安らかな最期”ピンピンコロリ”のために医師が実践する5つの習慣
「理想の死に方」について最も多くの医師が挙げたのが「老衰」だった。最も穏やかな最期だと思えるという老衰――安らかな最期、ピンピンコロリのために、実際に医師たちが実践していることとは?
1.食べすぎないことが第一
「理想の最期」を迎えるため、医師は医学的根拠に基づく独自の方法を実践している。
ちくさ病院総合内科医・近藤千種さんは、食事の量に着目している。
「健康寿命を延ばすためには、食べすぎないことが第一です。糖尿病などの生活習慣病を予防するうえ、カロリー制限は長寿遺伝子を活性化させることにもつながります。
好きなときに好きなものが食べられる豊かな時代ですが、“お腹が空いた”という感覚を思い出すことはとても大切です。私は食べすぎたと感じたら翌日に半日程度の断食をすることもあります」(近藤さん)
2.魚と野菜、発酵食品を積極的に摂る
とはいえ、食べる量を減らすだけでは不充分。食事内容にも気を配る必要がある。
「摂るべきは魚と野菜。魚の良質な脂分は血液に関する疾患を遠ざけ、野菜は生活習慣病を予防します。これに加え、発酵食品を取り入れて免疫力を上げる。添加物の多い食品を避けることも心がけたい」(麻酔科医師・大西良佳さん)
→健康寿命を延ばす食生活|世界の長寿食研究権威が教える2週間分献立
3.1日8000歩は歩く
生活習慣に関しても、医師の大西さんは「1日8000歩歩く」「朝日を浴びる」「毎日入浴する」「定期的にヨガ・瞑想をして深い呼吸を意識する」など、さまざまなルーティンを取り入れている。
4.ストレスをためない
ハタイクリニック院長・西脇俊二さんが尽力するのはストレスの緩和だ。
「ストレスをためることは免疫力を下げるうえ、興奮したときに働く交感神経が優位な状態になり、消化機能が下がって睡眠障害も起きる。アトピーやがんの原因にもなりうるといわれており、まさに万病のもとです。
認知症を患った人は、もともとの性格が精鋭化する場合が多い。もともと性格がきつい人はより攻撃的になり、もともと穏やかな人はよりニコニコするようになる。ですから、いま現在もストレスなく機嫌よく過ごしている人は、ニコニコするような認知症になる可能性があります」(西脇さん)
5.ポジティブに自己固定を
理想の最期になるかどうか、それを決めるのは、最終的には心の在り方だと、昭和大学病院緩和医療科特任教授・緩和ケアセンター長の岡本健一郎さんは言う。
「私は痛みの緩和の専門医療を行ってきて、10の痛みが7になったときに、“まだ7もある”と言う人と“3も痛みが取れた”と言う人とでは、“3も取れた”と言う人の方が痛みが和らぎやすい。ポジティブに“これでいいのだ”と自己肯定し、悲観的にならないことが大切だと感じています」
故・女優の樹木希林さんは生前、<人生がすべて必然のように私のがんも必然だと思っています> <人生なんて思い通りにならなくて当たり前>という言葉も残している。
いまこのときを、前向きな気持ちを持って生きることが、安らかな死につながるいちばんの方法なのかもしれない。
ピンピンコロリのために医師が実践していること【まとめ】
【食事】
「カロリー制限は長寿遺伝子を活性化させ、生活習慣病を予防するため、食べすぎないことが第一。半日程度の断食をすることも」(近藤さん)
「良質な脂分を含む魚と生活習慣病予防の効果がある野菜に加え、免疫力を高める発酵食品を取り入れている。添加物の入った食品をなるべく控えることもポイント」(大西さん)
「糖質を摂りすぎないことを意識しており、朝と夜は炭水化物を抜いている」(西脇さん)
「バランスよく、なるべく多くの種類の食材を食べるようにしている。1つの食材に発がん性物質があったとしても、摂取するほかの食材の量が多ければ相殺される」(医療法人社団進興会理事長・森山紀之さん)
【生活習慣】
「朝日を浴びる、定期的にヨガや瞑想をして深い呼吸を意識するなどルーティンを作り、実践している」(大西さん)
「睡眠時間の確保とこまめな手洗いをずっと続けている」(総合診療科医・山口征大さん)
「がんからアトピーまでストレスは万病のもと。なるべくためないように意識している」(西脇さん)
【運動】
「日常にウオーキングを取り入れて1日8000歩歩いている」(大西さん)
教えてくれた人
近藤千種さん/ちくさ病院総合内科医、大西良佳さん/麻酔科医、西脇俊二さん/ハタイクリニック院長、山口征大さん/総合診療科医、岡本健一郎さん/昭和大学病院緩和医療科特任教授・緩和ケアセンター
※女性セブン2021年1月1日号
https://josei7.com/
●最期まで自分の足で歩くために必要なこと3つ|靴選び、ウオーキング、あと1つは?