100年歩ける骨をつくる生活習慣ランキング 医師と食の専門家が圧倒的に支持する1位は「日光浴」
平均寿命が延び、人生100年といわれる時代。認知機能をしっかり保つことのほかに、寝たきりにならない体づくりを心がけたい。では、いつまでも元気な足腰をキープするために、何をすればいいのか。さまざまな観点から11人の医師ら専門家が選んだ、骨を作るために心がけたい究極の「生活習慣」ランキングを作成した。
100年歩ける骨を作る習慣ランキング10位~1位
以下の11人の「専門医」と「食のプロ」におすすめの食品と習慣をあげてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。10点以上を掲載しました。
専門家のみなさん
石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、伊藤薫子さん(女性のための整形外科かおるこHappyクリニック院長)、大塚亮さん(おおつか医院院長)、金子あきこさん(管理栄養士)、佐々木欧さん(秋葉原駅クリニック医師)、佐藤桂子さん(さとうヘルスクリニック院長)、清水加奈子さん(管理栄養士)、浜本千恵さん(管理栄養士)、福田千晶さん(医学博士)、細川モモさん(予防医療・栄養コンサルタント)、望月理恵子さん(管理栄養士)
《順位(点数)/習慣》
10位(11点)暴飲暴食をしない
「特にインスタント食品やスナック菓子の食べすぎには注意が必要」(望月さん)
9位(14点)ジョギング
「体の跳躍が骨を刺激する」(佐藤さん)
8位(15点)減塩
「塩分を摂りすぎると塩分がカルシウムと結合し、カルシウムが体外へ排出されてしまう」(細川さん)
7位(16点)1日3食きちんと食べる
「たんぱく質は朝昼夜と均等に摂ることで筋たんぱく質の合成をより高めることができると報告されている」(望月さん)
6位(17点)アルコールを控える
「飲酒は利尿作用があるため、カルシウムの排出を促す」(望月さん)、「1日24g以上のアルコールを摂取(ビール大瓶1本程度)する男女は、骨粗しょう症による骨折リスクが大幅に上昇することが研究から明らかになった」(細川さん)
5位(22点)栄養バランスのよい食事
「肉や魚、野菜とバランスのとれた食事がカルシウムの吸収に役立つ」(浜本さん)
4位(34点)散歩・ウオーキング
「足に着地時の衝撃が適度に加わり骨を強く維持できる」(福田さん)、「かかとに体重の負荷をかけることで骨代謝が活発になる」(伊藤さん)
3位(45点)運動
「階段の上り下りはひざに負荷をかけることで骨代謝が上がり、骨折しにくくなる」(伊藤さん)、「片足立ちを左右1分ずつやるだけで約53分歩いたのと同じ負荷が骨にかかる」(石原さん)
2位(48点)良質な睡眠
「成長ホルモンには細胞増殖を刺激し、軟骨細胞の増殖を促すことにより骨伸長を促進する働きがある」(望月さん)、「寝ている間に体が修復される」(佐藤さん)
1位(71点)日光浴
「カルシウムの吸収を促すビタミンDを生成し、活性化する」(細川さん)、「紫外線の浴びすぎは皮膚がんリスクを高めるので注意が必要」(望月さん)
→100年歩ける「骨」をつくる最強の食品ランキング「1位は納豆」理由を専門家が解説
かかと落としとジャンプが重要
骨をつくる食事内容も大切。また、骨を強化するための「生活習慣」として専門家から圧倒的な支持を得たのは、日光浴だ。
「紫外線を浴びることによって、体内でビタミンDが生成されます。ビタミンDは食物からのカルシウム吸収を促し、血中のカルシウム濃度を一定に保つ働きがあり、骨の健康を維持するのに欠かせません。厚生労働省の調査によると、食品から摂るビタミンDの必要量の目安は8.5㎍程度。1日に必要なビタミンDの量は15㎍とされているので、足りない分は太陽光を浴びて体内で生成する必要があるのです」(石原さん)
紫外線を浴びすぎると、皮膚の老化や白内障などのデメリットもあるが、徹底的にガードしすぎるのは考えものだ。
「紫外線を避けすぎるとビタミンDが作れません。6~8月の紫外線の強い時期には、正午付近は避けつつ、15~30分を目安に、手足の目立たないところだけでもいいので太陽光を浴びましょう」(佐々木さん)
2位にあがった睡眠は、体の修復作業をするための大切な時間。骨を作るためには、良質な睡眠も欠かせない。
「睡眠によって成長ホルモンが分泌され、骨の成長と修復が促されます。睡眠が短かったり浅かったりすると、成長ホルモンが充分に分泌されません。睡眠時間が足りていなければ、栄養たっぷりの食事も運動も意味をなさなくなってしまいます」(管理栄養士の浜本千恵さん)
3位は運動。ひと口に運動といっても幅広いが、さとうヘルスクリニック院長の佐藤桂子さんは、意識したいのは“骨に重力をかけること”だと強調する。
「骨に圧力や重力が伝わることで、骨を作る細胞が活発になる。無重力空間で宇宙飛行士が骨粗しょう症になるのは、無重力状態のなかで骨に刺激がないからです」
福田さんが推奨するのは、「ジャンプ」する機会が多いスポーツだ。
「着地時の衝撃が適度に伝わることで、骨が強化されます。エアロビクスやバレーボール、バスケットボールもいいですが、ジョギングや屋外テニスなら日光浴にもなるので一石二鳥です」(福田さん)
激しい運動は苦手という人は、散歩・ウオーキング(4位)でもOKだ。
「全身を使った運動をすることで、軟骨細胞の増殖を促す成長ホルモンの分泌が促されます。運動は無理なく続けることが大切なので、体の状態に合わせて行ってください」(望月さん)
階段の昇降運動でも効果が期待できるため、駅などではエスカレーターではなく積極的に階段を使いたい。骨に刺激を与えるという意味では、つま先立ちの姿勢からかかとをストンと落とすだけの「かかと落とし」なら、どこでもいつでも実践できる。
食生活では、ランク入りした最強食品を食べるだけでなく、その「バランス」にも留意したい。
「カルシウムの多い食品を取り入れるだけでなく、その吸収を促すためにも野菜、肉、魚などをバランスよく食べてほしい」(浜本さん)
逆に、NGな食生活もある。
「甘いものを食べすぎると、血糖値が高い状態が続いてAGE(終末糖化産物)が産出され、骨もダメージを受けます。また、塩分過多になると塩分がカルシウムと結合して体外に排出されてしまうため、塩分の摂りすぎにも要注意です」(細川さん)
インスタント食品やスナック菓子の食べすぎも禁物だ。
「これらにはリンが多く含まれています。リンはカルシウムとともに骨や歯を構成する大切な成分ですが、摂りすぎると、骨に蓄えられている貯蔵カルシウムが血中に放出され、骨のカルシウムが減少してしまいます」(望月さん)
アルコールやコーヒーも適量に抑えたい。
「1日に40gを超えるアルコールを摂ると、骨折リスクが上がるという報告があります。同様に1日に800mg以上のカフェインを摂取すると、尿中のカルシウム排出が増えることも報告されています」(佐々木さん)
ビールなら1日に中瓶2本、ワイン4杯、日本酒2合。ビール1本と日本酒1合の組み合わせでも上限に達するのでご注意を。コーヒーの適量は上限の半分、1日にマグカップで2~3杯が目安だという。
最強の食品と生活習慣で、100年歩ける「骨」を作ろう。
※女性セブン2023年7月20日号
https://josei7.com/
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