健康

肩こりの改善法まとめ|手軽にできて続けやすい対処法5選

 日本の肩こり人口は約1200万人ともいわれる(※)。「日本の国民病」と呼ばれているほど、男女ともに悩まされている人がたくさんいる。慢性痛と諦めている人も多いと思うが、日々のケア次第で解消することも不可能ではない。日常生活の中で簡単に続けられる方法をまとめてご紹介しよう。

※平成22年国民生活基礎調査より(人口1000人あたり125人より算出)

イラスト通りに動くだけで辛いこりや痛みから解放される

 ストレッチやウオーキングなど体を動かす際、自分の骨格や筋肉がどのように動いているのか想像することはあるだろうか?間違ったイメージで体を動かしていると、体に余計な負担がかかり、痛みやこりの原因になることもあるという。

 とはいえ、専門家の指導を受けるのはハードルが高い。体の不調を改善する方法を独自で研究した、『一義流気功治療院』院長の小池義孝さんの著書『見るだけで体が変わる魔法のイラスト—健康になる!運動能力が上がる!』(自由国民社)は、画期的!イラストを〝見るだけで″で動かすべき正しい位置が分かると話題を呼んでいる。

 例えば、足の付け根は太ももの付け根と思ってしまうが、実は、足はみぞおちの下あたりの大腰筋から始まっている。本書では、体を動かす時に「実際に動く場所」と、「イメージしている場所」のズレをイラストで分かりやすく説明してくれる。イラストを見ながら体を正しく動かすことで、首がスムーズに、楽に動くようになったり、肩や背中の痛みが取れた人もいるという。文字ではなかなか分かりにくい体の仕組み、チェックしてみよう!

●大腰筋ウオーキングで歩こう!

 歩幅が大きくなるので、歩くスピードも速くなり、エクササイズにも最適! みぞおちの下から大きく動かすイメージで歩くのがポイント。

「血行がよくなり、コリが軽減されて、腰痛の改善にも効果的。高齢者の転倒防止にもオススメです。姿勢がよくなると気分も前向きになりますよ」(小池さん・以下同)。

【大腰筋ウオーキングのメリット】
□骨盤の歪みが正しく整う
□お腹まわりがスッキリする
□姿勢がよくなる
□腰痛の改善
□血行がよくなる
□気持ちが前向きになる

 基本動作は5つだけ! 以下のQ&Aを参考に、動かすべき正しい位置を覚えよう。

Q:歩く時、足はどこから動かしていますか?

A:足は、大腰筋から動かすのが正解!

 足は太ももの付け根ではなく、みぞおちの下辺りにある大腰筋から動いている。

【POINT】大腰筋を意識して歩くと、骨盤の歪みが改善!

 足を動かす筋肉は大腰筋から始まっているため、ここが足の付け根だと意識して歩くことが大切。「大腰筋は下図のようにみぞおちの下辺りから始まっており、インナーマッスルの代表的な存在です。ここを意識して歩くと腹筋が鍛えられ、体幹が整います。筋肉がほぐれるので、骨盤の歪みも改善しますよ」

→詳しい記事を読む:痛みやコリ、体の不調に!話題の“イラストを見るだけ”改善法

回して・押して、手軽に肩こり改善「指ヨガ」

 ヨガといえば、広いスペースで、全身を使ってポーズをとっている姿を思い浮かべるが、最近注目されているのは、場所も着替えも必要ない手軽にできる「指ヨガ」だ。

 手の指を回したり、手のひらや甲を押すことによって、体全体の血液循環を促し、自律神経を正常に保つことができると言われている。ツボを刺激することで、収縮した筋肉がほぐれ、肩こり、冷え症の改善も十分に期待できる。

「指ヨガ」をやるうえでのポイントは呼吸。ただツボを刺激するだけでなく、呼吸に集中することが大切だ。指を押したり回したりする時、意識して息を「ふーっ」と吐く、そして、ツボから指を離しながら息を吸う。基本的にいつやっても大丈夫だが、お風呂上りなど、手が温まった状態で行うとより効果的。今すぐ始められる「指ヨガ」。

●肩こり解消の指ヨガ

 両手を広げて手の甲側から見たとき、中指の右側が右肩、左側が左肩にあたる。人さし指と薬指の付け根の関節が肩関節に相応する。気持ちいい痛みを感じるくらいの力でマッサージしよう。時間がなければ片手だけでも構わない。

 指回しをすると、肩部の気が動き出して血流がよくなる。人さし指と薬指をそれぞれ左右に10回ずつ、しっかりと回す。 

 人さし指と薬指を、息を吐きながらしっかり反らせる。指は手の甲に対し90度まで曲がるのが理想だが、無理しないこと。各3回。

 人さし指と薬指の付け根あたり、関節の内側、外側、指の間などを指圧し、より痛みを感じるところを重点的に刺激する。

 詳しい内容・やり方は以下の記事をチェック!

→詳しい記事を読む:肩こりの改善にも!押してもむだけの「指ヨガ」

肺に空気をたっぷり届かせる「正しい呼吸」で肩こりを防止

 肩こりを改善、予防する方法として、注目したいのは、人間が1日に約2万回もするという「呼吸」。「正しい呼吸」を意識し、実践しただけで、効果を感じることができるという。教えてくれたのは、『すべての不調は呼吸が原因』(幻冬舎)の著者で「呼吸神経生理学」の第一人者である本間生生さん(東京有明医療大学学長)。

「空気が肺に十分に入っていない『悪い呼吸』をしていると、脳や臓器、細胞などすべての体のすべての動きが悪くなります。そうなると、肩や腰も痛みだすだけでなく、疲れやすくなり、胃腸が弱り、睡眠にも影響が。さらには、イライラなどの心の不調にもつながってしまいます」。残念ながら、呼吸する力は、年を取ると低下してしまうが、70才でも80才でもトレーニングで強化できるので、今からやっても損はない。しっかり呼吸筋を鍛えれば、健康寿命を10年引き延ばすこともできるという。まずは、本間先生がオススメする6つの「呼吸筋ストレッチ」から始めてみよう。

●呼吸筋ストレッチ「6つのステップ」

・基本の姿勢

基本の姿勢をとる女性

 体の力を抜きリラックス。足は肩幅に開き、胸を張り背筋を伸ばしてまっすぐ立つ。ストレッチ中は鼻で息を吸い、吸う時の2倍の時間をかけて口で吐く。すべての手順は3~5回ずつ、無理をしない範囲で行う。

・手順1 肩の上げ下げ

【肩をほぐす、呼吸筋ストレッチの準備運動】

胸を内側に引き込み腕を前に垂らす

1.胸を内側に引き込み腕を前に垂らし、ゆっくり息を吸いながら肩を上げる。

肩を後ろに回す

2.息をゆっくり吐きながら肩を後ろに回して下ろす。肩に力が入りすぎないように注意。

→詳しい記事を読む:腰痛、肩こり、不眠に効く「究極の呼吸術」で健康寿命を10年延ばす

ボールや指を使って隠れたこりをもみほぐし、ストレッチと合わせ根元から改善

 肩などの筋肉が張ると、神経を介して症状が脳に伝わり、肩こりとして認識される。脳には毎日さまざまな情報が何万と送られているが、その中で人が認識できるのはごくわずか。つまり、脳が痛みなどの情報を同時に複数意識するのは、極めて困難なのだ。「肩の周囲を酷使しているという自覚があると、『体のどこかで生じた疲れやこり=肩こり』と勘違いしてしまい、肩から遠い部分に意識が行きにくくなる。肩こりを治すのに最も大切なのは、こりの原因がどこにあるかを知る。ことだ」と、慢性痛の専門医、北原さんは解説する。

 肩や背中などのこりは、筋肉の緊張をほぐして血行をよくすれば改善される。それでも効果を感じない場合、それ以外の部位の隠れたこりを探していこう。強く痛む部分を見つけ、丁寧にほぐしていくことが大切だ。手が届かない所はテニスボールを使うのがオススメ。それでも辛い状態が続くなら、病気が原因かもしれない。専門医に診てもらおう。 

●ボールや指を使ってこりを改善しよう

 親指を使い、少しずつ押す部分をずらしながら最も強く痛む部分を探す。痛い部分がわかったら、グリグリと激しく押さず、押し込むような感じで圧をかける。強さは痛気持ちいい程度で、1か所につき10~15秒、1日2回程度押して。

 背中など手が届かない場所は、テニスボールなどの利用を。テニスボールを体と床の間に挟み、痛みの強い部分を探す。見つかったら、テニスボールに体重をのせる感じで、痛気持ちいい強さで体を押しながら、痛いところの周りにテニスボールをずらしてほぐす。

 肩こりに隠れている全身のこりや痛みを解消するには、ストレッチが有効。伸ばす筋肉を意識して、朝と入浴後、または就寝前にストレッチを。いずれも息は止めずに行って。

・首 その1

 首の後ろのストレッチ。

【1】両手を頭の後ろで組む。
【2】背中を伸ばして、肩が上がらないように注意しながら腕の重みで頭を前に倒して10数える。3回行ったら力を抜いてリラックスする。

・首 その2

 首横のストレッチ。

【1】鏡を見ながら右腕を上げ、左の耳あたりに右手のひらがくるようにして、頭を右真横に倒す。
【2】顔は正面を向き、両肩が水平になっている状態のまま10数える。
【3】逆側も同様に各3回行ったら、力を抜いてリラックスする。

 下記サイトでは、肩こりや全身のこりや痛みを解消へと導く有効なストレッチも掲載している。どれも簡単にできるものばかり。早速始めてみよう!

→詳しい記事を読む:【肩こり対策】指やテニスボールでぐりぐり&全身ストレッチ

体の内側から温めるのが、肩こりの最大の予防!

 厚生労働省の調査によると、日本人の2人に1人が肩こりに悩んでいるという。もはや国民病ともいえる肩こりの原因のひとつが、体の冷え。冷えにより起こる血管の収縮が、血液の流れを悪くし、痛みを増幅させる。体を温めて、血の巡りをよくすることが大切だ。寒さとは無縁に感じる暑い季節でも、体の芯から冷える強い冷房、冷たい飲み物、食べ物などで体の中は冷えている。

 体を温める方法として、使い捨てカイロや厚着など、外側から温めることも大切だが、「体の内側」から温めるほうが重要なんだとか。1日20分ほど早歩きするだけでも、血の巡りは格段によくなり、痛みから遠ざかることができるという。普段から温かい飲み物を飲んだり、体を温める食材を欠かさないなど、少し工夫するだけで体温を上げられる。また、お部屋の温度設定にも重要なポイントが!詳しい解説は下記の記事にて。

→詳し記事を読む:「腰痛」「肩こり」冬は悪化に注意!原因・予防・対策を解説

初出:女性セブン

●認知症予防・対策まとめ|海馬や両脳の覚醒トレ、家事エクササイズを紹介

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