猫が母になつきません 第247話「さがす」
もの探しは毎日のこと。母の鍵はコイル状の伸び縮みするキーチェーンをつけてから失くす頻度がだいぶ減りましたが、それでも失くすことはあります。母が動く範囲は限られているので、まず本人が身につけていないか確認。首にかけていたり、ポケットにいれていることしばしば。それで見つからなければ直近で母が行った部屋を調べます。なかなか見つからないので、まさかと思いながらもトイレをチェックしたら手洗いのタオルかけにかかっていた、なんていうことも。今回はトイレにもない、そういえば新聞取りに出たはず…と外に出て玄関から郵便受けまでをあちこち探す。うーん、ないかーと戻りかけたとき、門のすぐ横の木の枝にひっかけてある鍵が目に入りました。いったいどういうタイミングでこんなところに…次々に新しいパターンを繰り出されるので試されているのかと思うほど。推理ゲームのようになってきました。そして、われながらよく見つける。発見したときに私がちょっとしたカタルシスを得てしまうのは母の思う壺なのでしょうか。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。