もし職場で地震が発生したら…身を守るために知っておきたいことを専門家が解説
今年4月のテレワーク実施率は全国で19・2%(日本生産性本部調べ)。在宅勤務が推奨されているが、約8割の人は出社している。つまり、職場で被災する可能性は高いというわけだ。いつ発生するかわからない地震。だからこそ、オフィス内での危険な場所は知っておきたい。
いざというときに命を守るために知っておきたい知識を専門家に教えてもらった。
割れた窓ガラスでケガをする可能性は低い
一見、窓の近くは、割れたガラスが落ちてきて危なそうだが…。
「比較的新しいオフィスビルの窓ガラスは、基本的に飛散防止のために強化ガラスや中央に高強度の樹脂が入っている合わせガラスを使用しています。そのため、たとえ地震の揺れによってヒビが入っても、弾けるような割れ方はしません。つまり、割れたガラスでけがをする可能性はかなり低いと考えられます」
と話すのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
どちらかというと、窓枠が変形することで外部へ落下する事例が多く報告されているという。
とはいえ、窓枠の変形具合によっては、窓が室内に落ちたり、破損する可能性はあるので、窓ガラスに飛散防止フィルムを張るなどの対策を講じておいた方が安心だ。
重量のあるオフィス家具の周辺は要注意
「危険なのは、照明やコピー機、背の高いキャビネットなど、重量のあるオフィス家具の周辺です。
特に、高層階にあるオフィスでは、揺れにより、家具類の転倒・落下に加え、移動する危険性があります。キャスター付きのコピー機や複合機など、重量のあるOA機器が移動して、ぶつかったり、挟まれるとけがをする恐れがあるので、すぐにそれらのそばからは離れた方がいいでしょう」(和田さん)
歩ける程度の揺れなら、廊下やエレベーターホールなどに移動を。
動けないほどの強烈な揺れの場合、近くのデスクの下に隠れること。オフィス用のデスクは構造的に頑丈なものが多く、安全度が高いからだ。そのためにも、日頃からデスク回りは整理整頓し、デスクの下には物を置かないようにしておこう。
そして被害を未然に防ぐために、キャスター付きのOA機器などは、移動を抑止するためのストッパーを装着しておこう。背の高い家具も、転倒しないように壁に固定し、家具の上には物を置かないようにするなど、職場全体で防災意識を高めておくことが大切だ。
まとめ
●割れたガラスでけがをする可能性はかなり低い。
●窓ガラスに飛散防止フィルムを張るなどの対策を講じておいた方が安心。
●重量のあるオフィス家具の周辺は要注意。
●歩ける程度の揺れなら、廊下やエレベーターホールに移動を。
●動けないほどの揺れの場合は、デスクの下に隠れる。
●キャスター付きのOA機器はストッパーを装着しよう。
●背の高い家具の上に物を置かないようにする。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃