「部下や後輩が自分の話に聞く耳を持たない。私は老害なのか」嘆く64歳に毒蝮三太夫がズバリ!アドバイス|「マムちゃんの毒入り相談室」第81回
まだまだ現役バリバリのつもりでも、近ごろ部下や後輩から冷たい態度を取られるという64歳の男性。もどかしい思いでいっぱいだが、妻からも「あなたはもう老害なのよ」と言われしまう。マムシさんは「気持ちはわかるが、自分の役割が変わったことを自覚したほうがいい」と、あたたかい言葉で未来に向けてエールを贈る。(聞き手・石原壮一郎)
今回のお悩み:「会社で誰も話を聞いてくれない。自分は老害なのか?」
「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」も終わっちゃった。いやあ、ジャンプもスノボもスケートも、見てて圧倒されたなあ。日本チームも大活躍だった。メダルを獲った選手も獲れなかった選手も、みんなよく頑張ったよ。
やっぱりスポーツはいいね。違う国のライバルをお互いに称え合っている姿を見ると、人間はこうじゃなくっちゃって思わされた。このあとも、3月6日には「パラリンピック」の開会式がある。楽しみだ。どの選手にも、悔いのない戦いをしてほしいね。
今回は、会社の中で自分が「老害」になってるんじゃないかと悩んでいる64歳の男性からの相談だ。もどかしい思いはよくわかるけど、これは難しい問題だなあ。
「最近、会社の部下や後輩が私の話を聞いてくれない。取引先との交渉が行き詰っている様子なので『俺だったらこうするな』とアドバイスしてやったら、面倒そうに『時代が違いますから』と言われてしまった。後輩に『あの件はどうなってるんだ』と心配な件について尋ねても、『大丈夫です』としか言わない。
妻に不満を漏らしたら『あなたはもう、ただの老害なのよ』と言われた。極めて心外だ。若い部下や後輩は、どうすれば年長者の話を聞く大切さに気付くのだろうか。自分の経験や知識が生かされないのは、なんとも口惜しい。マムシさんならわかってくれると思って相談しました。よろしくお願いします」
回答:「若い人が活躍できるように、こっそり後押ししてあげるのが年長者の役目」
たしかに、それはもどかしいだろうね。60代っていうのは微妙な年ごろなんだよ。経験も知識も増えた分、自分では「今がいちばん脂がのっている」と思っているかもしれない。ただ、若い世代からはけっしてそうは見えてないんだよな。
アドバイスにせよ何にせよ、きっと役に立つことを言っているんだと思う。だけど、どんなにいいことを言っていても、聞く側の若者に「言ってくれてありがたい」という姿勢がないと、うっとうしい雑音にしかならない。人間なんて、そんなもんだよ。
あるいは、自分では役に立つことを言っているつもりでも、それこそ古い時代の感覚や常識を引きずっていて聞く側をウンザリさせてるなんてのは、まあよくある話だ。どっちにせよ、職場での「自分の役割が変わった」ってことじゃないかな。求められていないのに口出ししてしまうのは、相手のためじゃなくて自分の満足のためかもしれない。
「オレはまだまだやれる」と張り切る気持ちは、とっても大切だ。「もっとオレの話を聞け」と憤ることが、元気の秘訣になってくれることもあるだろう。ただ、そんな思いを口に出しちゃいけない。若い人に対抗意識を燃やすんじゃなくて、若い人が伸び伸びと活躍できるように、こっそり後押ししてあげるのが年長者の役目だ。
「あなたはもう老害なのよ」と言ってくれる奥さんは、とっても立派だよ。素晴らしいね。言葉はきついけど、あなたをやさしく思いやってくれている。「バリバリ働くあなたも素敵だったけど、役割が変わった今のあなたも悪くないわよ」と認めてくれているわけだ。カチンと来るのは、自分が置かれている現実を直視できてないからじゃないかな。
これからは、あなたを誰よりも理解していたわってくれる奥さんと、いかに楽しく豊かな人生を過ごしていくかを考えたほうがいい。会社にしがみついて役に立とうと必死で頑張ったところで、会社はあなたの幸せな老後をお膳立てしてはくれないよ。奥さんが差し伸べてくれている手をしっかり握って、きちんと目を見てじっくり話をしてみよう。
オレも60代70代の頃は、若い世代に「うっとうしい先輩」と思われないように、けっこう気をつかったもんだ。そんなつもりはなくても、ちょっとしたひと言が相手にプレッシャーを与えたり、命令っぽい意味を含んじゃったりすることもあるしね。
だけど、80代になってからはずいぶん気が楽になった。押しも押されもしない高齢者だから、みんながやさしくしてくれる。若いヤツと張り合おうって気持ちもなくなった。もちろん「害」にならないように、オレなりに注意してはいるつもりだけどね。
そんなわけだから、おとっつぁんも安心して歳を重ねていってくれ。「自分は老害なのか」なんて、そのうち気にならなくなるよ。何はさておき、奥さんと仲良くな。家庭内で「百害あって一利なし」の夫になったら、大切な奥さんに見放されちゃうぞ。
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毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)
1936年東京生まれ(品川生まれ浅草育ち)。俳優・タレント。聖徳大学客員教授。日大芸術学部映画学科卒。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の隊員役など、本名の「石井伊吉」で俳優としてテレビや映画で活躍。「笑点」で座布団運びをしていた1968年に、司会の立川談志の助言で現在の芸名に改名した。1969年10月からパーソナリティを務めているTBSラジオの「ミュージックプレゼント」は、現在『金曜ワイドラジオTOKYO 「えんがわ」』内で毎月最終金曜日の16時から放送中。89歳の現在も、ラジオ、テレビ、講演、大学での講義など精力的に活躍中。この連載をベースにしつつ新しい相談を多数加えた『70歳からの人生相談』(文春新書)が、幅広い世代に大きな反響を呼んでいる。最新刊は玉袋筋太郎と熱く語り合った対談集『愛し、愛され。』(KADOKAWA)。毒蝮の「毒」と玉袋の「粋」が熱く融合し、混迷の時代を生きる私たちに勇気と希望を与えてくれる。
「マムちゃんねる スペシャルトークLIVE 春」開催決定! ゲストに神谷明、赤坂泰彦など。日時は2026年4月25日(土)19時開演(18:30開場)。場所は深川江戸資料館・小劇場。入場料4000円(税込・全席指定)。チケットのお問い合わせは「カンフェティチケットセンター」http://confetti-web.com/@/mamuchannel TEL:050-3092-0051(平日10:00~17:00)。
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石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」「失礼な一言」など著書多数。新著『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)と『大人のための“名言ケア”』(創元社)が好評発売中。この連載ではマムシさんの言葉を通じて、高齢者に対する大人力とは何かを探求している。