終末期の症状を知っておきましょう…看取りの時に何をしてあげればいいのか|700人看取った看護師がアドバイス
残念ながらもう治療することができなくなってしまった最後の段階で、何をしてあげたらいいのか。どうやって亡くなっていくのか。親を介護して来て、知っておいたほうがいいことです。看護師として700人以上を看取り、自らも両親を看取った宮子あずささんが、わかりやすく話してくれました。
終末期になると、食べ物を摂らなくなって、起きている時間や呼吸に変化が
どんなに適切な医療や介護をしていても、どうしても終末期はやってきます。終末期が来ると、具合が悪くなって食欲も低下し、ほとんど食べ物を摂らなくなります。そして、だんだんと起きている時間が少なくなっていきます。口数も減ります。
声をかけると目を覚ましていたのが、そのうち呼びかけにも応えなくなっていき、ずっと寝入るようになっていきます。
●呼吸が速くなって、音がするようになる
呼吸にも変化がみられるようになります。通常、呼吸数は1分間に20回程度ですが、だんだんと速くなっていきます。通常の倍以上、1分間に40から50回になります。
呼吸のリズムも一定せず、速く呼吸していたかと思うと、遅くなってみたり、また速くなってみたり、無呼吸状態になったりすることもあります。
そのうちに、のどに痰がからんだようなゼーゼーという音がするようになります。さらに進むと、口をパクパク動かすようになり、下あごをひいて呼吸し始めます。呼吸が速くなって、やがて遅くなって亡くなっていきます。
肝臓や腎臓が正常に動かなくなるために、呼吸がうまくできなくなる
呼吸が変わってきてしまうのには、いろいろな理由があります。
●肝機能障害によって、脳が正常に働かなくなる
たとえば末期の患者さんは、肝機能障害を起こすことが多いのですが、そうすると体内の老廃物を排出することができなくて、頭がぼーっとしてしまいます。
毒素が脳内に回って、脳が正常に働かない状態になるのです。脳が働かないと、呼吸中枢の機能も低下するので、呼吸がうまくできなくなります。
●尿毒症によって、脳が正常に働かなくなる
腎臓もそうです。腎臓にも毒素がたまって尿毒症という状態になるので、これを排出できなければ、やはり脳に異常をきたしてしまいます。
もちろん、肺や呼吸筋自体が原因で、呼吸がおかしくなることもありますが、多くの場合は、肝臓や腎臓の問題です。
●点滴をすることで、楽になると思いがちだが
ではどうしたら、最後の瞬間の苦しみを和らげてあげられるでしょうか。
点滴をしましょうかと病院から家族に聞かれることもあります。点滴によって元気になったという経験があるかたも多いでしょう。同じように、親にも楽になるように点滴をしてあげたい、と考えるかもしれません。
しかし、終末期の患者さんに関しては、点滴をすることで、むしろ苦痛を増やしてしまう可能性もあるのです。
●吸収できない状態のところへ、強制的に水分を入れるとたまるだけ
終末期には、体内の細胞が、水分を取り込みにくい状態になっています。体が、水分を吸収できないのです。そこに、点滴によって、強制的に水分を入れたら、体内にたまるだけになってしまいます。