防災のプロ2人が勧める備蓄品の選び方「立地で被害を予想する、飲料水は500mlで」
地盤災害ドクターの横山芳春さんは、防災グッズを揃える際、自分の住んでいるエリアはどんな災害があるのか、避難する所は自宅なのかそれとも避難所を選ぶのか。ある程度予測を立てた上で準備すると良いという。
また、気象予報士・防災士の津田紗矢佳さんは、独り暮らしでスペースも限られているため自身が体験した東日本大震災の経験を元に厳選したグッズのみを備蓄していると話す。
防災のプロ2人は一体どんなものを準備しているのか。早速見せていただこう。
まずは住まいの立地を 調べてリスクの予測を
「災害リスクは立地によって異なるので、それを見極めることができればある程度、被害の予測はできます」
とは、数々の被災地を調査してきた横山芳春さんだ。
自分が住んでいる場所はどんな災害の可能性があるかを調べて、家にとどまるか避難するかを判断し、そのうえで、防災グッズを選ぶのがおすすめ。横山さん自身、水害や土砂災害の危険性が低く、大地震が発生しても在宅避難できる場所を住まいに選んだという。
「いま住んでいる場所の地形や地質、土地の利用履歴、災害の履歴、ハザードマップなどを調べてみましょう。家の耐震性については、建築年をチェック。1981年6月以降に建てられたものなら新耐震基準を満たしていますが、2000年にさらに強固なものに改正されているので、引っ越しを考えている人は、2000年以降に建てられた耐震等級3の住宅を選ぶのが望ましいでしょう」(横山さん)
家も“防災用品”なのだ。
家での備蓄リスト
□ 赤いきつねうどん(東洋水産)10個
□ サッポロ一番しょうゆ味(サンヨー食品)5袋入3個
□ 米5kg以上
□ カロリーメイト(大塚製薬)複数
□ 水(サントリー天然水2L/サントリー)10本以上
□ GAVAトマトジュース30缶×2箱以上
□ 折りたたみソーラーパネル100W・22W(SUAOKI)
□ ポータブル電源(SUAOKI)
□ 小型モバイルバッテリー多数
□ 多機能防災ラジオ
□ 非常用トイレ(セルレット/後藤)30個セット+水を使わない防災トイレ30回分
□ トイレットペーパー(エリエール/大王製紙)12ロール×5袋以上 □ ブルーシート
□ 飲料水用折りたたみタンク複数 など
★POINT:備蓄品は棚に収納
食品はローリングストック(日常的に使い、なくなったらつぎ足す)しているため、普段使っている収納棚に入れている。そのほかの防災グッズはプラスチック製のコンテナケースに入れてクローゼットに収納。
★POINT:「赤いきつね」「サッポロ一番」など好物を用意
米や水のほか、好物を中心に備蓄している。
★POINT:停電対策は万全に
電気の供給が途絶えるとさまざまなものが機能しなくなるので、充電グッズは多めに用意。
★POINT:庭に仮設トイレの用意も
5人家族なので60回分の非常用トイレを用意。このほか、庭に仮設トイレが設置できるよう、小さめのテントを準備。
教えてくれた人
■横山芳春さん/地盤災害ドクター・理学博士
だいち災害リスク研究所所長。専門は地質学、地盤工学、災害調査。広島土砂災害や熊本地震などの調査も実施。土地選びなどについて啓発活動を行う。5人家族。
自宅スペースを考え 最低限のものを厳選
食品は長期常温保存ができてそのまま食べられるもの、飲料水は持ち運びやすい500mlサイズにこだわってローリングストックしているというのは、気象予報士・防災士 津田紗矢佳さん。
ひとり暮らしで収納スペースも限られているので、備蓄も持ち出し袋も必要最低限のものを厳選しているという。しかし絶対外せないと、常に携帯しているものがある。
「それは歩きやすいペタンコシューズ。東日本大震災のときに何kmも歩いて帰宅。ヒールだったので足が痛くて。その経験を踏まえています」(津田さん)
家での備蓄リスト
□ はごろもフーズ健康シリーズ10個以上
□ 岩谷堂羊羹(回進堂)10個以上
□ 水(クリスタルガイザー500ml/大塚食品)24本以上
★POINT:いろいろな味が楽しめるパウチ食品
パウチ食品は、保存期間が長くて種類も豊富。温め不要でそのまま食べられ、缶詰に比べてかさばらない点が気に入っている。
★POINT:ようかんはエネルギー 補給にもピッタリ!
ようかんは2年ほど保存がきくので備蓄に最適。チョコレート味やキャラメル味もあって飽きず、非常時の心の安らぎにもなる。
持ち出し袋リスト
□ 食料品
□ 飲料水
□ 衛生用品
□ ネックピロー
□ 手回し充電ラジオ
□ レインコート
□ 折りたたみ式ウオーターバッグ
□ 防寒用のアルミシート
□ スリッパ
□ タオル
□ 下着
□ ビニール袋
□ 紙皿
□ ラップ
□ 油性ペン
□ 眼鏡 など
★POINT:ラップはさまざまに活躍!
紙皿の上に敷けば、紙皿を再利用できるし、紙の代わりにメモ用紙としても使える、丸めればひも代わりになるなど、使い道が豊富。
教えてくれた人
■津田紗矢佳さん/気象予報士・防災士
防災・減災のため、天気や防災をわかりやすく伝える気象の翻訳者として、執筆・講演・監修などで活動中。テレビ朝日系『スーパーJチャンネル』(日曜)の気象キャスター。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2021年12月9日号
https://josei7.com/
●防災の専門家が自宅で備えているグッズ「水はサイズ違いを用意、レインコートは色つきのものを 」