要介護度を下げる介護法|かたせ梨乃、柴田理恵、菊池桃子が老親に起こした奇跡
超高齢化とともに介護を担う芸能人が増え、かたせや柴田のように要介護度を下げる介護法に注目が集まる。
「そもそも要介護度とは、“介護に要する手間”を測るもの。最高レベルの要介護5、それに次ぐ4は歩行困難や認知症状をともなう場合が多く、そこから要介護度を下げることは容易ではありません」
そう語るのは、介護アドバイザーの田中健さん。要介護度が下がるパターンで多いのは、「入院した際に要介護認定を受けるケース」だという。
「けがや病気で入院して手術した際、一時的に脳機能が衰えて幻覚や錯乱などが生じる『術後せん妄』になり、経管栄養などの管を抜かないように拘束することがある。その結果、運動能力と判断能力が低下することがあります。そのタイミングで要介護認定を受けると4や5と認定されることもありますが、その後、日常生活の感覚が戻ると運動能力などが回復し、要介護度が下がるケースがあります」(田中さん)
認知症がないことも要介護度を下げる条件となりやすい。介護評論家の佐藤恒伯さんが説明する。
「認知症がある程度まで重症化すると、そこからの回復は難しい。かたせさんや柴田さんの親の場合、認知症がないか、身体機能だけ低下していたと考えられます」
目標設定とやる気の引き出しが重要
かたせや柴田のように80~90代の老親が特別な治療をせず、要介護5からの回復を目指すにはどうすればいいのか。
「介護を成功させるには“どんな趣味があるのか”“今後したいことは何か”“どんな仕事をしていたのか”など、本人の希望やこれまでの人生を把握することが重要です」(田中さん)
そのうえで実際に介護を始めたら「目標設定」と「やる気の引き出し」がカギとなる。 「回復に必要なのは、頑張った先の目標を設定することです。例えば柴田さんのように“また子供にお茶を教えよう”と目標を決めてリハビリすると、本人のやる気が引き出されて効果的です。また、かたせさんのように、介護を前向きにとらえて本人が楽しく励みになるように心がけることも大切です」(田中さん)
要介護ステージが低いほど、介護度は下げやすいという。 「少し認知症気味でも要介護2の人が適切な介護を受けると要介護1になるケースも少なくありません。できるだけ早い段階で、その人の希望に沿った目標を立ててリハビリや介護に取り組んでほしい」(佐藤さん)
介護保険法の改正で、要介護度認定が厳しくなる傾向も
注意すべき点もある。介護保険法が2018年の法改正により、利用者の要介護度を下げた自治体に対し、国が報奨金を出す制度がスタートした。
「最近は認定が厳しくなり、要介護度が低めになる傾向があります。そのため、本来のランクより低く認定され、必要な介護サービスが受けられなくなる恐れがあります」(医療ジャーナリスト)
「要介護5→1」の奇跡を実際に聞き、「希望がわいてきた」という声が編集部に届いている。まずは“前向きな気持ち”で第一歩を踏み出したい。
※女性セブン2019年6月27日号
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