安心して介護するために! オススメの最新「見守り」ツール
盛岡に住む認知症の母を東京から遠距離で介護を続け、その記録を介護ブログで公開している工藤広伸さん。息子の視点で”気づいた”“学んだ”数々の「介護心得」を紹介するシリーズの今回は、「見守り術」を伝授してもらう。離れたところでも安心して介護するために、どんな工夫をしているのか? 実体験にもとづくアイディアは必見!
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見知らぬ訪問者を確認するために「玄関の見守り」
わたしは、遠くにいても安心な遠距離介護を実現するために、「見守り」を強化してきました。たまにしか会えない両親、離れたところに住む1人暮らしの高齢者をどうやって見守るのか? 今日は、「見守り最新事情」をご紹介します。
独居で認知症の母の家には、いろんな人が来ます。しかし、誰が来たか覚えられないため、Panasonicの「どこでもドアホン」を設置することにしました。いわゆるピンポンに、録画機能がついたタイプです。
また、牛乳の宅配契約をしてしまったこともありました。母曰く、息子のわたしと同じ高校の営業レディがきたので契約したというのですが、名前も何も覚えていません。慌てて、契約を解除しましたが、高額契約でなくてホッとしました。
「どこでもドアホン」は、訪問の日時はもちろん、動画再生、ズーム機能などもついています。訪問販売の方は名札をつけていることが多いですから、画像を拡大して、どういった業者が来たか社名を調べて、ネットで確認することもあります。また、留守の際もピンポンを押すと録画されるので、誰が来たか一目瞭然です。
利用して2年になりますが、リフォーム業者、宗教の勧誘など、見知らぬ方々が録画されています。見守りというと家の中だけを考えてしまいますが、玄関の見守りも忘れてはいけません。
できるだけお金をかけずに!最新の見守りサービス
従来の見守りサービスは、ポットやガスの使用状況をメールでお知らせするタイプや、センサーを設置し、動きを検知しながら生存確認をするタイプが主流でした。緊急時にボタンを押すと、警備保障会社が駆けつけてくれるサービスもありました。
各家庭の事情に合わせて、これら見守りサービスを利用するのもいいのですが、わたしが遠距離介護をしていて感じたのは、
「自分の好きなタイミングで、動いている母を自分の目で確認したい、しかも安く」
ということでした。
メールだと生存確認はできるものの、表情までは分かりません。ボタンで警備会社が駆けつけてくれるタイプは安心ですが、肝心の母がいざという時にボタン操作できるかどうかは疑問です。また、月々の定額使用料も必要なため、従来型の見守りサービスは利用せず、他の見守りグッズを利用することにしました。
母は1日のほとんどを居間で過ごすため、高い位置に「スマカメ」というネットワークカメラを設置しています。東京の電車の中や移動中でも、スマホアプリをタップするだけで、岩手の母の様子が、瞬時にLIVE映像で映し出されます。
最新型は、音声のやり取りも双方向でできるようになりました。また、寝室や玄関(屋外)に取り付けて、切り替えながら複数個所をチェックできます。動体検知機能もあり、ふらっと外へ出て行ってしまった場合に、連絡が来る仕組みもあります。
別途、インターネット環境が必要になりますが、月々の通信費と約1万円のカメラ本体のみで、費用も安く抑えられます。食事をきちんと食べているか、デイサービスにきちんと行ったかなど、毎日母の様子をチェックしています。
温度や湿度を「見守る」ことを忘れずに!
部屋の温度や湿度を「見守る」ことも大切です。大手エアコンメーカーの最新モデルには、スマートフォンでの遠隔操作機能が付いています。外出先からエアコン電源のON・OFF、温度設定、部屋の温度、湿度チェックなどが可能になっています。古いエアコンでも、niftyが提供している「おへやプラス」というサービスを利用すると、遠隔操作できることもあります。
エアコンの電気代がもったいないからと、エアコンをつけずに熱中症で亡くなる方は年々増えています。また、うちの母のように温度の理解ができないため、エアコンの適正な温度設定ができなかったりすることもあります。
冬場は灯油ファンヒーターよりも、エアコンのほうが安全です。乾燥しやすく、風邪をひきやすいので、湿度管理が大切になります。夏も冬も、部屋の温度や湿度を「見守る」ことで、高齢者の体調管理を行うことができます。
機械も便利だが、人の目も大切
要介護1の母のケアプランは、平日は誰かしら家を訪問するようになっています。デイサービスに行く日、理学療法士さんが訪問リハビリに来る日、ヘルパーさんが買い物に来る日があり、離れていても安心です。土日も、同じ県内に住む妹が訪問することになっており、わたしは安心して東京で生活ができています。
いかがでしたか? 見守りといっても、人だけ見守ればいいわけではありません。訪問者や部屋の温度・湿度なども見守ることを、忘れないようにしましょう。
今日もしれっと、しれっと。
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工藤広伸 (くどうひろのぶ)
祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間20往復、ブログを生業に介護を続ける息子介護作家・ブロガー。認知症サポーターで、成年後見人経験者、認知症介助士。 ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(http://40kaigo.net/)