東京・大塚の老舗おにぎり店「ぼんご」2代目女将が明かす1日1000個売れる味の秘密
東京・大塚駅に、1日1000個以上を売り上げるという“おにぎりの聖地”がある。1960年の創業から今年で62年の老舗にして、年々行列が増えるという希有な店だ。しかも、10代の若者から先代の頃のなじみ客まで、客層の広いこと。米離れが叫ばれる昨今、なぜこの店は繁盛するのか。2代目女将の“唯一無二”の味わいに迫る。
おにぎりの名店「ぼんご」行列ができる理由
山手線・大塚駅北口のロータリーから望む都電の線路沿いに、長い行列が見える。旧店舗から移転し、10月10日に営業を再開したおにぎり店「ぼんご」を目指す列だ。
「店は11席で、交代制で握り手はひとり。お客さまから『握り台を増やせば?』と言われるのですが、毎朝7時から具材の仕込みを行ってもいまの量が精一杯で、これ以上は広げられないんですよ」と、女将の右近由美子さん(70才)は申し訳なさそうに言う。
それもそのはず、毎日90kgの米を炊き、握る数は1日1000個を軽く超えるほどの人気なのだ。平日のある日、11時30分の開店にもかかわらず、一番客の家族が訪れたのは9時前だった。
「小学生の娘が来たがっていたので、運動会の振替休日を利用して、1時間かけて来ました。もともと私の兄が、一度に8個も食べるほどのぼんごファンなんです(笑い)」
右近さんはそれを聞き、店から走り出て、「まあ遠くから。もう少しお待ちくださいね」と声をかけていた。
乃木坂46の来店でファンの聖地に
リニューアルオープンとはいえ、店内は新装という感じはない。
「新しい店も、お客さまが実家に帰ってきたような、『お帰りなさい』という雰囲気でお迎えしたかったので、カウンターや看板、椅子などは、前の店のものをそのまま持ってきたんです」(右近さん・以下同)
壁一面に貼られたメニュー。具材の組み合わせは自由自在。57種すべてが定番で、増えることはあっても減ることはない。具材の詳細や人気ランキングは、ホームページでチェックを。 https://www.onigiribongo.info
目を引くのは、若い人たちの姿が多いことだ。
「『乃木坂46』のメンバーが来店されて以来、ファンの聖地になっているようで。『唐揚げ+豚キムチ』『カレー+牛すじ』など、彼女たちと同じ具材を頼んだりしてかわいいんです(笑い)。米離れといいますが、みなさんしっかり食べていきます」