10名の専門家が選ぶ「脳の老化を防ぐ食品」ランキング発表!「トップ3は青魚、鮭、緑茶」理由を解説
2025年には65才以上の認知症患者数は675万人になると予測される。予防のためにクイズやパズルなど「脳トレ」をせっせとやっている人は多いだろうが、果たしてそれは本当に意味があるのだろうか──? 専門家がおすすめする「脳の老化を防ぐ食品」を一挙公開。
教えてくれた人/10名の専門家
内野勝行さん(脳神経内科医/金町駅前脳神経内科院長)、大塚亮さん(循環器専門医/おおつか医院院長)、大西睦子さん(内科医)、奥村歩さん(認知症専門医・指導医/おくむらメモリークリニック院長)、加藤俊徳さん(脳内科医/加藤プラチナクリニック院長)、熊谷修さん(学術博士)、佐々木欧さん(内科医/秋葉原駅クリニック)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会理事長)、山本佳奈さん(内科医)、和田秀樹さん(精神科医)
食事で「脳」の老化を食い止めることは可能か?
「最近、物忘れが激しくなってきて……」
年を重ねると、若い頃とは違う悩みができるもの。加齢に伴い、脳が老化するのは誰もが避けられない道と思っている人は多いだろう。しかし、おくむらメモリークリニック院長の奥村歩さんは「諦めるのはまだ早い」と断言する。
「脳の老化とは、脳内の神経細胞同士のつながりが悪くなり、働きが鈍くなった状態のことを指します。逆に言えば脳を刺激するような行動を意識し、活性化させるような成分を摂ることで老化を食い止められますし、むしろ若返らせることだって可能です」(奥村さん)
そのためには何を食べるべきか──。専門家に徹底取材し、「最強の食品」のランキングを作成した。
専門家が選ぶ「脳の老化を防ぐ最強食品」(12位~1位)
10名の「食と健康の専門家」におすすめの食品と習慣を挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点として集計。10点以上を獲得した回答を掲載した。
《順位(点数)/食品名/効果》
12位(10点):未精製穀物全般
「食べ物を噛み締めることで脳が刺激され、活性化する。皮つきの果物やナッツ類、玄米などの未精製穀物は噛み応えが充分」(山本さん)
12位(10点):亜麻仁油
「細胞の若返りを助けるビタミンEやDHAなどのオメガ3系脂肪酸を多く含む」(大塚さん)
12位(10点):みそ
「抗酸化物質の『イソフラボン』が豊富なうえ、発酵食品であるため腸内環境を整えて脳の働きを支える効果も。調味料なので料理に使いやすいのもポイント」(内野さん)
11位(14点):くるみ
「認知症を遅らせるオメガ3系脂肪酸が豊富なうえ、脳が活発に働くのに必要なエネルギー源であるたんぱく質やビタミンB1、マグネシウムも入っている優秀な食品」(加藤さん)
10位(15点):ベリー類全般
「いちごやブルーベリーなどベリー類の鮮やかな色素『フラボノイド』は記憶力の向上に役立つ」(大西さん)、「特にブルーベリーは短期的および長期的記憶障害を食い止めるのに効果的だといわれている」(山本さん)
9位(16点):肉類全般
「肉が豊富に含有するアミノ酸は神経伝達物質であるセロトニンの原材料。不足すると脳の働きが低下する」(和田さん)、「コレステロールとたんぱく質を併せて摂れるので、脳組織の虚弱化予防に役立つ。加齢に伴う抑うつ傾向も防ぐ」(熊谷さん)
6位(17点):魚類全般
「MINDダイエットで魚やオリーブオイルを中心とした食生活に切り替えた人は、そうでない人と比べて認知機能が7.5才も若くなったという報告が」(山本さん)、「週に2回食べることでアルツハイマー病の原因であるアミロイドβの蓄積が減少する」(大西さん)
6位(17点):緑黄色野菜
「脳の酸化を防ぎ、認知機能の低下を遅らせるルテインや葉酸などが豊富」(大西さん)、「ほうれん草やブロッコリーなどに多いビタミンKは記憶力の維持に、トマトのリコピンやにんじんのカロテンは脳の老化防止に役立つ」(大塚さん)
6位(17点):オリーブオイル
「地中海食の中心食材。アメリカの研究では地中海食をもとに認知症予防に焦点を当てたダイエット法(MINDダイエット)に取り組んだところ、アルツハイマー病のリスクが53%低下したというデータも」(山本さん)、「神経細胞の老化予防に効果的」(奥村さん)
5位(18点):炭水化物
「脳細胞は糖分がエネルギー源。不足すると脳の活動が停滞するため炭水化物でしっかり補給を」(和田さん)、「生活習慣病対策に効果的な『地中海食』は主食としてパスタを食べるなど、海外の健康長寿国は炭水化物をしっかり摂っている」(奥村さん)
4位(19点):さば
「DHA、EPAが豊富に含まれる。特にさばに多く含まれるDHAは脳の健康に重要だという報告が」(佐々木さん)、「DHAは加齢により減少する。そのため、これをたっぷり含むさばを食べることで、注意力や作業記憶などの認知機能が維持される可能性がある」(望月さん)