《83歳の保健学博士が実践するボケないための習慣》「スーパーに行くときもおしゃれに」日課としている2つの体操は「高速指体操」「舌回し」
散歩の健康効果や認知症予防などの効果を最大化する散歩のやり方を解説した『ボケない散歩』(アスコム)を上梓した、保健学博士の石田良恵さん。83歳の石田さんが日課にしている朝の散歩は、健康や脳機能の維持に役立っているというが、散歩以外にもボケないための習慣を行っているという。どんなことをしているのか具体的に教えてもらった。
教えてくれた人
石田良恵さん/保健学博士
いしだ・よしえ。1942年埼玉県出身、女子美術大学名誉教授。フロリダ大学スポーツ科学研究所客員教授(1989~1990)。専門は身体組成で、主に減量、加齢、トレーニング効果。定年退職後、登山に目覚め、国内外問わず山に登る。生涯登山を目指した筋トレの必要性から「山筋体操」を指導。全国規模で普及活動や講演を行う。著書に『ボケない散歩』(アスコム)など。
ボケないために“脳によいこと”を意識して取り入れる
以前はできていたことができなくなったり、物覚えが悪くなったりと、どんな人でも加齢とともに脳は老化していく。しかし、その老化スピードには差があり、「年だから」とあきらめて何もしていない場合、対策をしている人に比べて急速に衰えていく。
「私はそうならないように、日々の生活で、脳によいと思われることを意識して取り入れています。その1つは、もちろん散歩。そしてもう1つが料理です。私にとって、料理は脳トレがわりになっています」(石田さん・以下同)
選んだ食材から献立を考える「ボケない料理」
料理が得意な場合は「そこまで考えなくとも料理はできる」と感じるかもしれないが、冷蔵庫の食材を見て、何が作れるか、どんな組み合わせの献立にするかと考えるのは、実はかなり頭を使うことだ。そのため、石田さんは買い物をするときに、あえて旬のものやお買い得品を選び、そこから献立を考えるようにしているという。
「いわば、私なりの『ボケない料理』です。一人暮らしだと食材が余りがちなので、作り置きもよくします。作り置きしたお総菜を少しずつアレンジして食べるのも、楽しみの1つです。どう組み合わせれば飽きずにおいしく食べられるか──そんなことを考えるのも、ちょっとした頭の体操になります」
ちょっとしたおしゃれで脳を元気に
近所のスーパーに行くときは楽な格好で行く人も多いだろう。しかし石田さんは、近所のスーパーに行く場合でも軽く化粧をし、さらに服選びには手を抜かないという。岡山大学の研究によると、おしゃれは脳によい影響を及ぼすことがわかっており、認知症の感情面の症状を改善する方法として「化粧療法(メイクセラピー)」というものもある。
また、認知症の初期症状の1つとして「身だしなみに気を遣わなくなる」ことが挙げられるが、これはやる気や感情のコントロールなどを司る脳の前頭前野という部分がうまく働かなくなることによる。おしゃれをするなど気持ちが上がることを採り入れ、前頭前野を働かせることは大切だ。
石田さんも「認知症対策の1つとして、好きな色を身にまとうなど、おしゃれをしてみてはいかがでしょうか」と話す。
人に会って話す
ボケないためには人と話すことも重要だ。医学的にも、さまざまな人とコミュニケーションをとることが認知症予防に効果があるとされており、認知機能に問題のない高齢女性2249人を対象に数年間追跡した研究では、家族や友人と頻繁に会話をしていた人ほど、そうでない人と比べて認知症を発症する割合が明らかに低かったそうだ。
会話をする相手は家族や気の合う友人でももちろん良いが、「少しだけ勇気を出して、新しい人と関わってみてほしいのです」と石田さん。新しい人と関わることは、脳にもよい刺激になるためだ。
「私が心掛けているのは、『この人はちょっと合わないかも』と感じても、そこで距離を置かずに、まずは話してみることです。話してみると意外とおもしろい話が聞けたり、知らなかったことを教えてもらえたりするものです。気づけば仲よくなっていたという経験もこれまでに何度もありました」
体を素早く動かす2つの日課
ボケないための習慣に加えて、石田さんは日課として体を素早く動かす練習を2つしているという。素早く体を動かす能力は「敏しょう性」と呼ばれ、転んだときにとっさに手を出して顔から倒れるのを防ぐことなどに関係する。高齢者が転倒で大きなけがをしやすいのは、敏しょう性の低下によって防御が間に合わなくなることが一因とされているが、けがの療養で活動が減ったり、けがを恐れて外に出なくなってしまったりしては、脳機能も衰える一方だ。
「敏しょう性が落ちるのは、脳の中の『運動野』と呼ばれる部分の働きが弱くなってくるから。運動野は、体を動かすときの司令塔の役割を果たす場所で、ここがうまく働かないと、体を素早く動かせなくなったり、とっさのときの反応が鈍くなったりします」
脳を目覚めさせる「高速指体操」
石田さんが毎日欠かさず行っているトレーニングの1つが、指をできるだけ早く動かすことで脳に刺激を与える「高速指体操」だ。指先は神経が集中しているため、意識して動かすことで脳の運動野が活性化される。
《「高速指体操」のやり方》
【1】ひじを軽く曲げて、両手の手のひらを自分のほうに向ける。両手同時に、親指→人差し指→中指→薬指→小指の順に折りたたんでグーを作ったら、手を開く。10秒間で繰り返す。
【2】逆方向からも行う。両手同時に、小指→薬指→中指→人差し指→親指の順に折りたたんでグーを作ったら、手を開く。10秒間で繰り返す。
「ポイントは、限界まで指を速く動かすこと。ただし、ただのグー・パーのようになってはダメです。指の一本一本を順番に、バラバラに動かしてください」
舌の筋肉を鍛える「舌回し」
石田さんのもう1つの日課が「舌回し」だ。敏しょう性は手足だけでなく、舌の動きにも関係する。舌の筋肉が衰えると、言葉がはっきりしなくなり、聞き返されることが増える。さらに、食べ物をうまく飲み込めず、誤嚥のリスクも高まる。
《「舌回し」のやり方》
口を閉じたまま、舌で歯ぐきの外側をぐるっと一周する。歯ぐきの上、横、下の順番で時計回りに5回、反時計周りに5回行う。これを2~3回繰り返す。
「このトレーニングでは顔の筋肉も鍛えられ、顔のたるみの予防・改善にも効果があります。これはおまけではありますが、うれしい効果ですよね」
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