持病がある・高齢の猫ちゃんには手作りフードがおすすめ!気になる健康・症状別のレシピ【専門家監修】
家族同然の愛猫には、いつまでも健康でいてほしいもの。そこで、尿路結石や嘔吐など気になる症状別におすすめの食事レシピを獣医師監修のもと紹介します。多めに作っておけば冷凍保存も可能なのでとっても便利。大切な猫ちゃんと長く暮らせるよう、今すぐ作ってみませんか?
教えてくれた人
須崎動物病院院長 須崎恭彦さん(※崎は「立さき」ですが、本記事では「須崎」さんと表記します)
東京農工大学獣医学科卒業。「薬に頼らないで体質改善」をモットーに、食事療法やマッサージなどを活用し、犬や猫の治療を行う。主な著書に『電子レンジで簡単! 犬の健康ごはん』『はじめて作る 猫の健康ごはん』(共にマイナビ出版)など。
犬猫も長寿の時代に
日本で飼育されている犬の平均寿命は14.65才、猫は15.66才(※)。獣医学の発展や飼い主の知識の向上、食生活の変化などに伴い、犬も猫も平均寿命は延びているという。一方で、アレルギー性皮膚炎や肥満、糖尿病、消化器疾患などの生活習慣病に悩まされるペットたちが増えているという。愛犬・愛猫の“健康寿命”を延ばすためには、どんな栄養が必要かを知り、その子にあった食事を用意するのがおすすめだ。
最近は市販のペットフードの質が向上している。農林水産省が定めた『ぺットフード安全法』により、原材料名や原産国名などの表記が義務づけられているほどだ。バランスよく栄養が摂れるため、忙しい飼い主にはありがたいが、アレルギーのある犬や猫には、食べられないものも多い。
「ペットのアレルギーや肥満に悩む飼い主さんが増えているのは確かです。対策として、手作りフードをすすめています。切り替えて数週間から数か月ほどで、脱毛、湿疹、嘔吐、肥満、下痢などが改善したという声を聞きます」
とは、須崎動物病院の院長・須崎恭彦さんだ。
体質に合った栄養満点のご飯を作るためには、まず必要な栄養素と食材について知ることが大切。加熱&細かく切る&だしで風味付けが基本ルール。その理論を須崎さんに教えてもらった。
「犬は雑食のため、一部の食材を除き、人間が食べられるものはほぼ食べられます。一方、猫は肉食。だからといって肉だけ食べさせればいいわけではなく、ビタミンやミネラルも必要。野菜もバランスよく与えることが大切です」(須崎さん・以下同)
市販のペットフードなら、たんぱく質やビタミンなどがバランスよく配合されているが、手作りとなるとどんな食材を組み合わせたらよいのか。
「犬・猫ともに、体を作るためのたんぱく質、つまり肉・魚は必要です。完全栄養食とされる卵もおすすめ。ただし、加熱して与えること。
野菜類はねぎやアボカド以外、ほぼ与えて大丈夫ですが、草食動物に比べて腸が短いので、野菜は消化がしづらいんです。あげるときは細かく切ってしっかり加熱し、やわらかくしてから与えてください。
米やうどん、パスタなどの穀類もおすすめです。食物繊維が多く、腸内の環境を整えてくれるからです。多くの食材にいえますが、のどに詰まらせないよう、細かく切ってあげましょう」
加えて、皮膚や粘膜の健康にかかわるビタミンA、免疫にかかわる亜鉛、コレステロールの吸収抑制やインスリンの分泌に必要なタウリン、アレルギーの原因・ヒスタミンの分泌を抑えるメチオニン、脂肪の代謝を促すアルギニンなどがあると理想的だという。
「とはいえ、栄養素を気にしすぎる必要はありません。アレルギーなどの症状が出ているなら、それに見合った食材を選ぶべきですが、基本的には人間の食事と一緒。肉や魚、野菜をバランスよく与えていれば問題ありません」
与える量は個体差もあるが、犬なら耳から上の頭分の量が1食分。猫なら1食70~100gを1日2食が目安だ。
「その日の体調を見て、食材や量を調整できるのも手作りの醍醐味。水をあまり飲んでいないようならスープにする、便秘気味なら食物繊維が多い食材を選ぶ、などです」
持病があったり、高齢のペットには特に手作りがおすすめだという。
今回は、猫が具合が悪いときに作ってあげたいレシピを教えてもらった。
※材料は猫の場合、体重4kgの成猫(1日2食)の4食分。
※電子レンジは600Wを使用しています。
※冷凍保存したものは解凍後にやけどしないよう、粗熱をしっかりとってから与えましょう。
※レシピは、『電子レンジで簡単! 犬の健康ごはん』『はじめて作る 猫の健康ごはん』(共にマイナビ出版)を参考に、一部編集部で改変。
<尿路結石【1】>鶏手羽元とかぶのスープご飯
かぶのビタミンCが尿を酸性にし、尿路結石(ストルバイト)を防ぐ
<作り方>
【1】かぶ1/2個、にんじん1/5本をそれぞれ1cm角に切る。かぶの葉1/7本、石づきを取ったしいたけ2個は、それぞれ1cm幅に切る。
【2】鶏手羽元4本を【1】と水1 3/4カップと一緒に中火で煮る。
【3】鶏手羽元を取り出し、骨を取り外したら食べやすい大きさに割き、鍋に戻す。
【4】器にご飯60gを盛りつけ、【3】を加えてよく混ぜる。
◆冷凍で約2週間保存OK!
<尿路結石【2】>あさりと黒豆のスープ
黒豆は利尿作用を促すサポニンが豊富
<作り方>
【1】鶏ささ身200gは筋を取り1cm幅に切る。
【2】にんじん1/10本を1cm角に、白菜1/2枚、小松菜1/2株は1cm幅に切る。
【3】鍋に水11/2カップとあさりの水煮缶1缶を汁ごと入れて中火にかけ、鶏ささ身と【2】を加え、やわらかくなるまで煮る。
【4】【3】に黒豆(水煮)大さじ4と、とろろ昆布ひとつまみを入れてひと煮立ちさせる。
◆冷凍で約4週間保存OK!
<嘔吐>サムゲタン風お粥
しいたけの食物繊維が胃腸を整える
<作り方>
【1】にんじん1/10本、じゃがいも1/3個をそれぞれ1cm角に切る。ブロッコリー3房、石づきを取ったしいたけ1個は、それぞれ1cm幅に切る。
【2】鍋に水1 3/4カップとおろししょうが少々、生米大さじ2、鶏手羽元7本を入れて中火にかける。煮立ってから2分煮込む。
【3】弱火にし、【1】のにんじん、じゃがいもを加え、蓋をして15分煮込む。
【4】蓋を外して弱火で10分煮込んだら、【1】のブロッコリーとしいたけを入れて5分煮込む。
【5】火を止めて鶏手羽元を取り出し、粗熱をとった後に身をほぐし、【4】に入れて混ぜる。
◆冷凍で約4週間保存OK!
<便秘>鮭と帆立のバターリゾット
食物繊維豊富なモロヘイヤが排泄を促す
<作り方>
【1】ゆでたモロヘイヤ3本をみじん切りにする。
【2】フライパンに無塩バター10gを熱し、骨をとった鮭の切り身2切と帆立の貝柱4個を入れ、弱火で両面を焼く。焼き色がついたらフライパンから取り出す。
【3】フライパンに水3/4カップと粉末昆布小さじ1/2を入れたら、中火にかけ、それぞれ1cm幅に切った黄ピーマン1/2個、ブロッコリー2房、まいたけ1/10パックを入れる。
【4】煮立ったら、モロヘイヤと【2】を加えて混ぜ、炊いたご飯大さじ2を加える。
◆冷凍で約2週間保存OK!
<肥満>鶏ささ身と豆腐ミートボールのスープ
◆低カロリーなささ身が脂肪肝を予防!
<作り方>
【1】キャベツ1枚、セロリ1/5本、チンゲンサイ2枚、パプリカ1/7個、しめじ1/2パックは、それぞれ1cm幅に切る。大根0.5cm、トマト1個は、それぞれ1~2cm角に切る。
【2】叩いてミンチ状にした鶏ささ身200gと水切りした絹豆腐1/3丁、片栗粉小さじ1をボウルに入れてこねる。
【3】鍋に水1 3/4カップと【1】を入れて煮立たせたら、丸めて団子状にした【2】を加えて煮込む。
◆冷凍で約3週間保存OK!
取材・文/前川亜紀 イラスト/さややん。
※女性セブン2023年11月16日号
https://josei7.com/
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