防災アドバイザーが教える備蓄品の準備法「 必要なものの“正しい順番”、まず家族の弱点を書きだしてみる」
必ずくるといわれている首都直下地震や南海トラフ地震に加えて、近年では台風による被害も日々の暮らしを脅かしている。こうしたなか、防災の専門家たちは日頃の備えの大切さを呼びかけ、自らも準備を進めている。防災アドバイザー・かもんまゆさんもそのひとり。防災リックを準備する際は、いま自分の家族が被災したらどうなるのか想像すればおのずと分かってくるという。5人家族のかもんまゆさんは普段からどのように備蓄品を準備しているのか教えてもらった。
家族の命を守る備えは“正しい順番”で
「講演会のとき、“防災袋に何を入れたらいい?”とママたちからよく聞かれるのですが、防災とはリュックを作ることではなく、家族の命を守ること。そのためには“正しい順番”が大切です」
と、備災アドバイザーのかもんまゆさん。
「まずは“敵”を知ること。自分の住む地域のハザードマップで、最大震度や津波の有無、土砂崩れや水害など、どんな災害が想定されているのかを知り、いま自分の家族が被災したらどうなるのか想像してみましょう」(かもんさん・以下同)
弱点を書き出し打ち勝つ武器をそろえる
次に、0才児がいる、夫が単身赴任中、アレルギー体質など、家族の“弱点”を書き出してみる。そのうえで、このメンバーで災害に打ち克つにはどんな“武器”が必要かを考えるのだという。
「たとえば、仮設の和式トイレは幼児には使いづらいので、置き型簡易トイレがあると便利。また自治体の備蓄品は、乳児用ミルクや生理用品、薬など、使う人が限られている物資の支給は期待できないので、自分で用意しましょう。“正しい順番”で考えれば、自分の家族に必要な準備が自然とわかってきますよ」
家での備蓄リスト
□ 缶入りパン(アキモト)1ケース
□ マジックライス(サタケ)20袋
□ ふりかけ
□ レトルト食品
□ 紙パック入りコーン
□ 味つき袋麺
□ スープ
□ 水出し用の日本茶や麦茶のパック
□ 水(2L×6本入)7ケース
□ 非常用トイレ
□ トイレットペーパー
□ 生理用品
□ ヘルメット
□ ブルーシート
□ 懐中電灯
□ ラジオ
□ モーリアンヒートパック加熱セット約40枚
□ 割りばし
□ 紙コップ
□ 現金 など
★POINT:レトルト食品は常温で食べられるものを
温めなくても食べられるカレーやリゾットなどを用意。
【オススメ】
アルファ化米保存食「サタケのマジックライス」(346円)は、水の分量によりご飯とおかゆの2通り作れるので、離乳食や高齢者食にも便利。味の種類も豊富。スプーン付き。
★POINT:子供には“食べ慣れたもの”を準備
子供は非常時だろうと、食べ慣れないものは食べないので、防災食は事前に試食を。
★POINT:簡易トイレは必須アイテム
「人は飲食なしでも約4時間で排尿したくなるため、避難所のトイレは大行列」と聞いたので。
★POINT:ラジオは手回しでないものを
手回しタイプは疲れるし、回す部分が折れてしまうことも。電力も不安定になりがちだったそう。
★POINT:あったか便利なモーリアンヒートパック
少量の水があれば15分ほどで食材を温められる発熱剤と加熱袋のセット。備えておくと便利。
持ち出し袋リスト
□ マジックライス(サタケ)
□ 菓子
□ モーリアンヒートパック加熱セット
□ メスティン(アルミ製の飯盒)
□ 抗菌ビニール手袋
□ アルコールスプレー
□ 消毒保湿できるハンドクリーム
□ うがい薬
□ アイボン洗眼薬(小林製薬)
□ 歯磨きティッシュ
□ ゴミ袋30Lを10枚(無印良品)
□ 大判紙タオル(無印良品)
□ 帽子
□ 黒ポンチョ
□ 12時間もつ非常用ろうそく など
★POINT:持ち出し袋は重すぎると持ち運べない
重さは、女性で10kgくらいを目安に。
★POINT:好きな香りグッズで気分をリフレッシュ
被災時は気が張りつめているもの。好きな香りのハンドクリームでメンタルもケア。
★POINT:「100円の帽子」が役に立つ
風呂に入れない避難所生活だが、物資配給などで他人と話す機会が多い。ボサボサ髪を隠すのに帽子が役だったと聞き、準備。
携帯リスト
□ カロリーメイト(大塚製薬)
□ スニッカーズ(マースジャパン)
□ ミンティア(アサヒグループ食品)
□ コンタクトレンズ&保存液
□ 目薬
□ 傷パッド
□ 切り傷の薬
□ 携帯トイレ
□ 生理用品
□ 5年間保存できるウエットティッシュ
□ 除菌シート
□ タブレット状のタオル
□ マスク
□ 使い捨てカイロ
□ 笛&ライト付きペン
□ 黒のフェルトペン
□ 黒い袋
□ スマホ充電器
□ LED小型ライト
□ アルミブランケット など
教えてくれた人
かもんまゆさん/防災ママカフェ(R)主宰・防災士
東日本大震災の母子への物資支援を機に「ママが知れば、備えれば、守れる命がある」を合言葉に、全国で「防災ママカフェ(R)」を開催、参加者は2万人を超える。5人家族。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2021年12月9日号
https://josei7.com/
●防災の専門家が勧める備蓄品の準備「食品は食べ慣れているもの」「薬は体質にあったものを」