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《壮絶介護での修羅場》元アイドル・荒木由美子が語る義母の20年の介護「激高した夫の手が義母の首に…」

歌手の湯原昌幸さんと23歳で結婚し、一時芸能界を離れたタレントの荒木由美子さん(65歳)。彼女を待っていたのは、20年に及ぶ義母の介護生活だった――。育児と重なった介護の日々で、認知症の義母との関係は悪化。一人で抱え込み心身の限界を迎えた彼女が語る、壮絶な体験から得た教訓とは?

結婚し、同居を始めた義母が2週間後に倒れた

――23歳で結婚を機に芸能界引退。同居を始めて2週間後に義母が倒れたのが20年介護の始まりだったそうですね。

荒木さん:まだ引っ越しの荷物も片付かない状態で義母が倒れまして、病院に連れていったら足に血栓があるということで手術になりました。病院食だけは物足りないと言うので、入院中は、義母が好きないなり寿司や“ぬた”などを作って持って行きました。

――1983年に結婚を期に引退しましたが、スッパリとやめた芸能界に未練はなかった?

荒木さん: 未練はなかったですね。当時、女性は仕事と家庭を両立するという感じではなかったんですよ。時代もあったと思います。同じ事務所の先輩の山口百恵さんも結婚し、引退なされたので、私もそうするものだと思っていました。

そもそも最初は湯原さんと結婚するなんて全然思ってもなかったんですよね(笑い)。マネージャーは私と同年代の異性の方と2人きりには絶対にしなかったんですが、私より13歳上の湯原さんとまさか交際をするなんて思ってなかったんでしょうね(笑い)

それから、何度かお会いするうちに湯原さんの人柄に惹かれていき、プロポーズ頂き、婚約会見を開く形になりました。

義母のおかしな言動が始まった時、これが「嫁姑問題」かと思った

――介護が始まった1年後、息子さんを授かります。

荒木さん:介護はしていましたが、義母は3年ぐらいは穏やかで、孫ができたことを喜んでくれました。抱っこをしたり、一緒にお散歩に行ったりして。同居して20年の生活の中では一番幸せな時だったと思います。

息子のお稽古事があると、私は、義母の昼食を作って出かけていました。ところが、食べさせてもらってないとか、置いていたお金を取られたと言うようになったんです。その時はこれが認知症だと気付きませんでした。普段の会話は成立していたので、初めは「もしかして意地悪されているのかな」って思ったんです。これが嫁姑問題なのかと。

義母の変化を湯原さんには言えませんでした。お母さんの悪口になってしまうので、心苦しかったんです。まして実家の母たちにも相談できませんでした。そうして1年2年と経つうちに、どんどん言動がおかしくなって、表情も険しくなっていきました。けれど病院に連れて行くと、シャキッとするんですよね(苦笑)。

ある時、いつもよりも義母の様子がおかしいので、病院へ連れて行くと、受診中に義母が私に「男が体を触ってるんだけど、この人誰?」って言ったんです。主治医である先生のことを分からなくなってたんです。この事がきっかけで検査をしたら、アルツハイマー病と診断がつきました。

2度の流産の危機、もっと早く誰かを頼っていればよかった

――その後、義母はどんどんおかしな行動を取るようになったんですね。

荒木さん:家の中を徘徊して、窓の鍵をガチャガチャして壊す、宝石や物を隠す。宅配便の方が来ただけで「由美ちゃんが男を連れ込んでる!」と怒り出す始末でした。

その場で言うだけならまだしも、ご近所さんや親せきにも電話をかけるので、誤解を解くのが大変でした。湯原さんも私も精神的にもどんどん追いつめられてはいましたが、私たちとしては、最後までお義母さんを在宅で看取るつもりだったんです。

――ところが、衝撃的なアクシデントが起きてしまう。

荒木さん:ある日、義母が部屋から出てこなくなってしまったんです。部屋は真っ暗で、ご飯もとらない。その日は湯原さんがいたので、声をかけたんですね。ノックして「お袋、出てこいよ。食べないと死んじゃうぞ」って。説得できたのか義母は部屋から出てきて、2人はリビングで話し合おうしたようでしたが、突然、義母が息子である湯原さんに向かって体当たりでぶつかり、「やれるものなら、やってごらん!」と好戦的な義母に激高した湯原さんの手が、義母の首にかかったんです。

私は泣きながら「やめて!」と止めました。湯原さんは自分が何をしようとしたのか分からないほど興奮していて、義母は冷めた表情をしていました。この出来事が、家族だけで介護をするのは限界があると思い、施設を探すことにしたんです。

思い返すと、私が意地でも「誰かの手を借りるのは嫌だ」って思ったことはマイナスでした。介護をしている皆さんに伝えたいのは、誰かに相談してほしいということ。介護で追い詰められた私は、自律神経失調症になっていました。胃痙攣や手の震えが起き、髪の毛がごっそりと抜け、泣くつもりはないのに自然と涙が溢れてきました。

当時ストレスもあったのか、私は妊娠5か月目に流産の危機で3日ほど入院、9か月目にも切迫流産しそうになりました。とにかく息子が無事に生まれてくれて本当に良かったです。

それに、食事もなにもかも義母が最優先だったため、息子に「なんでいつも、おばあちゃんのことばっかりなの?」と言われ、淋しい思いをさせてしまった。もっと早く誰かに頼っていれば、私たち家族は違う方法を選べたかもしれません。

◆タレント・荒木由美子


あらき・ゆみこ/1960年1月25日、佐賀県生まれ。1976年、第1回ホリプロタレントスカウトキャラバンにて審査員特別賞を受賞し、芸能界デビュー。歌手・女優として活躍。1983年に歌手の湯原昌幸と結婚し、芸能界を引退。結婚2週間後に倒れた義母を約20年介護。2004年、その体験を綴った著書『覚悟の介護』出版を機に芸能界復帰。現在はテレビやラジオへの出演のほか、介護や家族にまつわる講演も行っている。

撮影/小山志麻 取材・文/小山内麗香

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