骨の老化を防ぐ最強の食品ランキング12「1位は納豆、12位はハナビラダケ」専門家が解説
筋トレにスキンケア、ダイエットなどアンチエイジングの方法はさまざまだが、いま取り組むべきは「骨の若返り」だった! 骨折や骨粗しょう症予防はもちろん、顔のたるみやしわを予防するには、どんな食品を摂ったらよいか。食と健康の専門家に聞いた。
コロナ禍で骨の老化に悩む人が増えている
新型コロナ第7波の拡大が不安な夏休み、外出予定をキャンセルし、ステイホームで過ごしている人も少なくないだろう。しかし、知らず知らずのうちに“コロナ以外”で体が蝕まれている可能性がある。川崎医科大学総合医療センター特任部長の太田博明さんが警鐘を鳴らす。
「感染対策はもちろん重要ですが、その一方で家に閉じこもり運動不足になった結果、足腰の衰えを発端に、骨の老化に悩む人が非常に増えており、特に年を重ねた女性に顕著です。もともと女性の方が小柄で骨量も少ないうえ、閉経後は骨の代謝にかかわっている女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、骨の老化が急速に進む。実際に骨粗しょう症の患者や骨折者の8割は女性だといわれています」
蝕まれるのは、体の健康だけではない。
「骨の老化は“老け顔”にも影響します。顔の土台である『顔面骨(がんめんこつ)』が老化してやせ細ると、その上を覆う筋肉や皮膚がたるみ、下まぶたや顎のラインが緩み、頰が垂れたりしわができたりします。特に顎の骨は40代から減り始めるため、早めに老化対策することが肝要です」(太田さん)
健康と美容の大敵である骨の老化を防ぐために積極的に摂るべき「最強食品」を専門家に取材し、ランキングにまとめた。
骨の老化を止める・若返らせる食品ランキング1~12位
以下、20人の「食と健康の専門家」に「骨の老化を防ぐ最強食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。
専門家のみなさん
石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、磯村優貴恵さん(管理栄養士)、太田博明さん(川崎医科大学産婦人科学2特任教授)、金子あきこさん(管理栄養士)、佐野こころさん(医学博士)、柴亜伊子さん(美容皮膚科医)、田中亜希子さん(あきこクリニック院長)、田中優子さん(田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、中山久德さん(そしがや大蔵クリニック院長)、浜本千恵さん(管理栄養士)、平田雅人さん(福岡歯科大学口腔医学研究センター・センター長)、福田千晶さん(医学博士)、藤岡智子さん(栄養士/フードライター)、細川モモさん(予防医療コンサルタント)、堀知佐子さん(管理栄養士)、松村圭子さん(産婦人科医)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)、矢吹尚彦さん(矢吹整形外科院長)、山本江示子さん(山本整形外科理事)
《順位(点数)/肉の種類/コメント》
12位(5点):小松菜
「『カルシウム』と『ビタミンK』を豊富に含有する。おひたしにして、『ビタミンD』たっぷりのしらす干しや干しえびをのせればパーフェクトな一品に」(石原さん)
12位(5点):ししゃも
「骨を作る重要な栄養素である『たんぱく質』、『カルシウム』、『ビタミンD』を含み、可食量あたりのカルシウム含有量はトップ」(細川さん)
12位(5点):ハナビラダケ
「酵素たっぷりの“スーパーフード”として認定されている。女性ホルモン『エストロゲン』の補給ができるのもうれしい」(山本さん)
12位(5点):さんま
「さんま一尾が含有する『ビタミンD』は14.9㎍。1日の摂取目安量をはるかに超える」(平田さん)
12位(5点):うなぎ
「身の部分にはビタミン類やたんぱく質が豊富であるうえ、皮にも骨と関節を守る役割を果たす『コンドロイチン』がたっぷり」(山本さん)
12位(5点):煮干し
「100gあたりのカルシウム量は2200mgにのぼる。魚一匹丸ごと食べられるためほかの栄養素もバランスよく摂ることができるうえ、『ビタミンD』が多いのも推奨ポイント」(中沢さん)
12位(5点):レバー
「骨のコラーゲン生成に欠かせないヘム鉄、たんぱく質、亜鉛を含むうえ、ビタミンBやビタミンDも豊富なまさに“最強食品”」(柴さん)
10位(6点):いわし
「『カルシウム』と『ビタミンD』を含んでいる。丸干しがおすすめ」(福田さん)、「生よりも天日干しの方が、ビタミンD含有量が多い。骨を構成する際に必要なミネラル類がバランスよく含まれているのもポイント」(佐野さん)
10位(6点):さば缶
「骨の生成に必要な『ビタミンD』と『カルシウム』はもちろん、良質な脂質の『DHA』や『EPA』もたっぷり。常備しておきたい一品」(矢吹さん)、「生の魚と違い、骨ごと食べられるのが推奨ポイント。ただしさば缶が含有する栄養素は空腹時に摂取すると吸収率が低いため、食事の際におかずとして一緒に食べるようにしてほしい」(望月さん)
9位(8点):豆腐
「良質なたんぱく質が豊富なうえ、原料の大豆が含む『イソフラボン』は女性ホルモンと似た働きをし、骨粗しょう症を予防してくれる」(田中優子さん)、「そのままでも加熱しても食べられるバラエティーの豊富さが魅力。冷や奴やみそ汁の具など温冷どちらのレシピも楽しんでほしい」(磯村さん)
7位(10点):しいたけ
「豊富に含有する『ビタミンD』は脂溶性のため、炒め物などにして油と一緒に摂ると効果的」(中山さん)、「しいたけは干すことでビタミンDが倍増。天日干しなどの干ししいたけがおすすめ」(松村さん)
7位(10点):干しえび
「骨の原材料となる『カルシウム』と吸収率を高める『ビタミンD』が豊富」(田中優子さん)、「少量でたくさんカルシウムが摂れる。炒め物やご飯、みそ汁などに"ちょい足し"を」(石原さん)
6位(15点):チーズ
「おすすめは『パルメザンチーズ』。『カルシウム』の含有量がチーズの中で最も高い」(中沢さん)、「カルシウムや良質なたんぱく質が豊富。『ビタミンK』や『マグネシウム』などの栄養素も含まれる」(佐野さん)、「カルシウムの吸収率が高いうえ、手軽に取り入れられるチーズは魅力的。毎日食卓へ」(福田さん)
5位(16点):ヨーグルト
「骨の原料である『カルシウム』はもちろん、乳酸菌やビフィズス菌を配合したものもあり、腸内環境にとっても魅力的な一石二鳥の食品」(磯村さん)、「カルシウムの吸収は空腹時と夜に高くなるため、夕食1時間後または就寝の1時間前に食べるといい」(望月さん)、「1カップで10g以上のたんぱく質が摂れる『高たんぱくヨーグルト』やビタミンDが添加されているタイプのものも。賢く選びたい」(細川さん)
4位(21点):しらす
「老けない骨を作るために必要な『カルシウム』『ビタミンD』『マグネシウム』をバランスよく配合する」(堀さん)、「選ぶなら日光をたっぷり浴びたしらす干し一択。ビタミンD含有量が格段に増える」(石原さん)、「ご飯のお供や野菜と和えるなど、手軽にいろいろな料理に加えられるのもいい」(金子さん)、「たっぷりのカルシウムが魅力だが乳製品に比べると吸収率が低い。梅干しやお酢など吸収を促す食品と一緒に摂りたい」(浜本さん)
3位(26点):鮭
「カルシウムの吸収を助ける『ビタミンD』と、骨の土台となるたんぱく質が豊富。低カロリーなのもうれしい」(田中亜希子さん)、「特にビタミンDの含有量はダントツ。鮭一切れ(80g)で、1日の必要量を賄える」(太田さん)、「おすすめは鮭缶。老化予防効果のある『アスタキサンチン』も含まれて生の切り身よりも栄養素が濃縮されている」(矢吹さん)、「鮭の赤みのもととなる色素成分『アスタキサンチン』は抗酸化力が強く、骨の老化予防にぴったり」(柴さん)
2位(36点):牛乳
「コップ1杯200gで約220mgと『カルシウム』の含有量が非常に多い。1日コップ1杯飲むことを心がけてほしい」(佐野さん)、「小魚や野菜などほかの食品よりもカルシウムの吸収率が約4割と非常に高く、最も効率的」(太田さん)、「カルシウムを効率よく摂れるのは乳製品。特に牛乳は手軽に手に入り取り入れやすい」(松村さん)、「シチューやスープなど料理に使うことで自然に摂取量が増やせるのでおすすめ」(金子さん)、「カルシウムに加え、良質なたんぱく質も含んでいる。不眠解消に役立つ『トリプトファン』も含有するため寝る前に飲むのがおすすめ」(藤岡さん)
1位(43点):納豆
「骨作りに必要な三大要素である『カルシウム』『ビタミンK』『たんぱく質』をバランスよく含有している」(堀さん)、「ビタミンKにはカルシウムの吸収・定着を促してくれる役割があり、両者を同時に摂れる納豆は効率的な食品」(田中亜希子さん)、「脂肪分の少ない良質なたんぱく質を摂ることができる」(平田さん)、「カルシウムは夜の方が吸収率が高まるため、夕食に一品足すのがおすすめ」(望月さん)、「女性ホルモンと類似した成分である『イソフラボン』も摂取できることも推奨ポイント」(中沢さん)
強い骨を作るトライアングル
骨を強化し、若返らせるために、まず取り組みたいのが食生活の改善だ。田中病院院長の田中優子さんが解説する。
「骨の老化を食い止めるために最も重要なのは『骨量』そのものを増やすこと。若々しく強い骨を作るための栄養素を重要度順に挙げると、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質、ビタミンBになります。特に最初の3つ、つまり骨の原料となるカルシウムとその吸収を促進するDとKは“ゴールデントライアングル”と呼ぶべき大切な成分。定期的な摂取は必須です」
上記のランキングを見渡せば、食品のほとんどにこれらの栄養素が含まれている。特に1位の「納豆」は、カルシウム、ビタミンK、さらにたんぱく質を一度に摂れることから、多くの専門家が一票を投じた。
「それら3つの成分を効率よく手軽に摂取できる食品は納豆だけ。1日1パックを目安に食べる習慣をつけてほしい」(医学博士の佐野こころさん)
“ちょい足し”でさらに効果は高まる。そしがや大蔵クリニック院長の中山久徳さんが言う。
「ビタミンKは水に溶けにくく油に溶けやすい脂溶性のビタミンです。少量のオリーブオイルやアマニ油などを垂らすことで、吸収率がぐんと上がります」
“トライアングル”のもう1つの栄養素が、カルシウムの吸収を高めるとともに骨の石灰化を促すビタミンD。効率的な摂取のために専門家が推奨するのは日光を浴びて乾燥した“干し”食品だ。佐野さんは使い勝手のいい「しらす干し」をすすめる。
「しらすは生や茹でた状態でもカルシウムとビタミンDが豊富ですが、太陽の光を浴びることで後者の量はぐんと増える。天日干しされた、しらす干しやちりめんじゃこは骨の強化のために常備しておきたい一品です。ふりかけのような形でご飯やみそ汁に“ちょい足し”できるのもポイントです」(佐野さん)
管理栄養士の中沢るみさんが一票を投じたのは、12位の「煮干し」だ。
「煮干しは100gあたりのカルシウム量が2200mgとほかの食品と比べても群を抜いて多いうえ、魚一匹を丸ごと食べられるので、ビタミンDや良質な油分であるEPAやDHAもふんだんです。そのまま食べてもいいですが、さらに効果的なのは煮干しをお酢に漬けて作る『煮干し酢』です。軟らかくなって食べやすくなることに加え、酢のクエン酸がカルシウムの吸収を補助してくれます。お好みで三杯酢やりんご酢を使うのもおすすめです」
美容皮膚科医の柴亜伊子さんも丸ごと食べられる魚の利点をこう語る。
「一匹丸ごと食べられる魚はどんな種類であろうと、栄養価が高い。日光をたっぷり浴びて乾燥させた干しえびもおすすめ。たんぱく質やカルシウムをはじめとしてヘム鉄や亜鉛、ビタミンDがバランスよく含まれます。干しえびはもちろん、オキアミやしらす干しなど用途や好みに応じて使い分けてほしい」
ランキングを参考に、バランスのいい食卓を作ってほしい。管理栄養士の金子あきこさんは食べるべき食品を取り入れる一方で避けるべきものも知ってほしいとアドバイスする。
「インスタント食品をはじめ、さまざまな加工食品に含まれる『リン』は過剰摂取によってカルシウムの吸収を阻害します。くれぐれも摂りすぎには注意してほしい。骨を丈夫にするために必要な栄養素という観点からも、『主食+主菜+副菜』のバランスの整った食事を心がけてください」
イラスト/飛鳥幸子
※女性セブン2022年8月18・25日号
https://josei7.com/
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