食事で体を整える養生法「薬膳」レシピ|免疫力をアップしてがん予防
“薬膳”は、食事で心身を整える養生法。中国伝統医学(中医学)の考えに基づいた料理である。科学的な証明こそないが、数千年という長い年月をかけた「体によい」とされる食材への探求は無視できない。
「薬膳は、野菜などの食材が持っている本来の力(効能)で病気を予防し、健康を維持する料理です。複数の食材を組み合わせて効果を引き出し、体の機能のバランスを整えます」
と、中医学を学び、専門スクールで講師を務める、中医薬膳営養師の山内正惠さんは言う。
「薬膳には、“原汁原味”という考えがあります。複雑な凝った料理よりも、素材の味を生かしたシンプルな料理の方が健康になる…という考え方です。ポイントは、まず、できるだけ調味料を少なくして、食材の味を生かすこと。毎日続けられるように、手間をかけずに簡単に作れて、なおかつおいしく食べられる料理にすることも大切です。メニューの中に、体が温まるお粥やスープ、薬茶、薬酒のいずれかを加えるのも薬膳の特徴といえます」
そこで山内さんに、がん予防食材になる野菜を中心とした免疫力アップのメニューを提案してもらった。
きのこの豆乳スープ(4人分)
〈材料〉
豆乳…300cc
しいたけ…4枚
えのき…1/2袋
エリンギ…1~2本
白きくらげ…4g
〈調味料〉
だし汁…300cc
薄口しょうゆ…小1弱
塩…ひとつまみ
〈作り方〉
【1】白きくらげは、水で戻して食べやすい大きさにちぎっておく。
【2】きのこは適当な大きさに切る。
【3】だし汁、豆乳を合わせ、薄口しょうゆ、塩で味をつける。
【4】【3】に【1】と【2】を加え、味を調える。
カリフラワーのカレー煮(4人分)
〈材料〉
カリフラワー…1/2個
鶏もも肉小…1枚
山いも…6㎝
玉ねぎ…1/2個
にんじん…1/2個
黒きくらげ…2g
ピーマン…2個
しょうが…少々
〈合わせ調味料〉
だし汁…400~500cc
しょうゆ…大3~4
みりん…大2~3
カレー粉大…1/2~大1
片栗粉…適量
〈作り方〉
【1】カリフラワーは一口大に切り、茹でておく。
【2】鶏もも肉、山いも、にんじん、ピーマンは乱切りにし、玉ねぎはくし切り、黒きくらげは水で戻し一口大にちぎる。
【3】鍋に調味液を作り、鶏もも肉を入れ、その後山いも、にんじん、黒きくらげ、玉ねぎの順で煮る。
【4】その後、水で溶いたカレー粉と茹でたカリフラワーを加え、3~4分煮、水溶き片栗粉でとじる。
【5】器に盛り付け、すりおろしたしょうがを天に盛る。
百合根入りかきご飯(4人分)
〈材料〉
米…2合
かき…180g
しょうが…15g
百合根…1/2個~
万能ねぎ2~3本
〈調味料〉
酒大…2
しょうゆ…大3
みりん…小1・1/2
〈作り方〉
【1】米を洗い、ざるにあげておく。万能ねぎは小口切り、しょうがは千切りにする。
【2】百合根は1枚ずつはがして、熱湯でサッと茹でる。
【3】かきは塩水で振り洗いし、水を2~3回替えて汚れを落とす。
【4】鍋に酒、しょうゆ、みりんを入れて煮立たせてからしょうがの千切り、かきを入れ、1分ほど煮る。
【5】【4】をざるにあげ、煮汁はこしておく。
【6】【4】の煮汁に水を加えて米と同量の水にして炊き、沸騰したらかきを入れる。最後に【2】を入れて混ぜ合わせる。
【7】【6】を茶碗に盛り、万能ねぎを散らす。
薬膳ポトフ(4人分)
〈材料〉
鶏もも肉(皮なし)…200g
長ねぎ…1本
なつめ…4個
山いも…100g
にんじん…小1本
かぶ…2個
しょうが…1かけ
しそ…5枚
〈調味料〉
顆粒スープ…800cc
塩…適量
こしょう…少々
陳皮(みかんの皮)…少々
〈作り方〉
【1】鶏もも肉は一口大、長ねぎは3.5cm長さの輪切り、山いもは3.5cm長さに切って四つ割り、にんじんは乱切り、かぶは4等分、しょうがは薄くスライス、しそは千切りして水にさらす。陳皮は少量の水で戻す。
【2】鍋に800ccの水を入れて温め、顆粒スープの素を加えて、鶏もも肉、なつめ、長ねぎ、山いも、にんじんを加えてやわらかくなるまで煮込み、かぶを加えて更に煮込む。
【3】【2】の出来上がり5分前にしょうがを加え、火を止める(しょうがは長く煮込むと効力が失われるため最後に入れる)。
【4】器に【3】を盛り、千切りにしたしそと陳皮をトッピングする。
教えてくれたのは
山内正惠さん/鎌倉薬膳アカデミー学院長。1955年、東京生まれ。中医薬膳営養師、国際中医師。北京中医薬大学日本校で薬膳を学び、和の薬膳を研究、薬膳料理の講師を務める。著書に『皿×皿流薬膳ごはん』など。
撮影/茶山浩
※女性セブン2019年4月4日号