肉や魚の冷凍保存術とアレンジレシピ「下味冷凍」で保存期間もおいしさもアップ!
お肉やお魚をお手頃価格でたくさん買ったはいいけれど食べきれない…。そんなときは「下味冷凍」がおすすめ!保存期間&おいしさアップできて、時短調理にもなりますよ。フレッシュなお刺身の冷凍術や冷凍ミールキットなど便利なテクやアレンジレシピを冷凍の達人に教えてもらいました!
『鶏もも肉』の冷凍保存
用途によって切り分け下味をつけて冷凍する
鶏肉は水分が多くて傷みやすいので、3日目以降に使うなら冷凍した方がいい。塩麹は冷凍中もじんわり鶏肉に浸透し、冷蔵室で解凍される間にも肉質をやわらかくする。肉汁の保持にも役立つ。
◆調味料をもみ込む
鶏肉はペーパータオルで水分を拭き取ってから冷凍用保存袋に入れ、下味の調味料を加えてよくもみ込む。
◆薄く平らにして凍らせる
空気を抜いて薄く平らにして密閉。熱伝導のよい金属製のトレイにのせ、できるだけ早く凍らせる。トレイは平らな形をキープするためにも重要。
■保存期間
2~3か月(下味なしは3~4週間)
■冷凍方法
密閉袋に調味料と一緒に入れ、空気を抜いて薄く平らに密閉して冷凍する。
■解凍・調理法
冷蔵室に入れて半日ほど置いて解凍。急ぐ場合は保存袋の口をしっかり閉じたまま流水につけて解凍する。
●鶏もも肉塩麹漬けの唐揚げ
【1】鶏もも肉1枚をひと口大に切り、冷凍用保存袋に入れる。
【2】塩麹大さじ3を入れてよくなじまぜ、空気を抜きながら平らにして袋の口を閉じ、冷凍する。
【3】【2】を冷蔵室に移して解凍して適量の片栗粉を全体にたっぷりとまぶし、170℃の油で3~4分揚げる。
【4】油を切って器に盛り、くし形切りにした冷凍レモンを添える。
◆くし形の冷凍レモンを常備!
冷凍したレモンを解凍すると、皮がやわらかくなり、力を入れなくても果汁が搾りやすくなる。
「ラップをぴっちりかけて冷凍すれば、さわやかな香りを逃さず保存できます。皮は凍ったまますりおろして料理の香りづけにもできます」(島本さん)
『豚肉』の冷凍保存
油分を足してパサつきを防止
野菜と一緒に調味料漬けのミールキットにしておけば、劣化を防いで保存期間を延ばせる。解凍後、加熱時間はたったの5分ほど!
■保存期間
2~3か月(下味なしは3~4週間)
■冷凍方法
調味料や野菜と一緒に漬け込み、空気を抜いてから薄く平らに密閉して冷凍する。
■解凍・調理法
冷蔵室に移し、時間をかけて解凍してから中火で調理する。火が強すぎると肉が硬くなる。
●ポークチョップ
【1】豚こま切れ肉200gは食べやすく切り、玉ねぎ1/4個は1cm幅の薄切りにし、ピーマン2個はヘタと種を取って細切りにする。
【2】器にケチャップ大さじ3、ウースターソース・酒各大さじ1、しょうゆ小さじ2、サラダ油小さじ1、塩・こしょう各少量をよく混ぜ合わせる。
【3】冷凍用保存袋に【1】と【2】を入れてなじませる。
【4】空気を抜きながら平らにして袋の口を閉じ、冷凍する。
【5】【4】を冷蔵室に移して解凍し、フライパンに油をひかずに入れて中火にかける。蓋をして3~4分ほど蒸し焼きにしてから炒め合わせる。
『ひき肉』の冷凍保存
塩プラス冷凍で肉のうまみがアップ
まとめ買いしたひき肉を小分け冷凍する場合、ひと手間でワンランク上の味わいになる。
「肉の表面にひとつまみの塩を振ってから、ラップでぴっちり包み、保存袋に入れるだけ。塩はうまみを引き出し、独特の臭みも抑えられます」(島本さん)
■保存期間
1か月
『切り身魚』の冷凍保存
魚の生臭みを抑えるため下味をつけてからの冷凍を
生魚をそのまま冷凍すると時間の経過とともに生臭くなってしまう。酒と少量の塩を振ったり、みそやしょうゆなどで下味をつけて冷凍すると劣化が防げる。
◆生臭みにつながる水気を拭く
切り口の水気は放っておくと生臭さにつながるので、必ずペーパータオルで拭く。
■保存期間
2~3か月
■冷凍方法
下味をつけてから空気を抜いてぴっちりラップをかけ、冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて密閉を。
■解凍・調理法
冷蔵室で半日ほど置いて解凍。急ぐ場合は保存袋に入れたまま氷水につけて解凍してもいい。
●鮭のヨーグトみそ焼き
【1】生鮭2切れは水分を拭き取って冷凍用保存袋に入れ、プレーンヨーグルト大さじ3、みそ大さじ2を入れてなじませ、空気を抜きながら平らにして袋の口を閉じ、冷凍する。
【2】【1】を冷蔵室に移して解凍し、漬けダレをしっかりぬぐい取る。
【3】温めた魚焼きグリルに【2】を並べ、中火で7~8分ほど焼いて器に盛る。
『刺し身』の冷凍保存
食べ残した刺し身は漬け冷凍で保存期間を延長
昔ながらの魚の保存法「漬け」にすれば冷蔵で2日、冷凍なら約1か月まで延長できる。解凍してそのまま食べてもいいが、衣をつけてあげれば竜田揚げに。
■保存期間
1か月
■冷凍方法
冷凍用保存袋に調味料と一緒に入れて漬け込み、空気に触れないよう空気を抜いて冷凍する。
■解凍・調理法
冷蔵室に移して半日~1日かけて解凍。もしくは保存袋ごと氷水につける。
●刺身のしょうゆ漬け
【1】水気を拭いた刺し身200gと、しょうゆ大さじ2、みりん・酒各大さじ1を冷凍用保存袋に入れてなじませ、空気を抜きながら平らにして袋の口を閉じ、冷凍する。
【2】冷蔵室に移して解凍する。
【3】茶碗にご飯をよそって刻みのりを敷き、【2】をのせ、大葉1枚はせん切りにして散らして、卵黄1個を中央にのせ、白いりごまを振る。
調味料も冷凍が便利
「塩分が強い柚子胡椒やコチュジャンは冷凍してもかたまらないので、スプーンですぐに取り出せます」(島本さん)。
また、みそは乾燥を嫌うので、空気に触れないようみその上にラップを。冷蔵保存より風味が飛びにくく、賞味期限を延ばせる。
教えてくれた人
東京海洋大学特任教授 鈴木徹さん
冷凍学の専門家として、科学的でわかりやすい解説に定評がある。冷凍に関する著書多数。
料理研究家 島本美由紀さん
冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー。消費者庁主催の食品ロス削減推進大賞で審査委員会委員長賞を受賞。
料理/島本美由紀 撮影/田中宏幸 スタイリング/宮田桃子 取材・文/山下和恵
※女性セブン2023年4月27日号
https://josei7.com/
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