猫が母になつきません 第260話「かきこまれる」
《悪口》には依存性があるらしい。母は完全に「悪口依存症」。長電話はいつも誰かの悪口。悪口を言うと脳内でドーパミンが分泌され快感が得られるのでそれを繰り返してしまい依存症になるというわけ。一方で悪口を言うという行為は脳がストレスを受けるため、記憶力の低下や認知症のリスクが上がってしまうそう。母は自分の悪口がネットにたくさん書き込まれているという夢を見て脳の中で夢と現実がごちゃまぜになってしまい、現実の世界でずっとその書き込みを探していました。「それは夢だよ」と説明しても、次の日には「書き込みはどうやったら消せるの?」と聞いてくる。それが何日も続くので母のノートパソコンに「ネットに悪口は書かれていません←それは夢です」と書いたメモを貼って、なんとか《書き込まれ妄想》はおさまりました。夢と現実の境がなくなるパターンは初めてだったので弟に報告すると「新しいなぁ(笑)」と。(笑)って全然笑えないんですけど、1日に何度もエゴサーチ(自分の名前を検索)している80代。悪口は脳を傷つける…母の記憶力の低下が著しいのはそのせい?…だとしても悪口をやめさせる方法なんてなさそうです。そういえばこの連載は母に関する壮大な書き込みと言えなくもない。母には内緒にしていますが、読んだとしてもきっと「こんなお母さんがいたら大変ね」と言うと思います。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。