食事で夏の日焼け対策! トマトや緑黄色野菜に含まれるリコピンで紫外線による肌へのダメージを軽減<肌の老化を遅らせる習慣>
年齢を重ねるにつれて、誰もが意識する老化。近年の研究によって、『老化は治療や予防が可能な病である』との考え方が広まりつつある。気温が高くなる夏は、さまざまな肌トラブルが発生しやすい。肌の老化を加速させない対策法を専門家に聞いた。
教えてくれた人
室井一辰さん/医療経済ジャーナリスト、野田真史さん/皮膚科専門医・池袋駅前のだ皮膚科院長
老化の進行は遺伝よりも生活習慣の影響が大きい
「最近物忘れがひどい」「目が見えにくい」「耳が遠くなった」ーー。
こうした老化現象を“克服”する研究が世界中で進んでいる。
今年2月には英オックスフォード大の研究チームが「老化を左右するのは遺伝よりも生活習慣」とする研究報告を学術誌に発表した。
「約50万人のデータを解析したところ、遺伝要因が寿命に与えた影響が2%未満だったのに対し、生活習慣を含む環境要因は17%でした。体に良い習慣を日常生活に取り入れることで長生きの可能性が高まるというシンプルながら重要な指摘です」(医療経済ジャーナリストの室井一辰さん)
次項からは、「肌の老化を早める習慣/遅らせる習慣」について専門医が紹介する。
洗顔より重要な「日光」と「表情」。シミ・シワを作る肌のNG対策
シミやシワなど肌の老化対策として洗顔を欠かさない人は多いが、逆効果になる洗い方もあるという。
皮膚科専門医の野田真史医師(池袋駅前のだ皮膚科院長)が言う。
「洗顔料を使って必要以上に洗顔を繰り返すと、保湿作用のある皮脂まで落ちてしまう。肌が乾燥しやすくなり、小ジワが目立つようになります。一日に3度以上の洗顔は避けたほうが良いです。汗をかいたらタオルで汗をぬぐうか、ぬるま湯で軽く洗い流す程度に留めましょう。熱いお湯での洗顔も皮脂を洗い落としすぎる可能性があるのでやめたほうがいい」(以下、「」内は野田医師)
野田医師によれば、シミやシワの対策として何より重要なのは、洗顔よりも「日焼け対策」だという。
「日光による肌の老化には、紫外線の影響で皮膚にメラニン色素が沈着して生じるシミやくすみのほか、皮膚表面がダメージを受けることでより深い真皮に影響を及ぼし、皮膚の支えになるタンパク質(コラーゲンなど)が減少して生じるシワがあります。加齢による肌の老化は防げませんが、日光による肌の老化は遅らせることが可能です」
特に夏場は強い日差しを避けることが対策の基本だ。
「紫外線のダメージは加齢とともに積み重なるため、まず日光に当たらないことが第一。最も紫外線が強い夏の11時から15時は日焼け止めや日傘を使うなど、日焼け対策をしっかり行なうことが大切です。そのうえで、日陰や地下道を選んで歩くと良いでしょう」
食事でも日焼けの対策はできる。
「抗酸化作用のある食べ物が紫外線による皮膚のダメージを防ぐとされています。なかでも強い抗酸化作用を持つリコピンが豊富なトマトや、緑黄色野菜などを積極的に摂ると良いでしょう」
日焼けによって皮膚が赤くなった場合は「すぐに濡れたタオルなどで冷やし、皮膚の炎症を抑えることでシミやくすみを予防できる」という。
自身の「表情」に気を配るのも大事だ。
「日頃からしかめっ面のような険しい表情をしていると表情筋が固まり、眉間に深い縦ジワが刻まれやすくなります。『老け顔』を加速しかねないため、避けるべきです」
「シミ・シワ」を早める習慣・遅らせる習慣リスト
<老化を早める習慣>
・お湯で洗顔する
皮脂を落としすぎて肌に張りがなくなる
・洗顔料を使って一日3回以上洗う
皮膚のバリア機能が低下し、紫外線のダメージを受けやすくなる
・しかめっ面をする
表情筋が固まり眉間に深い縦ジワが刻まれる
老化を遅らせる習慣
・外出時に必ず日焼け止めを塗る
シミ・シワの一番の大敵である紫外線を防ぐ
・積極的にトマトを食べる
抗酸化作用のあるリコピンが皮膚ダメージを回復させる
※週刊ポスト2025年7月11日号
●毎日の小さな習慣が老化のスピードを左右する 薄毛・白髪を加速させる要因を専門家が解説