長生きするための愚痴・悪口の作法…脳を傷つけないための6つのルール
長期化するコロナ禍でストレスがたまり、愚痴をこぼしたり、悪口を言ったり、ついつい毒を吐きたくなる。ところが、日々のうっぷんを晴らしているつもりでも、愚痴や悪口を繰り返すほど、あなた自身は傷ついている。悪口を言う人は寿命が5年短くなるという。命を削らないための悪口の作法を専門医に聞いた。
長生きしたい人の愚痴・悪口の作法とは?
悪口を言うとドーパミンで快楽が得られるが、それと同時にアドレナリンやコルチゾールといった、ドーパミンとは別のホルモンも分泌され、これが健康に悪影響を及ぼす。心臓疾患のリスクが上がりほか、うつやアルツハイマー型認知症などを発症しやすくなると言われている。
→悪口ばかり言う人は寿命が5年短い!? 悪口がもたらす6つのリスク
とはいえ、世間や他人に対してなんの不満も抱かずに暮らすことなんてできるはずもない。たまった不平不満は、どう処理すればいいのだろうか。精神科医の樺沢紫苑さんが話す。
1.愚痴や悪口は1回までと心得る
「どうしても愚痴や悪口を吐き出したいなら、1回までと心得て。1回ならストレス発散になりますが、何度も同じ話をすると記憶に刷り込まれて忘れられなくなり、かえってストレスが膨らみます」(樺沢さん)
■悪口1回法のやり方
悪口を言いたくなったら、1つの内容につき1回の愚痴まで。繰り返すほどにかえって記憶に刻み込まれて忘れられなくなり、ストレスになる。
2.悪口を言う前に3秒深呼吸
悪口を繰り返さないようにするには、悪口を言いたくなったら「3秒間深呼吸」をしてみること。
3.悪口を言ったらブレスレットや輪ゴムをつけ替える
さらに、本当に口に出していいのか冷静に判断するくせをつけ、その上で米テキサス大学が提唱する「インターベンション・ブレスレット」という方法を試してみたい。脳科学者の杉浦理砂さんが話す。
「ブレスレットや腕時計、輪ゴム、指輪などをつけておき、悪口を言ってしまったら、反対の手につけ替えるだけ。その回数を数えれば、自分がどれくらいストレスを感じて、何回悪口を言ったか可視化できます。1回悪口を言うごとに脳がダメージを受け、老けていくと思えば、悪口を言う回数は自然と減っていくでしょう」(杉浦さん・以下同)
■インターベンション・ブレスレットのやり方
片方の手にブレスレットや腕時計、輪ゴム、指輪などをつけておく。悪口を言ってしまったら反対側の手につけ替える。つけ替えた回数分老けていくと思えば、次第に悪口を言わなくなる。
4.不満や悪口を紙に書きなぐる
不満や悪口を紙に書きなぐる「エクスプレッシブ・ライティング」という方法もある。
「負の感情を紙に書いてアウトプットすることでストレスを緩和する心理学的手法で、うつ病などにも効果があります」
■エクスプレッシブ・ライティング(負の感情の言語化)のやり方
どんな些細なことでも、感じているストレス、本音を毎日時間を決めて紙に書きなぐる。書いた紙はすぐに捨てていい。SNSで行う場合はアカウントに鍵をかけ、「憂さ晴らし目的」の中傷をしないように。
5.悪口の言い方を変える…OK・NG事例
例えば…
「A子さんは、いつも私のことをバカにする」と感じるとき…
OK→「『ケチね』って言われたのよ」と、事実を愚痴る。
NG→「だいたい、あの人って性格が悪いのよ」と、事実と感情を混同して悪口を言う。
6.SNSの愚痴アカウントで吐き出す
紙に書く代わりにSNSに「愚痴アカウント」を持って吐き出すのもおすすめだ。しかし、SNSの投稿は後から自分で見返すことができるため、それによって再びネガティブな感情がわく可能性はある。さらに、SNSを心のよりどころにするなら、もう1つ注意が必要だ。
「相手に面と向かって文句を言うときや、誰かと一緒に噂話をするときと違って、匿名のSNSは、感情のタガが外れやすい。悪口を言われた人を死に追いやるほどエスカレートする場合もあります。ネガティブな気持ちを吐き出すだけならいいですが、憂さ晴らしをするためにわざわざ攻撃対象を見つけて叩くようになったら、それはただの言葉の暴力行為です」
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愚痴や悪口を吐き出すときの注意点
「声に出したときほどでなくとも、SNSに書き込んだだけでも、脳はダメージを負う」と、樺沢さんは指摘する。
腹にたまった不満を処理するなら、書きなぐった紙はとっておいたりせず、すぐに捨てていい。どうしてもSNSで吐き出したいなら「愚痴アカウント」は誰にも見られないよう鍵をかけて非公開にするのが鉄則だ。
悪口を言うと、一時はスッキリしても、相手はもとより、自分自身も深く傷つけることになる。どうしてもがまんできないなら、「人から見えないところで、1回で終わらせる」のが、悪口の流儀と心得たい。
※女性セブン2020年11月19日号
https://josei7.com/
教えてくれた人
脳科学者・杉浦理砂さん/スタンフォード大学で脳トレ研究にも従事した脳科学者で『ブレインフィットネスバイブル 脳が冴え続ける最強メソッド』などの著書も。
精神科医・樺沢紫苑さん/精神科医として多くの著者がある。作家、映画評論家など幅広く活躍。