『散歩の達人』編集長おすすめの“ご近所散歩” 普段の道がエンターテインメントになる楽しみ方
コロナ禍の運動不足解消の手段として、散歩をする人が増えている。「密を避けて気軽に運動できる」とブームに。ただ歩くのではなく、普段は目に留めない看板や道端に咲く草花にも目を向けてみれば、気分転換にもなって、想像力を働かせることで脳の活性化にも。そんな散歩の魅力を達人に聞きました。
『散歩の達人』編集長もハマったご近所散歩
「散歩ってどうしても“ただ歩くだけ”のイメージがあるかもしれませんが、視点を変えるだけで、ご近所散歩でも充分エンターテイメントになりえると思います」
そう話すのは、雑誌『散歩の達人』編集長の土屋広道さん。東京等の緊急事態宣言下に発売された『散歩の達人』2020年6月号の特集『ご近所さんぽを楽しむ15の方法』は、バックナンバーがプレミア化するほど話題を集めた。
「普段使っている道って、お店くらいしか気に留めていないですよね? でも“その道のプロ”に聞くと、動物やいろいろな形に見えてくる“珍樹”や看板の文字が消えてしまった“無言板”など、いつもの道にも面白いものがたくさん潜んでいることがわかる。こうやって想像力を働かせることって、人生を豊かに楽しむ極意なんじゃないかなと思います」
ご近所散歩のメリットはほかにも。
「以前、脳内科医の加藤俊徳先生から『歩くことで脳が刺激される』と聞いたのですが、たしかに散歩をするといい企画やアイディアが浮かぶんです(笑い)。行き詰まったら気分転換に近所をぶらり。脳の活性化にもおすすめしたいですね」
達人のワザが光る、ご近所散歩の魅力
珍樹に会える
「模様や形が動物や別のものに見えてくる木を“珍樹”と呼んでいます。珍樹は森林よりも公園や街路樹に多いんです。タイトルをつけて仲間と盛り上がったり、定期的に“安否確認”して経年変化を追うのが楽しい。想像力が刺激され、頭もスッキリします」(珍樹ハンターの小山直彦さん)
小山さんが出会ったユニークな珍樹をご紹介。
■洋式便座
切り株部分がまるで「洋式便座」のような形になった大きな樹木
「実際に座ってみましたが、座り心地抜群!」(小山さん、以下「」同)
■鹿
頭、首、胴体…と鹿そっくりの形をした切り株
「高尾山で出会った大きな切り株。またがる家族連れもいました」
■象
象の横顔が描かれたような切り株
「ハイキングの途中で遭遇。鼻を丸めて干し草でも食べてるみたい」
■鮭
少し口を開けた鮭の顔が描かれたような切り株
「節を目に見立てると顔になりやすいんですが、1つしかない場合は横顔にならないかと想像してみると珍樹になりやすい。正月の新巻き鮭みたいでしょ?」
■人差し指
枝の形が、人差し指を立てた形の樹
「新宿御苑で見つけた、ラクウショウの気根。縁起もよさそう!」
野鳥に出会える
「野鳥は都心から山奥まで広範囲で出会える確率が高いのですが、とくに落葉した秋冬は狙い目。耳を澄ませて彼らの鳴き声をキャッチしましょう」(『散歩の達人』編集長・土屋広道さん)
■メジロ
■シマエナガ
■ユリカモメ
■シジュウカラ
撮影/爲永 写真提供/小山直彦 取材・文/井上明日香、辻本幸路
※女性セブン2022年1月6・13日号
https://josei7.com/