頑張らない「令和のおせち」レシピ |簡単、なのにおいしく華やか!
令和を迎えて初めてのお正月がやってきます。日本人の食の原点でもある「おせち」。三が日にいただく、その風習は変わらず受け継がれていますが、生活スタイルや家族のかたちが変化する中で、おせちも時代に合わせて多様に進化しています。新時代のおせちは、全品お重にきっちり詰めなくてもいいし、洋風や中華だっていいんです。一品だけでも自分で手作りすれば、家族も喜ぶ“わが家のおせち”の完成です。
師匠“小林カツ代”さんから継いだおせちの心得
「おせちは毎年作るものなので、無理せず今年は1品、来年は2品と、作れるものを少しずつ増やしていけばいいですよ」と料理研究家の本田明子さん。
今回は「まずはこれ!」という簡単で作りやすい、本田家で大人気の祝い肴5品を教えてくれました。本田さんは、20年以上にわたり小林カツ代さんのアシスタントを務め、その教えをもとに家庭で作りやすいレシピを提案。
「アシスタント時代、師匠と弟子たちでおせち料理を交換するのが年末の楽しみでした。私の担当は得意のきんとん。数の子入り松前漬けやローストビーフなど材料費が高いものは、先生が作っていました(笑い)。先生は手作りの黒豆をお世話になったかたがたに31日に贈ることも欠かさず、わが家の味を交換する楽しさも教えてもらいました」
“本田家に伝わる”新春のごちそう
縁起物だから用意したいけど、全品自分で作って重箱に詰めるのは難しい! そんな人に、
「まずはこの5品があれば大丈夫」という逸品を料理研究家の本田明子さんが教えてくれました。
※材料は特記のあるもの以外は、すべて2人分です。
●お祝いチャーシュー 甘辛だれが絡むしっとりお肉はたちまち完食
一度2本作っておくと新年の急なお客さんにも大助かり。余ったらラーメンにのせたり、炒飯に入れたり、辛子マヨネーズを塗ったパンに挟んでも最高です!
<材料>(作りやすい分量)
豚肩ロースかたまり肉(タコ糸で巻いたもの)…1本(500g)
サラダ油小さじ…1/2
練り辛子…適量
<A>
にんにく(またはしょうが)…適量
長ねぎ(青い部分)…10cm
水…1
カップ酒…1/2カップ
しょうゆ…大さじ4
三温糖(または砂糖)…大さじ2
<作り方>
【1】フライパンにサラダ油を入れて熱し、豚肉を強めの中火で焼いて全体に焼き目をつける。
【2】厚手の鍋にAと【1】を入れ、ふたをして中火で煮る。沸いたら弱火にし、豚肉を返しながら60
分煮込む。
【3】火を止め、冷めたら豚肉を取り出し、煮汁は再び煮詰めてトロッとさせてたれにする。
【4】食べる分だけ薄切りにして皿に盛り、辛子を添えてたれをかける。残った豚肉はラップで包み、冷蔵室で4~5日間、冷凍室なら2~3週間保存可能。たれは別にして冷蔵で保存を。
●洋風栗きんとん 娘たちの大好物今年はバターを利かせて洋風に
家族が飽きないように毎年味を変えて、今年はバターで洋風に。鳴門金時など甘みが強くて、繊維が少ないさつまいもを使うとおいしく仕上がります。
<材料>
さつまいも…1本(約300g)
栗の甘露煮…小1瓶(約200g)
バター(有塩)…20g
砂糖…大さじ2
<作り方>
【1】さつまいもは厚めに皮をむき2cmの輪切りにし、塩水(分量外。海水程度)に約10分さらし、アクを抜いて水気を切る。
【2】栗は粗めに刻み、シロップはとっておく。
【3】鍋にさつまいもを入れ、かぶる位の水を加え、ふたをして中火で約15分煮る。さつまいもが軟らかくなったら、火を止めて、ゆで汁を1/4カップとり、残りは捨てる。
【4】熱いうちにマッシャーなどで潰す。バター、栗、砂糖を加えて混ぜ、弱火にかけて練る。焦げそうになったら【3】のゆで汁、【2】のシロップを加え、フツフツしたら5~10分よく練る。
【5】水で濡らしたふきんで絞り、茶巾にする。
●忙しい人のパパッと煮しめ 6つの野菜を彩りよくまとめて煮るから簡単!
本来は野菜ごとに煮ますが、今回は忙しい人用にまとめて煮る方法です。ぜひお試しを!
<材料>
ごぼう…1本(100g)
れんこん…1節(200g)
たけのこ(ゆでたもの)…小1本(200g)
にんじん…1本(200g)
干ししいたけ…小6~8枚
絹さや…50g
<A>だし…2カップ
干ししいたけの戻し汁…1カップ
みりん…1/2カップ
塩・しょうゆ…各小さじ1
<作り方>
【1】ごぼうはひと口大の乱切りにして水で洗い、れんこんは1cm厚さの輪切りにして、共に水に浸ける。
【2】たけのこは、穂先から6cm長さで切り、穂先と根元に分ける。穂先は縦6等分に切り、根元は1cm厚さに切り(大きければ半月切り)、水洗いする。
【3】にんじんは1cm厚さの輪切りにし、梅形に抜く。
【4】干ししいたけは2カップの水かぬるま湯で戻し、石突きを切る。
【5】絹さやは先端を切らずに筋を取り、塩ゆでする。
【6】鍋に【1】と【2】を入れ、かぶる位の水で強火でゆで、沸いたら【3】を加え、再び沸いたらざるにあげる。
【7】鍋にAと【4】を入れて煮立て、【6】を加えてふたをし、強めの中火で15分煮る。火を止め、冷ましながら味をよく染み込ませる。
【8】完全に冷めたら彩りよく器に盛り、【5】を添える。
手軽なのに逸品!スピード祝い肴 三種
どれもお酒も進むおめでたい3品。定番の祝い肴も、本田さんは時代に合わせて作り方を柔軟に変化させています。
●紅白ピクルス 千切りの手間いらず新感覚のなます
好みでアレンジして、ローズマリーやにんにく、パプリカやセロリを入れても。
<作り方>
【1】大根5cm(300~350g)とにんじん 5cm(50g)は5mm角の棒状に切る。
【2】鍋に米酢・水 各1/2カップ、砂糖 大さじ1、塩 小さじ1/2を入れて火にかける。沸いたら【1】を入れて上下を返し、30秒したら火を止める。
【3】清潔な保存瓶に【2】を入れ、ヘタと種を除いた赤唐辛子 1本、粒黒こしょう 5粒を加え、冷蔵室で一晩置く。冷蔵で約1か月間保存可能。
●たたきごぼう ごぼうの断面にごまの風味が染み込む
ごぼうは繊維を壊せればよいので、叩かずにしゃもじの裏でゴリゴリ押してもOKです。
<作り方>
【1】すり鉢かボウルに白すりごま 大さじ3、米酢・砂糖 各小さじ2、塩 小さじ1/4を入れ、よく混ぜ合わせる。
【2】ごぼう20cm(50g)はよく洗い、5cm長さに切り、縦2~4つに切る。
【3】鍋に【2】と水1カップ、酢 大さじ1を入れ、ふたをして10~15分ゆで、水気を切る。
【4】ごぼうが温かいうちに麺棒などで軽く叩き、【1】に入れてよく和える。
●ミックスナッツの田作り 焦げる失敗なしでパリパリ香ばしい
いちばん上の1尾は頭を左に盛り付けて。このひと手間で凛とします。
<作り方>
【1】フライパンを熱し、ごまめ1カップを弱火で炒る。カリッとしたらバットに移して冷ます。
【2】粗く刻んだミックスナッツ 大さじ3を【1】の上に均等に散らす。
【3】小鍋にみりん 大さじ3、しょうゆ 大さじ2、砂糖 大さじ1を入れ、中火に3~4分かけてとろりと煮詰める。
【4】【2】の上に【3】を回しかけ、さっと全体を混ぜる。
新春を祝う紅白中華おせち
お正月からパンチのある味を食べたい人は、大人も子供も喜ぶ中華おせちもおすすめ。東京・青山にある中華料理の名店『礼華 青鸞居』の新山重治シェフが考案した逸品をお届けします。
『礼華 青鸞居』が販売する中華おせちは毎年大好評で、新山重治さんはその年の大晦日に届けるおせちを12月29日から徹夜で仕込んでいるといいます。
「中国では旧正月に家族みんなで水餃子を作って食べる習わしのある地域もあり、世界の新年を迎えるスタイルは多種多様。日本のおせちも和に限らず、時には濃厚で刺激のある味を食べたくなる年もありますよね。えびチリは見た目も華やかでおめでたく、いかや帆立を加えて豪華にすれば、新春を迎えるごちそうにぴったりです。千切りが面倒な、なますの替わりに、れんこんを酢漬けにして、スモークサーモンや、かに風味かまぼこに巻いてもよし。紅白で彩りも美しく、新年をお祝いする酒の肴にも相性抜群です」
●酢漬けれんこん紅白巻き シャキシャキのれんこんでサーモンやかにかまを巻いて
<材料>(作りやすい分量)
れんこん 200g、スモークサーモン 5枚、かに風味かまぼこ 5本
【A】酢 1カップ、砂糖 大さじ4、水 1/2カップ
<作り方>
【1】れんこんは皮をむいて2mmほどの薄切りにし、少量の酢を加えた湯(分量外)でさっとゆでる。
【2】よく混ぜ合わせたAに【1】を漬け、冷蔵室で一晩置く。
【3】【2】の水気を拭き、スモークサーモンやかに風味かまぼこに巻く。
●紅白えびチリ 3種の魚介が共演する贅沢で艶やかな一皿
魚介類は最初に焼きすぎると硬くなるので、半分火入れをして一度取り出し、ソースを作った後、最後に合わせることでプリプリの食感になります。
<材料>(作りやすい分量)
むきえび 9~10尾(100g)、帆立貝・いか 各100g、にんにく・しょうが 各1片、長ねぎ 1/4本(30g)、塩・片栗粉 各適量、サラダ油 大さじ1 1/2、水溶き片栗粉 適量、ラー油 小さじ2、白髪ねぎ 適量
<A>鶏がらスープ 1カップ、ケチャップ 大さじ4~6、紹興酒 大さじ2、豆板醤 小さじ2、砂糖 大さじ1、塩 少量
<作り方>
【1】にんにく、しょうが、ねぎはみじん切りにする。
【2】えびは塩と片栗粉をまぶして軽く揉み、水洗いする。帆立貝は半分に切る。いかは甲いかなら薄切り、やりいかやするめいかなら内臓を除いて輪切りにする。すべて片栗粉を薄くまぶしておく。
【3】フライパンにサラダ油を入れて強火で熱し、温まったら中火にして【2】を軽く炒める。焼き色がついたら皿に一度取り出す。
【4】同じ鍋にしょうがとにんにくを入れて炒め、Aを加えてよく混ぜる。【3】をフライパンに戻してよく混ぜ、2~3回に分けて水溶き片栗粉を入れる。ねぎを加えてさっと炒め、サラダ油少量(分量外)を入れツヤを出す。
【5】器に盛り、ラー油をかけ、白髪ねぎをのせる。
・おすすめアレンジ“えびチリトースト”
チーズが好相性! カナッペ風おつまみに。
<作り方>
食パン1枚を4等分に切り、えびチリ・とろけるチーズ 各適量をのせ、トースターで焼く。
教えてくれたのは
料理研究家・本田明子さん/20年以上にわたり小林カツ代さんのアシスタントを務め、その教えをもとに家庭で作りやすいレシピを提案する。著書に『娘に伝えたい おせち料理と季節のごちそう』(講談社刊)など。
新山重治さん/『中国料理 トゥーランドット游仙境』など数々の中華料理店の料理長を経て、2004年に『礼華』をオープン。南青山の『青鸞居』は今年で10周年を迎える人気店に。
・礼華 青鸞居(らいか せいらんきょ)
東京都港区南青山2-27-18 パサージュ青山1F (電)03・5786・9399
撮影/菅井淳子、市瀬真以 スタイリング/鈴石真紀子
※女性セブン2020年1月1日号
●ポリ袋で作るおせち料理|黒豆、煮しめ、栗きんとん…とにかく簡単!洗い物が少ない!