介護食はどこで売っているの?売り場や種類、食べ方を徹底リサーチ【栄養士監修】
「市販の介護食を選ぶときは、食べるかたの噛む力や飲み込む力に合ったものを選びましょう。商品によって、食材の形状やかたさに違いがあるので、パッケージの規格をチェックしてみてくださいね」
市販の介護食の規格は、日本介護食品協議会が「ユニバーサルデザインフード(R)」を定めており、噛む力や飲み込む力のレベルに合わせ、以下の4つの区分(食材のかたさの目安)がある。それぞれどんな形状なのか「卵料理」を一例に、解説する。
■かたさの目安
・容易にかめる…厚焼き玉子
・歯ぐきでつぶせる…だし巻き卵
・舌でつぶせる…スクランブルエッグ
・かまなくてよい…やわらかい茶碗蒸し(具なし)
農水省の「スマイルケア食」は3つの区分
なお、介護食の規格は、前述の「ユニバーサルデザインフード(R)」(日本介護食品協議会)のほかに、農林水産省が提唱する「スマイルケア食」(新しい介護食)もあり、こちらは3つの区分を設けている。
・健康維持上栄養補給が必要な人向け「青」マーク
・噛むことが難しい人向けの「黄」マーク
・飲み込むことが難しい人向けの「赤」マーク
農林水産省によると、「介護食を高齢者だけでなく、噛むことや飲み込むこと、栄養に関して問題があるという人にも理解しやすいよう、選ぶ目安を具体的に提示している」とのことだが、記者がリサーチしたところ、店頭やネットで買える商品は、「ユニバーサルデザインフード(R)」の4つの区分を採用しているものが多い印象だ。
介護食はどうやって食べる?
「市販の介護食は、そのままでも食べられますが、電子レンジやお湯で温めて食べるのが一般的。レトルトタイプが主流ですが、お弁当のようにおかずやご飯が詰め合わせになっている介護食や、デザートのようなカップ入り、ゼリー飲料のようなパウチタイプもあります。まずは、一般的なレトルトタイプから試してみるといいでしょう」
■お湯で温める場合
■電子レンジの場合
必ず中身をお皿などに移し、ラップをふんわりかけてパッケージの指示通りの時間温める。だいたいの商品は、500wの電子レンジで約20秒、600wで約10秒程度のことが多い。
市販の介護食を上手に摂り入れて介護にゆとりを【まとめ】
「介護が始まると、食事作りは悩ましいもの。野菜など繊維質の食材をペースト状にしてのどごしよく仕上げるのはなかなか大変ですよね。
また、誤嚥性肺炎を防ぐには、食材にとろみをつけることが必要ですが、日々変化する体調や嚥下機能の状態によって、とろみの濃度を調整するのは、私たちプロにとっても難しいもの。もちろん手づくりに越したことはありませんが、毎日の食事作りでそれほど手間はかけられないので、市販品を上手に摂り入れるのがおすすめです。
生きるのに必要な栄養素は、チューブやカテーテルで栄養を摂取するのと、口から食べるのでは大きな違いがあります。
市販の介護食はあまりおいしくないのでは?と抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、最近は味もよくなっていますし、食材の栄養素もしっかり含まれています。
なるべく口から食べることを維持するためにも、市販の介護食を便利に活用して欲しいと思います。口から食べて噛んで飲み込むという一連の動作は、生きる上で大事なこと。噛んで飲み込んで食べて、おいしいと感じることで、前向きな気持ちにもつながると思います」
監修
管理栄養士・清水加奈子さん
国際中医薬膳師、調理師などの資格を持ち、女性誌や広告などでレシピの提案や監修を行う。介護食おせちの監修なども手がける。
撮影/宮本信義 取材・文/田名部知子