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「母と娘の2人旅、脂質低めのお宿ごはん」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第26話

 漫画家で栄養士の資格を持つうえだのぶさんは、慢性膵炎を抱える母と山口県で2人暮らし。大きな手術を終えた母に、人生を楽しんでもらうプランをあれこれ考えて――。母娘でドライブや旅を決行。膵臓を労るお宿の料理の選び方は、高齢の親との旅に参考になります!

NOオイル26

母と一緒に人生楽しむ2つのプラン

 膵臓の手術での怖い思いをきっかけに「元気なうちに人生を楽しむ」と決意した母。

 私も時間を作って一緒に出かけたり、旅行をしたりするようになりました。

 でも、高齢の母と私には、「楽しい」にちょっとしたギャップもあり。。。

→「慢性膵炎とともに生きる母の決意」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第25話

 母の決意後、我が家の定番になったものが2つあります。

 ひとつは「月に1度の家族サービスDay」。

 元々私のストレス解消はドライブで、時間があれば1人でぶらぶら運転しています。そして母は「でべそ」(方言:お出かけ好き)で、「行先はどこでもいい、車に乗ってれば楽しい」というタイプ。

 月に一度、母の友達も誘って県内をドライブ。ランチをして道の駅に寄って帰るのが定番です。

 もうひとつは「年に1度の2人旅」。

 母が手術を受けた時はまだコロナ禍で、国の旅行支援制度があったのでそれを利用してみようと思ったのがきっかけでした。

 母にどういう宿がいいか聞いたところ「気兼ねがなくて、大浴場があって、広い売店がある所。ご飯は美味しい方がいいけど気取った食事は疲れるから嫌。部屋は寝るだけなのでテレビがあれば古くても狭くてもOK」とのこと。

 要するに「昭和レトロな大型観光ホテル」ですね。母にとって「旅行」とは大きな宿に泊まって賑やかに過ごし山ほどお土産を買うことで、私の好きな「静かで人がいなくて、こだわりの料理と部屋露天のある隠れ家的な温泉宿」なんか肩が凝って寂しくてちっとも楽しくないそうです。

 なので母に寄せてかつ私も楽しめる方法として、地元観光ホテルの「豪華な食事プラン」の一番安いお部屋を予約してみました。

 これだと料理は楽しめるし、食事は大抵宴会場で他の宿泊客もいて賑やかだし、食事の後母は部屋でテレビを観たり売店で散財したり、私はお風呂とお酒でのんびり…、とお互い好きなように過ごせます。そんな感じで年イチの行事になりました。

 何をするわけでもない「近場でちょっと一泊するだけ」のことですが、おもてなし下手な私にはこれが精いっぱい。それ以上のことは求めないでねと母にも言っていました。

山口から鹿児島まで400㎞のドライブ旅へ

 ところが今年の春、私が「1人鹿児島2泊3日ドライブ旅」を計画していたら、母が「一緒に行きたい!」と言い出しました。

 いやいや、それはちょっと、、、。

 私の住む山口県から鹿児島までは約400km、高速道路を使っても片道5時間弱、そして私の愛車はアウトドアタイプの軽自動車です。私は何度も鹿児島に車で行ってるけど、足腰ガタついてきた母が耐えられるかなあ…。

 うーんと腕を組みつつふと脳裏に浮かんだワードは「冥途の土産」(母には言いませんが)。

 本人に気力があるうちに一か八かで行ってみるか!

 指宿にあるレトロな観光温泉ホテルと繁華街「天文館」のビジネスホテルを予約、旅行前日には車屋さんで安全点検を受け、高速道路の大きな売店があるSAをチェックして準備は完了。

 ――穏やかに晴れたある日の朝、81才の母を助手席に乗せて出発しました(母娘、一か八かの壮大な旅、続きは次回)。

NO老いるMemo「母のためのお宿ごはん」

 旅のお宿は、今はネット予約時に「希望」をメールで送れるので、高齢の母がいること、あまり量が食べられないこと、天ぷらや揚げ物は抜いて欲しいことは事前に書いて送ります。

  母の食事は脂質1食10gを目安にしています。すべての宿で対応してもらえるわけではありませんが、デザートのケーキをフルーツに代えてもらったり、揚げ物の代わりに焼き魚を出してもらったり、ステーキの代わりにローストビーフが出たこともあります。すき焼きのお肉も赤身で♪

 でも最近は最初から天ぷらや揚げ物の付いていないコースや海鮮メインのコースなど、どこのお宿でもあっさり系な選択肢が多くて助かっています。脂質を気にするお客様が増えてきたのかもしれませんね。

 ――次回は7月17日公開予定です。

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

イラストレーター・漫画家。57才。山口県で81才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja

●【新連載】NO老いるLIFE ~母と娘のほんわか口福日誌~ 第1回「母の膵臓が!救急搬送の夜」

●「お母さんの膵臓…す、すっごい!」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第16回

●「慢性膵炎とともに生きる母の決意」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第25話

コメント

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この記事へのみんなのコメント

  • 愛妻ひろみ郷

    のぶさん、親孝行してますねえ!お母様の笑顔が目に浮かびます❣️素敵ですねえ私も両親の故郷、鹿児島にいきたくなりましたよ!

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