~」

 大浴場の濡れた床で、足をふんばる力がなかったということ?「これが筋力の衰えというものか…」と。

 それにしても、仰向けに転んで後ろ頭を打って、、、みたいなことにならなくて良かった。しかし今回は運が良かっただけで、もう母はそういう状態なんだと…。ちょっとした段差や階段の上り下りにも気を配らなければならない。親の老いを急激に実感しました。

 夕食を終え、ホテルの昔ながらの「カラオケラウンジ」で1曲歌ってご満悦。鹿児島の旅、1日目は無事終了しました。

NO老いるMemo「鹿児島のお宿ごはん」

NOオイル 親雄のごはん

 フロントでも食事会場でも説明はありませんでしたが、お品書き(献立)を見たら、丸印が付いていました。天ぷらなど油を多く使う料理と差し替えてもらったようです。

おしながき

 とろみのついた餡かけの料理は、高齢者にも食べやすく、母はぺろりと食べていました。

 ちなみに、揚げ物が出た時は「衣をはがす」、ケーキや霜降り肉が出た時は、「半分(一口)だけ食べる」という約束をしています。

 残すのはもったいないですが、母の膵臓のためには、脂質制限(1食10g)をなるべく目指しているので。お料理を無駄にしないためにも、お宿には事前に希望を伝えるようにしています。

 ――次回は7月31日公開予定です。鹿児島2日目編、母娘に何が起こるのか!? 

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

イラストレーター・漫画家。57才。山口県で81才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja

●【新連載】NO老いるLIFE ~母と娘のほんわか口福日誌~ 第1回「母の膵臓が!救急搬送の夜」

●「母と娘の2人旅、脂質低めのお宿ごはん」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第26話

●「慢性膵炎とともに生きる母の決意」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第25話

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