10名の専門家が選ぶ「脳の老化を防ぐ食品」ランキング発表!「トップ3は青魚、鮭、緑茶」理由を解説
3位(20点):鮭
「『プラズマローゲン』という神経細胞同士をつなぐ役割を持つ成分が豊富で、抗酸化作用の強いアスタキサンチンも多い」(加藤さん)、「抗酸化作用を持つDHA、EPAが豊富。多く摂取することで認知機能低下を抑える効果が見られたという報告も」(佐々木さん)
2位(21点):緑茶
「緑茶を1日に数杯以上飲んでいる人は、飲まない人と比較して認知機能が保たれていたという報告が」(佐々木さん)、「脳の老化予防に効果的なポリフェノールやテアニンと呼ばれる睡眠の質を高める物質を多く含んでいる」(奥村さん)、「香りによる脳のリラックス効果が期待できる。カテキンによるピロリ菌やがん細胞の増殖抑制効果もうれしい」(内野さん)
1位(38点):青魚全般
「さばやいわし、さんまなどの青魚にはオメガ3系脂肪酸のDHA、EPAが多く含まれており、これらはアルツハイマー病患者の脳にたまる有害なたんぱく質『アミロイドβ』の血中濃度を低下させる」(大西さん)、「DHA、EPAには脳細胞の活動を円滑にする酸化防止効果がある」(和田さん)、「DHAの血中濃度が高い人は、認知機能テストで物忘れの進行が遅い傾向があったことを示した研究がある」(熊谷さん)
1~12位の食材を解説「糖質制限は脳の老化に一直線」
食品部門では魚がランキング上位に名を連ねた。なかでも「青魚全般」が最も多くの点数を集め、2位の「緑茶」に17点差をつけ1位に。高齢者専門の精神科医として、6000人以上の患者と向き合ってきた和田秀樹さんも青魚を真っ先に挙げた。
「青魚に豊富に含まれている不飽和脂肪酸のDHA、EPAが老化の原因といわれる脳の酸化を予防し、脳の神経細胞を活性化してしなやかにしてくれます」(和田さん)
食品に含まれる脂は大まかに飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる。前者を摂りすぎると血中コレステロールが増えて動脈硬化を招く危険性があるのに対し、後者は血中コレステロールを減らす働きがあるとされる。
特に青魚に含まれるDHAとEPAは、不飽和脂肪酸のなかでも良質の脂といわれるオメガ3系脂肪酸だ。米ボストン在住の内科医・大西睦子さんが説明する。
「オメガ3系脂肪酸はアルツハイマー病患者の脳にたまる有害なたんぱく質『アミロイドβ』の血中濃度を低下させることが報告されています」
青魚の中から単独で4位にランクインしたのが「さば」だった。最高得点をつけた健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子さんが言う。
「さばは特にDHAが豊富です。DHAは脳内で情報伝達の役割にも関連するリン脂質の主な構成成分ですが、加齢によって脳内の量が減少することが知られています。つまり高齢者はさばでDHAを補うことで、作業記憶や注意などの認知機能が維持される可能性があるのです」
青魚の代表格であるさばを抑えて、トップ3に食い込んだのが「鮭」。脳の老化予防効果は「青魚以上」との評価も。加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳さんが言う。
「鮭の身を赤く染めているアスタキサンチンという色素には抗酸化作用があり、脳や目の老化防止に役立ちます。DHAとEPAも含まれているうえ、記憶力の維持をサポートするといわれるプラズマローゲンも入っていて、非常にバランスがいい食品です」
旬の魚を食卓にのせることを意識したい。その際“お供”として忘れてはいけないのは2位の「緑茶」と5位の「炭水化物」である。
緑茶に一票を投じた秋葉原駅クリニックの内科医・佐々木欧さんが説明する。
「緑茶を1日に数杯以上習慣的に飲んでいる人は、飲まない人に比べて認知機能が保たれていたという報告があります。抗酸化作用や抗炎症作用を持つカテキンが豊富に含まれていることが、その理由だと考えられます」
奥村さんは「健康長寿の源は炭水化物にあり」と断言。
「摂取した糖質の25%は脳に使われるので、脳を活発に働かせるためにはしっかり炭水化物を食べて糖質を摂らなければいけません。実際、認知症予防や生活習慣病対策に効果的といわれる『地中海食』は主食としてたっぷりパスタを食すなど、健康長寿といわれる国では炭水化物が積極的に摂られています」(奥村さん)
ランキングを参考に、脳を活性化させる食品を積極的に食卓へのせていってほしい。その際、「食事の多様性を意識する」など、食べ方を工夫することも脳の老化を止める大事なファクターになる。
毎日の食事で、脳の老化を食い止めよう。
※女性セブン2023年11月9日号
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