65才以上の事故死8割は室内で発生!トップ3は「転倒」「窒息」「ヒートショック」
コロナ禍でステイホームが続く中、「家にいれば安全」と思っていたら大間違い! 廊下と部屋の段差につまずいて骨折、階段からすべって全身打撲で入院、入浴中に眠ってしまい溺死など、65才を過ぎた頃から死に直結する事故が増えていく。自分の家で不本意な死を遂げないために予防対策を行っていこう。
65才以上の事故死8割が家庭内で起こる
家庭内事故で亡くなる人は年間1万4984人。これは交通事故の死亡者数の4.2倍(※1)にもなる。また、国民生活センター調べでは、65才以上の事故死の約8割は家庭内で起きているという結果も出ている
(※1)厚生労働省の『平成30年人口動態調査』及び内閣府『平成30年道路交通事故の状況』による。
■住居での事故が約8割!
・住宅…77.1%
・民間施設…8.2%
・一般道路…3.3%
・公共施設…1.5%
・公園・遊園地…0.3%
・不明…0.3
・その他…2.4%
高齢者の3大事故「転倒」「窒息」「ヒートショック」理由を専門家が解説
「高齢者の3大事故は“転倒”“窒息”“ヒートショック”です」
と言うのは、介護予防トレーナーの久野秀隆さん。
「転倒事故で多いのは、階段を踏み外す、玄関の段差でつまずく、風呂場ですべるなど。窒息は、お正月にお餅をのどに詰まらせる死亡事故のほか、入浴中に溺死する人も後を絶ちません。
風呂場の事故の主な原因はヒートショックです。部屋や脱衣所とお風呂場との急激な温度差によって体に異変が生じ、気を失うなどの意識障害を起こして湯船に沈んで亡くなる。その数は年間1万9000人を超え、20~30代でも起こります」
【事故1】転倒…階段を踏み外す、玄関の段差でつまづく、風呂場ですべる
【事故2】窒息…食べ物を(もちなど)のどに詰まらせる、入浴中の溺死
【事故3】ヒートショック…急激な温度差(風呂場など)
慌ててリフォームせず身近なグッズで対策を
また、「高齢者の室内での事故は、日本の住宅環境にも原因がある」と言うのは、介護用品・福祉用具の販売、レンタルを行う『ヤマシタ』HC事業部国分寺営業所の乙井香名子さん。
「日本は、玄関に高い段差があったり、畳文化のため、敷居や縁(へり)のある家が多い。これらは若い頃には気になりませんが、高齢になると、足腰の筋肉や反射神経の衰えなどで数ミリ単位の段差でもつまずきやすくなるのです」(乙井さん・以下同)
危険な箇所が思い浮かんでも、すぐに引っ越したり、リフォームする必要はない。
「慌ててリフォームしても、いざ、介護が必要となったときに、体に合わなかったりすることもあるので、まずは身近で手に入るグッズを使った対策から始めるのも1つの手です」
教えてくれた人
久野秀隆さん/介護予防トレーナー、乙井香名子さん/『ヤマシタ』HC事業部国分寺営業所
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/えのきのこ 取材協力/ヤマシタ
※女性セブン2021年11月14日号
https://josei7.com/
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