寒さで筋力低下も!部屋の温度管理が老化現象の予防に
歴史的な寒波が襲来した1月下旬。2月に入ってからも記録に残る寒さに見舞われ、各地で大雪が降るなど、この冬は例年にない寒さが日本列島を襲っている。今後も警戒が必要だ。
「特に高齢者は室温管理に要注意」と警鐘を鳴らすのは、東京都健康長寿医療センター研究所・前副所長の高橋龍太郎さん。高橋先生は住居内の温度管理と健康について長年研究。さまざまな事例を導き出した。
筋力対策は、室温を上げて、足を動かすこと
「これまでの研究で、温度が低い住宅で暮らす高齢者の筋力は、暖かい住宅で暮らす高齢者より低下することがわかりました。身体機能の衰えを改善するためにも部屋を暖かくすることが重要です」(以下、「」内高橋先生)
人間は20℃より低くなるほど、数割、筋力が低下する。加えて、こたつや電気カーペットなど部分暖房の場合、活動する範囲が狭く、部屋全体を暖かくした場合に比べ筋力や体を支えるバランス能力が落ちるという研究結果も出ている。
「特に50才を超えると下半身から衰えることが多いので、こたつに入ってじっと…というのは好ましくありません。足は第二の心臓。できるだけ足を動かすことが大切です」
では、室内の適温は何℃なのか。
「好ましい室内環境は、18~20℃。この温度を保つことで、身体機能を改善させ、さらに血圧上昇を抑えることもわかってきました。冬場の温度管理をすることで、血管や自律神経、内臓などの老化現象を予防できるのです」
断熱シートの活用で防寒対策を
部屋を暖かく保つ。たったこれだけで健康維持につながるのは嬉しい。とはいえ、暖房設備が整っていない関東近辺の住宅や古い家屋での暖房改修は厄介だ。
「日本の住宅の断熱性能は相対的に低いといわれています。そこで、まずは熱が逃げる場所を知ることからはじめましょう」
冬場の居室では、熱の48%が窓から逃げる。換気を上回る熱が、壁から逃げていることにも驚きだ。
「もちろん家全体を断熱改修することが望ましいのですが、経済的に難しい場合は、できるだけ熱を逃がさない工夫をすることです。窓に断熱シートを貼るだけでも室温が上昇し省エネにも役立ちます。また、高齢になると寒さの感覚が鈍くなるので、温度計を身近に置いて確認することも大切です」
オススメの断熱対策とは
窓は、壁や床に比べて熱が逃げやすいため、断熱改修すると効果抜群。2~3℃は室温が上がる結果も。そこでいくつかの方法を高橋先生に提案してもらった。
【1】内窓の設置
内窓を取り付けて二重窓にすると、より断熱性が向上。窓の交換などに比べて比較的に手軽な工事ですむのも利点。
「取り付けるガラスの種類も、単板ガラスや、より効果の高い遮熱複層ガラスなど、経済面を考えて選ぶことができます」
他、既存のガラスのみを断熱性の高いペアガラス等に交換する方法もある。これら窓の断熱改修については、住宅リフォーム会社に相談を。
【2】断熱シートを貼る
市販の断熱用ポリエチレンシート(ホームセンターなどで購入可能)をガラス面に貼ると、ガラスとシートの間にできる空気層の影響で断熱が可能に。業者にたのまず自分で設置ができ、コストパフォーマンスもよし。貼るだけ…という手軽さも魅力だ。断熱効果は他に比べて薄いが、荷物の気泡緩衝材(俗名プチプチ)を貼ってもよい。
【3】長めのカーテンをつける
カーテンは厚地のもので、床につくぐらい長いものを用意。効果は限定的だが、手軽に今すぐ取り組むことができる断熱法の1つだ。
「カーテンを、周囲の床や壁などとテープで固定すると、簡易的な二重窓構造になって、より効果的です」
最近では、防寒用に開発されたカーテンも多く市販されているので利用したい。
【4】隙間テープを利用する
窓枠やドア周りの隙間を市販の専用テープで埋め、すきま風を防ぐ。
※女性セブン2018年2月22日号
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