年末年始に備えて<胃も心も元気になる>食べ方を専門家が伝授「野菜のファイトケミカルが鍵」
なにかと忙しい年の瀬はグッと冷え込んだ寒さや、不規則な生活の影響で体調を崩しがちだ。それは知らず知らずのうちに「胃」に大きなストレスをかけていることになる。胃の調子を整えるにはまずは食生活の見直しから始めたい。胃に優しく、消化吸収を活発にする食材やレシピを専門家に教えてもらった。
教えてくれた人
一石英一郎さん/消化器内科医、医学博士、国際医療福祉大学病院内科学教授。予防医学の観点から日本人の遺伝子を解析する「遺伝子栄養学」を提唱。著書『「胃」を整えると自然と「不安」が消えていく』(アチーブメント出版)が好評。
松田真紀さん/管理栄養士、日本抗加齢医学会認定指導士、アンダーザライトヨガスクール公認講師。各メディアで活躍するほか、兵庫県神戸市東灘区で発酵デリ専門店「hakko matsuda slow food okamoto」を経営。Instagram(@hakko_matsuda.maki)
野菜に含まれる「ファイトケミカル」が胃も心も元気にする
食材選びでは、野菜が持つ「ファイトケミカル」(植物が身を守るために作り出した色素や香りなどの有効成分)に注目してほしいと医学博士の一石英一郎さん。代表的なファイトケミカルは下のまとめを参照して欲しい。
「ファイトケミカルには抗酸化作用、免疫機能向上や解毒作用があり、胃や細胞の若返りが期待できます。近年、遺伝子や細胞レベルにおける健康長寿や抗加齢の研究が盛んです。
その中でも、先ほどの『オートファジー』と、若返り遺伝子といわれる『サーチュイン遺伝子』の両方の活性化にかかわる『エラグ酸』というポリフェノールが注目されていて、ベリーやざくろ、ナッツ類に多く含まれています。みそや納豆、ぬか漬け、塩こうじなど古くからある発酵食品も消化がよく、栄養価も高い。積極的に摂りたい食品です」
主なファイトケミカルの種類と含まれる食材
ポリフェノール(フラボノイド系)
・アントシアニン類…ブルーベリー、ぶどうなど
・イソフラボン類…大豆
・フラボン類…セロリ、パセリ、ピーマンなど
・フラバノール(カテキン)類…緑茶、果実類、カカオなど
・フラバノン類…柑橘類の果皮
カロテノイド
・α-カロテン…にんじん、かぼちゃなど
・β-カロテン…にんじん、かぼちゃ、トマトなど
・β-クリプトキサンチン…みかん、ほうれん草など
・リコピン…トマト、すいかなど
・ルテイン…ほうれん草、ブロッコリーなど
・ゼアキサンチン…かぼちゃ、とうもろこし、ももなど
含硫化合物
・イソチオシアネート系…大根、わさびなど
・システインスルホキシド系…玉ねぎ、キャベツなど
※出典:『「胃」を整えると自然と「不安」が消えていく』より。
食材を煮込む料理は胃に負担が少ない
一方、食品添加物が多く含まれる加工食品やアルコールは、胃の粘膜細胞にダメージを与えるため、ほどほどに。
「調理法では、炒め物は野菜の繊維や油が胃に負担をかけるため、ぐつぐつ煮て栄養素を抽出するのがおすすめ。鍋料理は最強です」
医食同源の考えが根付いている香港の食もヒントになると一石さん。
「香港では朝食にお粥(かゆ)を食べたり、その日の気候や体調に即したスープを飲んだり、食材を煮込む料理が多い。消化のよい食事が健康長寿に大いに関係していると思います」
食事以外に胃を強くする方法はあるのだろうか?
「運動がいいでしょう。たとえば20秒の高強度運動(スクワットやランニングなど)と10秒の休憩を3セット繰り返す運動を週2~3回行うと、神経細胞が活性化され、幸福度が上がり、胃にもよい影響が及ぶようです」
胃の調子が悪いときは、みぞおちとへその中間あたりを、人差し指、中指、薬指でじわりと押し込むといい。
「アーユルヴェーダで第3のチャクラと呼ばれるところで、西洋医学の太陽神経叢(そう)とほぼ一致する場所。私も不調のときは押さえています」
胃とメンタルの両輪で整えていこう。
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