2025年は大相続時代到来?「家じまいに関する意識調査」から空き家問題の課題をレポート
団塊世代が75才以上になり、超高齢社会を迎える2025年。家に住む人がいなくなり、「家じまい」「実家じまい」の問題に直面する人も多いのではないだろうか。しかし、実際どのような流れで進めればいいのか、不安を覚える人もいるだろう。「家じまいに関する意識調査」の結果を元に、家じまいをする際のポイントを見ていく。
2025年大相続時代へ「空き家予備軍」問題とは?
団塊世代がすべて後期高齢者である75才以上になる2025年を目前に控えた現代日本。資産が次の世代に相続される「大相続時代」がやってくると言われている。中でも大きな資産である家の「家じまい」や「実家じまい」は多くの人にとっても初の体験となり、大きな課題となるとされている。
また、住宅・土地統計調査(平成30年)(※)によると、首都圏においては、65才以上の高齢者しか住んでいない持ち家である、いわゆる「空き家予備軍」が全国より多い状況のようだ。今後2025年問題と共に相続が発生する家を多く抱えており、空き家問題は他人事ではないと言えるだろう。
さらに不動産を相続し放置していると、管理費や税金、修理費など余計なコストが掛かってしまったり、空き家となれば老朽化による倒壊、景観の悪化、放火による火災など、近隣住民に深刻な被害をもたらす可能性も。
そこで、戸建関連事業を始めとした住まいや暮らしに関連する各種サービスを展開するオープンハウスグループは、不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME’S』を運営するLIFULLと共に、「家じまい」に関する調査を実施。実家や生家の売却を経験した、もしくは検討している男女の計700名を対象にしたインターネット調査から、家の相続と家じまい・実家じまいにおける課題を浮き彫りにし、その解決策を探った。
※厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf
家じまいに関する意識調査
Q1:売却を検討し始めたきっかけ
まず最初に、経験者と検討者の双方に売却を検討し始めたきっかけを尋ねた。結果はいずれも「使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった」(経験者34.3%、検討者29.1%)の回答が最多となった。
また、2位の「家族や親族の死別」は経験者が20.6%、検討者が17.4%とその差は3.2%なのに比べ、3位の「家族や親族の高齢化」は経験者12.3%に対し検討者は21.7%と9.4%も上回る結果となった。
以上の結果からは、相続後に一定期間空き家になっており、その状態がもったいないと気が付いたタイミングで売却を検討した人が多いことが窺える。実際にオープンハウス・ディベロップメントに家の売却をした人の内4割が相続に関連した売却であり、さらにその内7割がその時点で空き家なようだ。首都圏における「空き家予備軍」は隠れた大きな社会課題になりつつあると言える。
また、「施設の入居のための頭金が必要なため」という回答は検討者の方が高く、老後の介護や暮らしに関わる資金として自ら住宅の売却を計画する人も増えることが見込まれる。検討者の場合「家族や親族の高齢化」が2位となっているが、さらに家を相続・贈与の前後で比較すると、相続・贈与前の人は順位が逆転し1位に。今後、2025年問題を迎えるとより家の売却を検討する人が増えていくと推測される。
Q2:家じまい時の親の年齢
次に、経験者に対して家じまいを実施した住居に住んでいた親の当時の年齢を尋ねた。すると父親・母親共に平均年齢は80才という結果となった。売却時の親の年齢について分布図を見てみると、売却検討タイミングの大きな波は2つ存在するようだ。
一方で、検討者の現在の親の平均年齢は父親が77才、母親が78才となった。検討者の方が親が2~3才若いうちから検討を開始していることが窺える。
経験者のグラフを見ると、全体的には80代がピークとなるが、その中でも大きな山が2回ある。1つ目が80才、2つ目が85才・86才のタイミングだ。死別前に施設に入る、一緒に暮らすなどの理由による売却と、死別後の相続、相続税納付などの理由と推測できる。
また、老人ホームや介護施設の入居費用における平均相場が値上がりしている今、前問での回答にもあったように施設入居の頭金などを理由に売却を検討している可能性も。2025年問題と合わせると家じまい検討が早期化していくことも見込まれるだろう。