【悲報】手作りマスクで犬の誤飲急増|犬や猫が食べると危険なものは?
コロナ禍で犬や猫のマスクに関連する誤飲事例が急増。手作りマスクのガーゼや糸、針、落ちている使い捨てマスクを犬が誤って飲み込んでしまうケースも…。実は飼い主の9割は経験しているというペットの誤飲。犬や猫が誤飲しやすいもの、食べたら危険なもの、誤飲の対策などについて獣医師に話を聞いた。
手作りマスクで犬の誤飲事故が…
沖縄県獣医師会が行なった調査によると、4月~5月の間で布マスクを作成している時に起こった犬や猫のトラブルは合計9件。そのうちペットの犬や猫が針や糸、布を誤って食べたケースが8件、近くを歩いていたペットの脚に針が刺さったケースが1件だった。
いずれも手術などの処置を行ない、現在は回復しているというが、一歩間違えば、命を落とす危険もある。獣医師会は手作りマスクを作る際は、近くにペットがいないことを確認し、誤飲事故等につながらないよう注意を呼び掛けている。
犬や猫が誤食しやすい異物とは?
マスクに限らずペットの異物誤飲は多く、約9割の飼い主が愛猫・愛犬の異物誤飲を経験したことあるという調査結果※もある。
※参考:ペットの異物誤飲についての調査(アイペット損害保険調べ)https://www.ipet-ins.com/info/14047/
犬や猫などペットの誤食について、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC顧問の獣医師・佐藤貴紀さんに教えてもらった。
「犬は食への感心が高く、チョコレートなど香りの強いものを興味本位で舐めて、誤って口に入れてしまうケースがたくさんあります。
猫は、舌の構造が影響していて、猫の舌の表面には無数の小さな突起があり、それが喉側に向かって生えているので、糸や毛糸など細長いものやおもちゃなどを、遊んでいるうちに飲み込んでしまうことが多いですね」(佐藤さん、以下同)
犬がチョコレートを食べてしまう事例は多く、嘔吐や下痢、痙攣、ひどい場合は呼吸が荒くなり、最悪の場合死に至ることもあるという。
佐藤さんが診察してきた犬や猫の誤飲で多かったものが、以下。
●犬が誤飲しやすいもの7選
・チョコレート
・ビニール袋(食べ物の匂いが付いている)
・薬
・梅干しの種
・ペット用の歯磨きガム
・おもちゃ(大型犬に多い)
・ボタン(小型犬に多い)
●猫が誤飲しやすいもの4選
・おもちゃ
・ひも・糸・リボンなどの細長いもの
・輪ゴムやヘアゴムなどゴム製品
・観葉植物
ペットが食べると危険なもの
誤飲事故を起こさないためには、危険なものはペットの近くに置かないこと。誤飲の確立が高いおもちゃで遊ばせるときには、ペットを見守るようにしたい。
そして、何より大事なのは、誤飲してはいけない食べ物や植物などを飼い主が把握することだと、佐藤さんは続ける。
●犬が食べると危険なもの
・アルコール系消毒液
・玉ねぎなどのねぎ類
・ぶどう など
●猫が食べると危険なもの
・玉ねぎなどのねぎ類
・ユリ科(チューリップ、スズラン、ヒヤシンスなど)の植物
・チョコレート
・ポインセチア など
犬や猫が誤飲したら…うんちで出る?
犬や猫が異物を食べてしまった物がうんちから出てくればいいが、必ずしも出てくるとは限らない。
「個体差や誤飲したものにもより、ペットが誤飲したものが、便と一緒に出てくるかどうかはケースバイケース。
犬がマカダミアナッツをそのまま飲み込んでしまい、消化されず腸に詰まってしまったケースがありました」
→ダニから感染する怖い病気|梅雨に増える「マダニ感染症」人も猫も危険!
ペットが誤飲したときの対処法
犬や猫が異物を誤食すると、食欲不振・嘔吐・元気がなくなるといった症状が、数日経ってから出るという。
もし、愛猫・愛犬の誤食に気づいたらどうしたらいいのか?
「塩素系の消毒系を舐めてしまった場合には、水分で食道から胃の中を薄める必要があるので、水を飲ませてあげてください。
それ以外の誤食に関しては、無理に取り出そうとすると喉に詰まらせる恐れもあるので、絶対にしてはいけません」
動物病院では、レントゲン検査、超音波検査などで何を飲み込んだか、またそれがどこにあるかを特定する。
そして、内視鏡を使用して取り除いたり、それでも取れない場合は開腹手術で摘出したり、中毒性のあるものの場合は催吐処置が行なわれる。
「いずれも処置が早いほど選択肢が広がり、ペットへのダメージも最小限に抑えられます。
もし誤食したが元気だという場合も、放っておくと腸に詰まるなど、命にかかわる危険も。誤食の疑いがある場合は、すぐに動物病院を受診してください」
コロナ禍で日常となったマスクや消毒液が、犬や猫には誤飲につながることも…。愛する犬や猫が苦しい思いをしないために、ペットが食べたら危険なものを把握し、誤飲事故が起きない環境づくりを心がけよう。
教えてくれた人/獣医師・佐藤貴紀さん
麻布大学獣医学部卒業後、勤務医を経て独立し白金高輪動物病院を設立。院長として勤務後、JVCC二次動物医療センター目黒病院センター長を務める。現在、目黒アニマルメディカルセンター顧問(https://mamec.wolves-tokyo.com/)。専門は「循環器」。全国に100人しかいない「獣医循環器学会認定医」。「SuperDoctors 〜名医のいる相談室〜」(https://www.youtube.com/channel/UCUxW…)にて配信中。
取材・文/鳥居優美
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