被災経験のある漫画家が教える災害への備え方「一番困ったのは水とトイレ」
漫画家・イラストレーターとして活躍している世鳥アスカさんは2011年に起こった東日本大震災の被災者のひとり。当時マンションに住んでいた世鳥さん、食料は不自由しなかったが困ったのは水とトイレだったという。そこで実際に体験したからこそ分かる対策や必須アイテムを教わった。
被災して困った水とトイレ問題
2011年の東日本大震災の際、世鳥アスカさんは千葉県浦安市の実家マンション(4階)に住んでいたが、そこで液状化現象(※)が起こった。食料は、震災から4~5日後に知人や親戚から届けられたので不自由しなかったが、困ったのはトイレと水だったという。
「マンションの隣の広場にテントを張って仮設トイレが設置されましたが、夜は真っ暗になります。階段を下りて向かうのは怖いし億劫でした。それに、大勢の人が使うので不潔でした」(世鳥さん・以下同)
携帯トイレ代わりに新聞紙を使ったが、あまり吸収しないうえ、水を含むと重くなり、ゴミ袋が破れたことも。携帯トイレの必要性を実感したという。
「水を入れるタンクがないのにも困りました。給水車が来ても、入れるものがなく、麦茶用の瓶や梅酒用の容器などで対応しましたが、容量が少なくて重い。バケツでは、階段を上るうちにこぼれて半分になってしまうし、散々でしたね」
現在は結婚して、夫と1才の子供との3人暮らし。携帯トイレやおむつは余分に備蓄し、折りたたみ式ウオーターバッグは4つ用意しているという。水とトイレは食料以上に備えた方がよさそうだ。
(※)ゆるく堆積した砂地盤などが、地震などによって激しく振動すると、一時的に液体のようにやわらかくなり、建物などを支える力を失って大きな被害をもたらす現象。
家での備蓄リスト
□ 携帯トイレ50個
□ 5年保存水(2L×6本)
□ 水(500ml×24本)
□ おむつ(子供用)1袋
□ 生理用品(昼・夜用)各1袋
□ 液体ミルク12本
□ 折りたたみ式ウオーターバッグ2個 など
★POINT:折りたたみ式ウオーターバッグは多めに用意
家の中と持ち出し袋のほか、庭の物置にも。
★POINT:備蓄品はクローゼットにまとめて収納
家の中の備蓄品は分散せず、1.5畳ほどのクローゼットにまとめて置いている。
持ち出し袋リスト
□ 梅がゆ(アルファー食品)3袋
□ 野菜ピラフ(アルファー食品)2袋
□ コーンピラフ(The Next Dekade)2袋
□ 10年保存クッキー(The Next Dekade)2袋
□ 携帯おにぎり2袋
□ ハーベスト香ばしセサミ保存缶(東ハト)
□ サージカルテープ
□ 携帯トイレ
□ おしっこ用携帯ミニトイレ
□ レインコート
□ アルミ温熱シート
□ 水のいらないシャンプー
□ 除菌アルコールシート
□ 耳栓とアイマスク
□ 歯磨きセット
□ 折りたたみ式ウオーターバッグ
□ レジャーシート
□ 紙皿
□ 業務用ゴミ袋(10~15L)20枚
□ 洗濯ばさみ12個
□ ラップ
□ メモ帳
□ ガーゼ
□ ライト
□ エアー枕2個
□ エアークッション
□ ばんそうこう
□ 爪切りセット
□ カッターナイフ
□ 水に流せるティッシュペーパー
□ たためるシリコンコップ
□ 伸縮包帯
□ スリッパ2足
□ ロープ
□ 軍手
□ 使い捨て手袋
□ トラベル用圧縮袋
□ レインコート
□ マスク
□ ハンドクランクラジオ など
★POINT:おかゆを離乳食代わりに
離乳食まで用意するのは大変。おかゆなら子供から大人まで食べられる。
★POINT:不安からちょっとの刺激でも眠れない
被災時は不安からちょっとした物音でも眠れない。安眠できるためのグッズがあると便利。
★POINT:はさみなどでは代用できないのが爪切り
子供がいる家庭におすすめ。大人に比べて子供は爪の伸びが早いので、週に2回は爪切りが必要に。意外とはさみでは代用できないので、あると便利。
携帯リスト
□ スマホ充電器
□ 除菌シート
□ マスク
□ 眼鏡拭き など
世鳥さんの持ち出し袋の中身。1人分でもこれだけの量に。食品は夫の持ち出し袋にも備蓄。
教えてくれた人
世鳥アスカさん/漫画家・ イラストレーター
取材・文/上村久留美 イラスト/世鳥アスカ
※女性セブン2021年12月9日号
https://josei7.com/
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