介護記録を残そう! オススメする3つの理由
東京―盛岡の遠距離で、認知症の母の介護を続けながら、その記録を介護ブログで公開している工藤広伸さんが、息子の視点で”気づいた”“学んだ”数々の「介護心得」を紹介するシリーズの第2回は、介護記録を残すメリット。人気ブロガーとして、活躍する工藤氏ならではの、実体験にもとづく介護サバイバル術を伝授してもらう。
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認知症の母が通う診療所には、撮りためた写真を自費出版で本にしたり、介護記録を小冊子に残したりする方がいらっしゃいます。このコラムを書いているわたし自身も、本を2冊出版し、介護記録を日々ブログに残しています。
なぜ多くの人は、介護記録を残したいのでしょうか?
約4年続けてみて分かった、介護記録を残すことで得られる3つのメリットについてもご紹介します。
同じ悩みを持つ人の役に立つかも
認知症の祖母や母の介護をブログに残そうと思ったのは、介護が始まって4か月目のことでした。その時の介護に対する思いや対処法を発信することで、「同じように悩み苦しむ、全国の介護者のためになるのでは?」と考えたのが、ブログを始めるきっかけです。
40歳のとき、突然介護が始まりました。祖母が子宮頸がんのため、余命半年と告げられ、母も認知症になり、2度目の介護離職もしました。こういった介護経験をブログに投稿しましたが、誰にも読まれない日々は、1年ほど続きました。
しかし、あきらめずに続けていると、全国からたくさんのコメントが来るようになったのです。
「介護する人は孤独」とよく言いますが、介護記録をブログでオープンにしたことで、わたしは孤独から解放され、ブログを通じて全国の介護者とつながりができました。介護のカタチは、各家庭違います。それでも「役に立った」、「共感した」という声は、わたしの大きなモチベーションとなり、現在もブログを続ける原動力となっています。
介護する人の多くには、「自分と同じ大変な思いを、他の介護者にはして欲しくない」、「未来の介護者のために、役に立ちたい」という強い共通の思いがあり、それが、記録を残したいという気持ちにつながるのではないでしょうか。
介護記録は、“される人”の様子+“する人”の心情を入れて
ブログは難しいという方でも、日記やノートに、日々の介護記録を残すことをオススメします。例えば、病院の外来に行ったとき、医師に対して介護記録を見せることで、家での様子が分かります。特に認知症の場合、医師の前ではシャンとすることがあり、日頃の症状を表さないこともあります。そんなとき、この介護記録を医師に見せるのです。また、限られた診療時間内に、症状を効率よく伝えることができるというメリットもあります。
あるいは、要介護認定の際、日頃の様子を市区町村の調査員に開示してもいいでしょう。そういった日に限って、いつもどおりの症状を示さずに、見栄を張ってしまう方はよくいます。うちの母も、まぐれで自分の年齢を言い当てたので、いつもは当たらないと調査員に伝えました。
介護される人の介護記録と考えがちですが、実は介護する人自身の心情なども介護記録として残すべきです。わたし自身、長く書き続けて分かった、介護記録を残す3つのメリットをご紹介します。