シニアにおすすめ【新聞ちぎり絵】の作り方|木村セツさんが指南
“新聞ちぎり絵”を90才から始めて、わずか1年で作品集を出版した木村セツさん(92才)。新聞やのりなど身近な材料ですぐはじめられる新聞ちぎり絵の作り方を、木村さんに教えてもらいました。おうち時間が増えた今こそ、新しい趣味として始めてみませんか?
【目次】
木村セツさんに学ぶ「新聞ちぎり絵」
新聞、のり、ピンセットなどの身近なモノで、すぐに始められる新聞ちぎり絵。発想は自由。好きな題材を選べばいいが、ポイントは、下絵と色を選ぶ作業にある。
「下絵をしっかりと描き、使う色が決まれば、あとはスムーズにできます」と、セツさん。
使う色をあれこれ考えるのは脳トレにもなる。新聞はモノクロのイメージだが、カラーのページもある。特に、広告はカラーで印刷されていることが多いので、使えそうなところがないか、隅々までチェックしよう。
新聞ちぎり絵【準備】材料はこちら!
セツさんが新聞ちぎり絵に使っている材料は、手に入りやすいものばかり。
<材料>
・新聞紙
・段ボール(のりづけのときの下敷きに)
・紙(はがきより厚みのあるものが作りやすい)
・フエキ糊
・水(小皿に入れておく。修正に使う)
・消しゴム
・シャープペンシル(鉛筆でも可。芯はHBがベスト)
・ピンセット(先が細い方が使いやすい)
・カッター
・綿棒
・朱肉
・落款
新聞ちぎり絵【作り方】下絵から完成までレッスン!
【1】下絵を描く
実物か写真をじっくりと見て描く。セツさんは納得いくまで何枚も下絵を描き直すこともあるそうだ。
【2】新聞の色を選ぶ
使う色を選び、分ける。「色出し」と呼ぶ作業。緑、赤、黄色、オレンジなど。「ふだんから、色分けをして保管しておくといいですよ」(セツさん・以下同)。
【3】新聞をちぎる
作りたいものに合わせてちぎる。ここでは文字が入っていても気にすることはない。
【4】下絵の輪郭をとる
下絵の上に新聞を置いて、下絵の輪郭をシャープペンシルでなぞる。この線に沿って新聞をちぎる。1つのパーツは小さめにちぎるのがおすすめだ。
【5】貼り方の見当をつける
のりづけする前に、どの順番で貼ったらきれいに仕上がるか考える。
【6】のりづけして、貼る
ちぎった新聞を段ボールの台に載せ、新聞にのりを薄く伸ばす。のりづけした新聞をピンセットでつまみ、下絵に貼っていく。もしも新聞が切れてしまっても、すぐに貼り合わせればOKだ。
【7】色を重ねていく
隣のパーツと少しずつ色味を変えていく。「黄色でも色味がちょっとずつ違います。微妙に色の違うものを重ねていくことで深みが出てきます」。
【8】形を整える
線が欠けている場合は似た色の新聞をちぎって補修。「細かい破片でも捨てないことです」
【9】綿棒で線を消し、カッターで整える
はみ出したシャープペンシルの線は、水につけた綿棒でこすって消す。その後、カッターで少しずつ削りながら輪郭を整える。
【10】完成!
好きな場所に落款を押す。
上手に仕上げるためのポイント4つ
新聞ちぎり絵を始めて2年以上経ち、試行錯誤の上、「上達するポイントが見えてきた」と言うセツさん。ちょっとした工夫で、セツさんのようにうまくなれるかもしれませんよ。
【1】のりはフエキ糊がベスト
セツさんが愛用するのりは、昔から売られている「フエキ糊 どうぶつ」(不易糊工業)。赤い帽子をかぶった犬のキャラクターのでんぷんのりで、全国の量販店で手に入る。
「スティックタイプやチューブタイプといろいろと試してみましたが、これがいちばん使いやすいです。作業中、ふたを開けっぱなしにしていても乾かないですし、よく伸びて、作品もピシッと決まるのでおすすめです。見た目もかわいいですしね」(セツさん・以下同)
愛するあまり題材にもしたほど。
【2】おかずの写真が載った紙面は使える
新聞のカラー写真は人物、風景、動物などさまざまだが、特に使いやすいのがおかず(料理)の写真。
「おかずの写真はいいですよ。特にお魚の焼いたものとかは使いやすいですね。たとえば、さばの塩焼きなんかは、さんまの焼き目やうなぎの蒲焼の焼き色を出すときや、鮭の切り身の皮の部分にも使いました。パンの写真もトーストのちぎり絵に使えますしね。初めてやらはる人やったら、おかずの写真を使って、食べ物のちぎり絵を作らはるのがええと思います」
【3】あえて関係ない文字を見せてみる
「あまり意識してはいないんですけど、時々、ちぎり絵に文字が入っていることがあるんです。色合いを出すのが大事なので、少々文字が入っていても気にしません。
作品が完成してから長女や孫に、『おばあちゃん、文字入っているよ』って、言われて気づくことが多いですね。文字が入っている方が、かえって味になるみたいで、孫からは『これ味があってええやん』と、褒めてもらえることもあります」
餃子の新聞ちぎり絵にも、「スキヤキ」や「Kcal」などの文字が入っている。
【4】失敗してもOK修正はいくらでもできる
ベテランのセツさんでも、失敗することは多いという。
「貼ってから『この色、ちょっと違うな』と思ったら、綿棒に水をつけたものでこすってはがします。これで、きれいにはがれるんですよ。それでもはがれなかったらカッターナイフとか使ったりしてね。あとはその上から別の色を重ねてはったりすることもあります」
多少いびつでも、それが味わいとなる新聞ちぎり絵。最初から何もかもうまくいくわけではないので、“失敗しても、修正すれば大丈夫!”と思って、トライしよう。
木村セツさんの作品集を参考にしよう
■たけのこ
「新聞を切るときは写真も柄として見ているので、出来上がってから、長女に『人の写真を使ってる』と言われて、気がつくことがあります」。これも、真ん中のたけのこの右上部分に、人が並んでいる写真が使われている。
■お弁当
手前に、お弁当箱のつなぎ目を出したのは、ふだん、セツさんがつなぎ目を自分の方に向けて食べるからだそう。「ご飯の上に黒ごまをちらしてアクセントにしました」。
■えびフライ
えびフライは大好物。「衣のところに文字を入れたら面白いかと思って入れました。ミニトマトにも『資』という文字が入っていますが、これは無意識。後で気づきました」。
教えてくれた人
新聞ちぎり絵作家 木村セツさん
1929年1月7日、奈良県生まれ。ツイッターアカウント「91歳セツの新聞ちぎり絵」のフォロワーは4万2000人超(2021年4月1日時点)。最新著書は『91歳セツの新聞ちぎり絵 ポストカードブック』(里山社)。
出典/「90歳セツの新聞ちぎり絵」、「91歳セツの新聞ちぎり絵 ポストカードブック」(いずれもちぎり絵 木村セツ/里山社刊)
取材・文/廉屋友美乃 写真提供/木村セツさん
※女性セブン2021年4月22日号
https://josei7.com/
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