コロナ感染で自宅療養中に災害発生 避難はどうしたらいいのか【防災専門家解説】
新型コロナウイルス(以下コロナ)感染症患者の約半数が自宅で療養している(※)。いつ誰が感染してもおかしくないいま、自宅療養中や自宅待機中に、災害が発生し、避難しなければいけない場合は、どうすればいいのだろうか。いざというときに迷わないためのノウハウを専門家に聞いた。
※厚生労働省資料より
国の方針は『自宅にとどまれるのであれば、在宅避難をしよう』だが…
「自宅の被害が少なく、津波などに襲われる可能性がない場合は、自宅を離れる必要はありません。コロナ禍以前から、コロナに限らずあらゆる感染症予防の観点から『自宅にとどまれるのであれば、在宅避難をしよう』という方針が国から示されています」
と語るのは、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんだ。
では、自宅にとどまれない場合はどうすればいいのか?
5月に改訂された「防災基本計画」
5月25日に改定した防災基本計画では、自治体と保健所が連携し、一般の避難者とは別に自宅療養者用の避難先をあらかじめ検討・確保することが新たに明記された。
●まずは自宅療養を命じた窓口に避難先を確認する
「原則、自治体の指示で自宅療養や自宅隔離をしている場合は、自宅療養を命じた窓口に避難先を確認し、指示に従うのが望ましい。けれども、災害時はそんな余裕がなかったり、連絡が取れない可能性も
●自力で探す場合
その場合は、自力で避難場所を確保するしかありません。その際の避難先の候補として、
・1番はホテルなどの宿泊療養施設
・2番が親戚や友人の家
です。避難所は行くところがなかった場合の選択肢で、優先順位は最後となります」(高荷さん)
●親戚や友人宅に着いたら管轄の保健所か役所で相談を
親戚や友人の家に着いたら、管轄の保健所や役所に連絡をして、医療施設や宿泊療養施設へ移動できないか相談してみる。
移動できない場合は、避難宅にて避難生活となる。
親戚や友人宅の承諾が得られなかった場合は避難所へ。コロナ陽性者だからといって入所を断られることはなく、自治体も体育館以外の教室を開放するなど、コロナ禍の避難所運営を強化している。
●虚偽の申告は絶対にNG
避難所に到着したら、自宅療養中であることや、感染の疑いがあることなど、体調を正確に伝えること。虚偽の申請や感染を隠すようなことは絶対にしてはいけない。
一部の自治体では、自宅療養者は一般の避難者とは別の施設やスペースへ避難するよう案内している。住まいのある自治体の自宅療養者の避難マニュアルがどうなっているか注視しておこう。
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃