秋野暢子「終活」を語る 日本尊厳死協会への入会を告白
60才を迎えると、見えてくる“終わり”のこと。考え始めるのに早すぎることはない。還暦後をどう生きるか──。女優の秋野暢子さん(61才)が語った。
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61才。被災地支援により力を入れるようになった
今年1月に61才の誕生日を迎えました。最近ようやく時間に余裕ができて、生活が落ち着いてきたんです。
今、力を入れているのは、被災地支援。2011年の東日本大震災後から活動を続けてきて、昨年からは月1ペースで足を運んでいます。
思えば、還暦を迎えてからですね。被災地では、地元の人と一緒に食事を作ったり、健康体操を教えるワークショップを開いたり、賛同してくれるネイリストなどの友人を連れて、ネイルをしたり。いろいろです。
この春からはさらに活動の幅を広げていこうと、専門家にも協力していただいて社団法人を立ち上げ、被災者だけでなく誰もが健康で暮らせる社会づくりのために活動しようと計画中です。
19才の時にNHKの連続テレビ小説『おはようさん』のヒロインに選ばれた私は、母と一緒に大阪から上京しました。
結婚は25才。11年間の不妊治療と2度の流産の末、36才でようやく娘に出会えました。そんな娘も、大学を卒業して、去年ようやく独立し、家を出て行きました。これもちょうど60才になった年ですね。そこで考えたんです。
これまで、若いときは自分のために、結婚・出産してからは家族のために働いてきた。じゃあ、これからは誰のために働くんだろう、と。そこで、“これまでお世話になった社会のために働こう”と、先ほど言ったような活動にさらに力を入れていこうと思ったんです。
娘が家を出て、今は生まれて初めてのひとり暮らしを楽しんでいます。好きな時間に食べたいものを食べて、見たいものを見る。楽しいですよ~! すごく楽しい。最高! こんなに自由な生活があったのか!って(笑い)。ワンちゃんとネコちゃんも一緒で、今とっても幸せです。
「終活」で娘のためにできること ”延命拒否””断捨離”…
活動の軸足が変化してきたり、娘が独立したり、環境の変化もあるなかで、還暦を機に終活を始めました。その1つが、日本尊厳死協会への入会です。
23年前、母は78才で亡くなりましたが、元気なうちから「絶対に延命しないで」と口にしていて、母もまた60才で尊厳死協会に入会していたんです。母が危篤状態になった時、母の意思を尊重して延命治療を断ったのは私です。ただ、本当によかったのかと思い悩むこともありました。
でも、60才になったとき、ハッとわかったんです。なぜ母がそのような最期を希望したか。それは他でもない娘に迷惑をかけたくなかったからだった。
私も母と同じ、娘に同じことをしてあげたい、と60才になって思い立ったのです。
断捨離を始めたのも、娘に迷惑をかけたくない思いから。ひとり暮らしに必要ない物は処分したい。少し前にお洋服を半分にし、次は食器の断捨離です。ひとり暮らしなんだから、お皿が2~3枚あればいいですもんね(笑い)。
老いや死は自分の力で逆らえないものですから、私は怖くありません。それよりも死の準備を整えて、健康第一でポジティブに過ごすことが大事だと思っています。
人生100年も夢じゃない時代。あと40年生きられたら何を見られるのかな?って、想像するとワクワクします。
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号
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