年間3万人の高齢者が自宅で転倒!家に潜む危険なポイント11と対策
戸建て、マンションそれぞれに特有の危険箇所もある。まずはマンションから。
「高層階であればあるほど災害時の避難が困難になる。高齢者では5、6階程度がギリギリではないでしょうか」
タイル張りのエントランスは高級感があるが、雨の日はツルツル滑るので危ない。
「築20年以上のマンションは充分なバリアフリーがなされていないところもある。スロープや手すりなどがなく、意外に危険です」
戸建てはどうか。
「そもそも、高齢者が2階以上で生活するのはけがをするリスクがあるので避けたい。1階で生活するリビングケアが理想的です」
太田さんもこう指摘する。
「意外と転倒事故が多いのが庭やガレージです。段差が高いうえ、靴ではなくつっかけやサンダルなど、足にフィットしていない履物を履くため、庭の下草などで足を取られる。ガレージも薄暗く、置いている小物などで転倒しがちです」
庭への下り口にしっかりした踏み台を置いたり、履物をフィットする靴にするなどの対策が考えられる。
庭の足元も工夫が必要だ。
「雨が降ると敷石や砂利は滑りやすい。変な体重のかかり方をして転倒すると特に事態が重くなりやすい。コンクリート敷きにするなど検討してほしい」(高室さん)
こうみていくと、手すりなどをDIYで設置したいと考える人もいるはずだが、これは一考を要する。
「取り付けが甘いと体重をかけたときに外れたりして危険。素人がやるのではなく、プロに任せましょう」(太田さん)
敵を知り己を知れば百戦危うからず。リスクを知り、徹底的に遠ざければいいのだ。
教えてくれた人
高室成幸さん/ケアタウン総合研究所代表、太田差惠子さん/介護・暮らしジャーナリスト
イラスト/黒木督之
※女性セブン2022年12月1日号
https://josei7.com/
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