女優・八千草薫さん、加藤治子さんがおひとりさまでも「幸せな最期」を迎えられた理由
おひとりさまで闘病していても「幸せな最期」を迎えた人たちがいる。自宅でも病院でも、死を前にした人が残された家族や友人に負担ではなく思い出を残す「理想の逝き方」を探った。
亡くなる直前まで仕事を続けた八千草薫さん
おひとりさまの終活はどうか。厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年)によれば、65才以上のおひとりさまは約740万人。その予備軍も700万人いるとされる。
幅広い世代に親しまれた女優の八千草薫さん(享年88)は50年間連れ添った映画監督の谷口千吉さん(享年95)と2007年に死別後、最後までおひとりさまとして過ごした。2017年に乳がんの手術をした翌年、6時間に及ぶすい臓がんの全摘手術を受けるも7か月後に病を伏せたまま舞台に復帰し、20公演以上をこなした。
2019年1月、がんが肝臓に転移して舞台を降板したが、仕事への情熱は失わなかった。
「肝臓がんの手術をし、抗がん剤治療を続けながらも現場に復帰する意欲は消えなかった。ひとり暮らしの彼女の唯一の気がかりは愛犬と愛猫で、万が一に備えてペットの処遇について遺言を残したといわれています」(前出・芸能リポーター)
2019年10月に八千草さんは永眠した。亡くなる前日にはマツタケご飯を頰張りながら今後の仕事について話していたという。
彼女は著書『まあまあふうふう。』で人生をこう語っている。
<後悔があったとしても、反省があったとしても、自分が納得するまで、「今」から逃げないことが大事だと私は思うのです。その日その日、1日1日、瞬間瞬間を大事に過ごしたいなと思うんです>
→不朽の名作『岸辺のアルバム』は「八千草さんじゃなかったら、どうなっていたかわからない」