いま改めて注目が集まる伝説の自然食研究家東城百合子さんの“人生を変える自然療法”とは?「食を制するは人生をも制す」
生きることは「掃除・洗濯・料理」です──94才で亡くなるまで、料理教室や講演活動などで幾度となくそう訴えてきた東城さん。そのエネルギーの根底には、「現代人が家事をしなくなること」への危機感があった。
とりわけ料理ができない人、またその時間を短縮しておろそかにしようとする人が増えていることには強い懸念を抱き、生前インタビューや講演会では繰り返し「大学を出ても包丁の使い方ひとつ知らず、それが原因で添加物の多いものを食べることになり、体を壊す人が大勢いる」と警鐘を鳴らしていた。
「確かに東城先生の教える料理は簡単ではないし、手間もかかります。料理教室で最初に習う玄米の炊き方も、芯が残らないように、だけどやわらかすぎないように炊き上げるのはかなり難しく、最初から上手にできる人はなかなかいません。ただ知識を入れただけでは、自然食は簡単に実践できないのです。だけど先生はその工程こそが大切であり、愛情や思いが入るのだとおっしゃっていて、私はそれに心から納得できました。だから3人の子供を育てるときも、できる限り自然のもので手作りし、食べさせるようにしてきました」(佐藤市子さん)
自分や家族の体のために、一手間かけようとするその気持ちが、すでにもう健康な体を作る第一歩なのだろう。あしかりクリニック院長の芦刈伊世子さんは、NPO法人日本綜合医学会で知り合った漢方医から東城さんの「自然療法」を学ぶことをすすめられ、診察にも生かしている。芦刈さんは「最初は玄米と野菜スープから始めるのがいい」とすすめる。
「玄米には白米に精米するときに捨てられてしまうぬかにこそ、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。食べにくいと感じるならば、最初は五分精米にするといいでしょう。栄養素の消化吸収をよくするため、しっかり噛んで食べることが大切です。野菜スープはしょうゆと塩だけで味付けしたシンプルなもの。かぼちゃを入れると少し甘くなります。特に水溶性の食物繊維は善玉菌のえさになるので、腸内環境が改善されます」(芦刈さん)
今日から実践!人生を制する「自然食」レシピ
■野菜スープ(2人分)
【作り方】
【1】にんじんとかぶ(皮付き)・じゃがいも(小)各1/2個、玉ねぎ1/4個はすべて 1cm角に切る。青菜(ほうれん草、小松菜など)1~2束(30g)は小さめのざく切りにする。
【2】フライパンにオリーブオイル小さじ1、みじん切りにしたにんにく1片分と玉ねぎ1/4個分を入れ、とろ火できつね色になり臭みがなくなるまで15分程度炒める。
【3】【2】に水2 1/2カップを入れ、さらに【1】を入れてとろ火で1時間程度煮る。塩小さじ1、しょうゆ小さじ1/2で調味する。
■梅干し番茶
【作り方】
梅干し1個に熱い番茶1杯分(150㏄)を入れ、種だけ残して飲む。
■東城百合子さん/自然食・自然療法の大家として知られる。1925年岩手県生まれ。20代で重症の肺結核となったが、自然療法によって自らの病気を克服。それをきっかけに健康運動を始め、1973年5月、月刊誌『あなたと健康』(あなたと健康社)を出版し、以来、出版活動とともに全国を回って健康運動を進める。著書に100万部を突破したベストセラー『家庭でできる自然療法』(あなたと健康社)ほか多数。2020年2月22日逝去。
※女性セブン2023年6月22日号
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