「実家の相続を放棄したい理由」ランキング「1位はコスト問題」後悔しない相続のためにしておくべきことを専門家が考察
「実家の相続について誰かに相談したことがあるか」という質問には、6割超が「ある」と回答。
「相談したことがある」と回答した127人に相談先を聞いた結果、最も多かったのは「親(70人)」、次いで「兄弟姉妹(55人)」だった。
実家の相談についての相談先
<1位>親/70人
<2位>兄弟姉妹/55人
<3位>配偶者/18人
<4位>親・兄弟姉妹以外の親戚/7人
<5位>士業(弁護士・税理士など)/6人
理由は、「相続放棄するという自分の意思を伝えておきたい」が1位となった。親や兄弟に相続放棄についてあらかじめ伝えておき、心づもりをしておいてもらいたいのだろう。
相続について相談した理由
<1位>自分の意向を伝えておきたい/21人
<2位>両親が高齢になってきた/18人
<3位>もしもの時に備えておきたい/13人
<4位>家族・親族が亡くなった/9人
<5位>一人では決められない/8人
反対に相続を相談していない人の理由は、「まだ早い」が1位となった。親が元気だと自分事として捉えることが難しかったり、親が気を悪くしそうで言い出しにくかったり、家族の仲が悪く相談できないケースもあるようだ。
相続について相談していない理由
<1位>まだ早い/19人
<2位>必要ない/13人
<3位>話題を出すのが気まずい/10人
<4位>家族と不仲・疎遠/8人
<5位>話し合いが面倒/7人
後悔しない「相続」のためにやっておくべきこと
中村太郎税理士事務所所長で税理士の中村太郎さんは、アンケート結果をこう分析する。
「調査結果を見ると、多くの人が実家の相続に伴う経済的負担を避けたいと考えています。固定資産税、修繕費、維持管理費など、相続後にかかるコストは膨大で、これを負担する余裕がない場合や、将来的な支出を考慮して相続放棄を選ぶことも一考の余地があります。
また、地方の不動産において資産価値の低下は顕著です。地方の過疎化や経済の停滞により、不動産の市場価値が低下しているため、売却しても期待通りの収益が得られない場合が多いです。不動産市場の変動や地域の将来性に不安を感じることも、相続放棄の一因となります。資産としての魅力が乏しい不動産を持つことは、リスクと負担が大きく、これを回避するために相続を放棄するケースが増えています」
相続放棄は、他の相続人にも影響が出る。他の相続人の取り分が多くなったり、「相続放棄がなければ相続人にならなかった親族」が相続権を得ることもあるからだ。家族間で「なぜ相続放棄したんだ」「相続放棄するなんて、思っていなかった」と言われる可能性もある。誰にも相談せずに相続しなった人の中には「親の希望を聞かずに、相続放棄してよかったのだろうか」と後悔の声もあったという。
相続放棄を選択する場合には、思い残すことないように、早いうちに家族と相談して理解を得ておいた方がよい。そうしておくことで、いざという時に困惑することも少なくなるだろう。
【データ】
あんしん解体業者認定協会
https://anshin-kaitai.or.jp/
「解体無料見積ガイド」
https://www.kaitai-guide.net/
【調査概要】
調査対象:実家の相続を放棄したいと思っている人
調査期間:2024年4月16日~5月1日
調査方法:インターネットによる任意回答
有効回答数:201人(女性124人/男性77人)
回答者の年代:10代:0.5%/20代:17.4%/30代:31.8%/40代:26.4%/50代:17.4%/60代以上:6.5%
※あんしん解体業者認定協会の発表したプレスリリース(2024年5月16日)を元に記事を作成。
図表/あんしん解体業者認定協会提供 構成・文/松藤浩一
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